ドラえもん のび太の転生ロックマンX(若干修正版)
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無限の可能性
シティ・アーベル ハンターベース内
「・・・・・・・・」
「エックス。」
「・・・・・・」
「おい。」
「ん?どうかしたかゼロ?」
「お前な・・・・・歩きながらその・・・・・『アヤトリ』とかって言うのやるのやめておけ。他のやつらにぶつかるぞ。」
「いや、今回はかなり難しい新作なんだ。どこまで再現できるか・・・・・」
「・・・・あのな・・・・・」
あやとりをしながら歩いている俺をゼロは呆れた態度で見る。
俺が野比のび太として生きていた時もあやとりは昔の遊びとしてみんなから相手にされていなかった。
まあ、あの時は小遣いを貯める習慣とかなかったから手持ちがなくなるとやることがなくてやっていたんだけど。
一度「もしもボックス」であやとりができる人が偉い世界って言うのをやったことがある。ドラえもんのこと考慮していなかったからすぐに元に戻されたっけなぁ。だって、ドラえもんグーしか出せなかったし。
こっちで生きていくようになってからもあやとりはある意味『頭の体操』としてやっている。そして、今回のお題は・・・・・・
「できた!!」
「はあ?」
突然の俺の声にゼロは、思わず言う。
「見てくれゼロ!よく似ているだろ?」
俺は、出来立ての力作をゼロに見せる。ゼロは最初は何のかわからないような顔をするがしばらくするとはっと気が付く。
「・・・・・・・それ。まさかシグマ隊長か?」
「今回は隊長の顔をどれだけ再現できるかをやってみたんだ!よくできているだろ?」
「ま、まあな・・・・・」
俺の様子を見てゼロは少し困ったような態度をとる。
「よし!今度はゼロの顔をどれだけ再現できるかやってみるか!」
「おいおい、今度は俺の顔かよ・・・・・勘弁してくれ。それにそんなものシグマ隊長に見せたら注意されるぞ。」
「なんだよ。よくできているだろ?」
俺たち二人は、そんな会話をしながらハンターベースのロビーに辿り着く。ここでは部隊やハンターランクには関係なく多くのハンターたちが寛いだり、世間話をしている。
その時丁度、すれ違ったハンター二人の会話が耳に入った。
「メカニロイドのイレギュラー・・・・・・今月で7件目だな。」
「それで隊長はその件でケイン氏のところに?」
「あぁ、そうらしい。」
俺は、さっきまであやとりについて話していたことを忘れ一つの疑問が勝手に口から出た。
「イレギュラーか・・・・・・どうしてイレギュラーは発生するんだろう?」
俺の親友だったドラえもんが住む22世紀もこちらの世界と似たような世界だった。
でも、あっちではイレギュラーの発生なんて一度も見たことがない。
あったとすれば俺がドラえもんに無理させすぎてロボット裁判所に連行された時ぐらいかな。あの時、裁判所の独房の中に入れられていたんだけどその時他の独房に犯罪を犯したロボットや人間が入れられていた。
どうしてこちらの世界ではそんなに起こるのかよくわからない。
そんな俺にゼロは納得いくような説明をしてくれた。
「プログラムのエラー、電子頭脳の故障、俺達レプリロイドの高度な情報処理能力の・・・・・いわばツケって奴だな。」
「そうなのかな?」
「あぁ。」
その矢先俺たちの目の前で保安要員に連行されていくレプリロイドを見た。
SF系で出てきそうなヘルメット型の頭部に紫のボディ。額のVの字はまさに彼の象徴というべきものだった。
「VAVAだ。大方また揉め事でも起こしたんだろうな。同じハンターでもエックスみたいにいつまでも甘い奴もいればVAVAの様にイレギュラーすれすれな奴もいる。」
「・・・・・」
俺は黙って連行されていくVAVAの後ろ姿を見送った後、ゼロに訓練を誘われたけどいつも昼寝をするところに行きたかったから適当に言い訳して別れた。
どこかって?
