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夢幻水滸伝

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第百三十四話 琉球沖の戦いその十二

「私にも」
「敵はまだ大軍ですが」
 志賀は中国軍を見た、押されているとはいえその数は健在だ。
「しかし」
「それでもですね」
「戦局がこっちに傾いてきているのは事実です」
「では」
「はい、このままですね」
「攻めていって」
 そしてというのだ。
「戦局を確実なものにしましょう」
「日本のものに」
「そうしますね」
「はい、攻めて」
 その様にしてというのだ。
「そうしていきましょう」
「海も空もそうしてますし」
「このままですね」
「今はその時だと思うので」
 断言は出来なかった、やはり自信がないからだ。
 それでも今は攻めていった、それは志賀と亜紀も同じだった。三人はそれぞれの軍勢に攻める様に指示を出し攻撃の術も前に放った。
 中国軍は確かに数があった、そして装備や将帥の質も悪くはない。だが彼等は圧倒的少数の日本軍のあることに手を焼いていた。
 数を頼りに攻める、だが。
「くそっ、術の護りも堅いな」
「星の方々が総出で軍勢全体にかけてるからな」
「こっちも攻撃に思った様に傷を与えられない」
 防壁の術等のせいでというのだ。
「そして相手の攻撃は強い」
「攻撃補助の術もかかっていてな」
「こっちも術者はいても」
「数は多いんだがな」
「星の方々位の威力はないからな」
「とてもな」 
 このことでも星の者のいるいないが関わっていた、それもかなり。
「術の効果も範囲もな」
「星の方々のそれは段違いだ」
「南洋の連中もこれで苦しんだんだな」
「今のわし等みたいに」
「このことも影響するとかな」
「嫌なことだ」
「日本軍は術の強さもあるな」
「忌々しいことだ」
 日本軍と戦いつつ思い言うのだった、そして。
 彼等が攻める中で中国軍のある将軍は空船にいた、その空船において采配を執りつつ周りを見るが。
 周りの空船が減っている、それで周りの士官達に話した。
「損害は一割だな」
「はい、我々の隊は」
「それだけになっていますね」
「損害がそれだけですね」
「出ていますね」
「あの方の存在がな」
 将軍は前にいる綾乃そして彼女を乗せている大蛇を見る、頭の一つが空を攻めていてそうして空船を撃墜しているのだ。
「大きいな」
「敵の空軍も強いですし」
「その采配もいいですし」
「それで、ですね」
「損害を出していますね」
「そうだ、こちらが攻めても」 
 それでもとだ、士官は砲撃をさせつつ話した。
「しかしな」
「それでもですね」
「こちらが一隻沈める前に」
「十隻以上は沈められています」
「海を見ても」
 眼下の戦局はというと。
「同じだな」
「はい、一方的に近いまでに」
「攻められている」
「これでは」
 将軍は苦い顔でこうも言った。
「戦局が傾くのも道理、ここは」
「どうされますか」
「一体」
「敵の総大将を狙うか」
 他ならぬ綾乃をというのだ。
「そうするか」
「一番の脅威であり采配を執っておられる方を」
「そうしますか」
「それだけで戦局はかなり違う」
 このことを確信してのことだった。 
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