屋上さ。
シティ・アーベル郊外 Dr.ケインの自宅
「最近、騒がしいようだな。」
「はい、ケイン博士。イレギュラーによる犯罪は増加傾向にあり、大型メカニロイドの暴走も数件発生しています。」
シグマは、ハンターベースからレプリロイドの生みの親 Dr.ケインの自宅を訪問していた。その時はちょうどケインが書斎を整理していたこともあり、ケインは幼いころから集めていたと思われるブリキの玩具を並べていた。
「・・・エックスはどうしている?」
「状況分析、戦闘能力。共に極めて高いレベルにあり、特に精密射撃の高さは異常です。が・・・・・時に悩み、判断を遅らせるところがあります。」
「ふむ。」
ケインは作業を終えるとソファーに腰を掛ける。
「悩むか・・・・・・・・正しくそれこそがエックス最大の特性なのだ。」
「・・・・・・」
「シグマよ、お前は悩むことがあるまい?かつて私は、封印されていたロボット エックスを見つけだし、その設計思想を流用し、お前達レプリロイドを生み出した。レプリロイドは人間と同じように考え、行動することが出来る。深く思い悩むレプリロイドは、エックスだけだ。それは一つの可能性でもあるが・・・・・」
「悩むことが新たな可能性・・・・・欠陥ではなく?」
「フッ、普通はそうだなシグマ。だが、思い悩むことがこれまでにない新しいタイプのロボットと人類の関係を見出すのかもしれない。だが、その可能性が希望になるか、あるいは危険なものになるのかは誰にもわからんのだ。発見したこの儂でもな。」
ケインは感慨深い顔で話をする。
「儂は、それを見届けられるかどうかはわからんが生き続ける限りは見守ってやりたいと思っている。その可能性を。」
「・・・・・・・・・」
夕方
ハンターベース トレーニングルーム
ゼロは、今回起きたメカニロイドの事件をシュミレーションで体験していた。
照準のメインジェネレーターに合わせ、タイミングを見計らって発射する。
しかし、バスターの光弾は捕えられた隊員の方に命中してしまった。
「うっ!」
『残念!訓練終了!』
コンピューターから今回の成績が表示される。
<成功率95%>
「ちっ、5%ミスっちまったか。」
ゼロは悔しそうに舌打ちをした。
「95%か。大したもんじゃないかゼロ。」
「ん?」
そこへ鷲型のレプリロイドがやってきた。彼の名はストーム・イーグリード 第7空挺部隊隊長であり、現在はミサイル基地の守備任務に就いているはずだった。
「イーグリードか・・・・・・お前、ミサイル基地の守備任務はどうしたんだ?」
「警報装置が完成したんで、守備隊は縮小されたよ。今日からはまた通常のハンター業務さ。」
「そうか。」
「っで、早速メカニロイド暴走事件で召集だ。行こうぜ、ゼロ。」
「あぁ。」
二人は、トレーニングルームから出て移動を始める。
「・・・・そう言えばお前、最近ティルに声かけているのか?ここんところアイツ寂しそうな顔していたぞ。」
「・・・・俺たちにもいろいろ訳があるんだ。」
「アイツが本部のオペレーターに転属していた時から気になっていたがあの事件のことまだ引きずっているのか?」
ゼロの言葉に対してイーグリードは、それ以上答えようとはしなかった。
ブリーフィングルームではすでに多数のハンターが集まっていた。その中で先ほどまで気持ちよく昼寝をしていたのかエックスは、見えないように小さいあくびをしていた。
「解体中のビルで起きたメカニロイドの暴走ですが、コントロール系が何者かに乗っ取られていたと判明しました。」
女性型オペレーターは、床の大型モニターへ現場の状態を映し出しながら状況を説明する。
「中には誰も乗っていなかった・・・・・・つまり遠隔操作されていた?」
「そうです。」
眠気を隠しながらエックスが聞くとオペレーターはすぐに返答した。
「ちょっと待てよ。メカニロイドの警戒プログラムは・・・・・」
「そう簡単にハッキングされるような防壁ではないはずだクワッ。」
「はい、犯人はこちらの警戒体制に精通している可能性があります。」
「っで?犯人はどこから操作を?」
「いくつもの衛星を経由してカモフラージュしていましたが・・・・・発信源はここ・・・・・シティ・アーベル東16番地区です。」
オペレーターは腕部のボタンを押し、マップを表示させる。
「すぐ近くか・・・・・ふざけやがって!」
「シグマ隊長にこのことは?」
「連絡済みです。エックス、ゼロのチームはブリーフィング終了後、現場に偵察に向かうようにとの指示です。」
「「了解!!」」
シティ・アーベル 東16番地区
俺とゼロは、急いで現場に向かった。
だが、あまりにも静か過ぎだった。
「あまりにも静か過ぎないか?」
「あぁ。」
ゼロもどうやら同じように感じているようだった。
「行ってみるか、エックス?」
「うん。」
俺たちは壁を蹴って飛びながら犯人が潜伏していると思われる建物の屋上へと乗り込んだ。
しかし、そこには無残に破壊されたレプリロイドの残骸が転がっているだけだった。
本部から応援を呼んだ後、倒れていた犯人たちを調べてみたが既に手遅れだった。
「どうだ?」
俺は、端末を調べている隊員に聞く。
「ダメですね、データは既に持ち出されたようです。」
「かなりの手練れだな。」
「状況は?」
そこへシグマ隊長が来た。隊員の一人がおそらく仲間割れではないかと報告する。報告を聞いた隊長はゼロの方を見る。
「ゼロ、どう思う?」
「さあ、ですがどちらにせよやったのは相当の戦闘能力を持った奴でしょう。全て急所を一撃です。」
「うむ。」
そう言ってシグマ隊長はなぜか俺の顔をしばらく見ると外に待機させているイーグリードたちと捜索について打ち合わせる。
「仲間割れをした残りの犯人がハッキングデータを持って逃走中だ。イーグリード隊はすぐに周辺の捜査を開始!」
「「「はい!」」」
「ペンギーゴ隊は別地区の捜査クワッ!行くぞ!」
「「「「はい!」」」」
捜索隊はすぐに周囲の地区を操作したが結局犯人を発見することはできなかった。
でも、俺たちが気付かなかった。
この事件を裏で手を引いている存在を。
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