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ドリトル先生の競馬

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第三幕その四

「残念なことに」
「確かに競技ですから」
「勝つことは大事ですね」
「はい、ですが」
 それでもというのです。
「やはりです」
「馬のこととですね」
「スポーツマンシップです」
「その二つが重要ですね」
「勝利よりも」
「僕も同じ考えです」
 先生は武田さんに確かな顔で答えました。
「プロでもです、プロは勝たなければ意味がないですが」
「それでもですね」
「乗馬なら馬のことを考えて」
「スポーツマンシップもです」
「そうしたことが万全であって」
「それではじめてですね」
「勝つものだと考えています」
 こう武田さんにお話するのでした。
「僕も」
「全くですね、ですがそれがです」
「わかっていない人がです」
「やはりいますね」
「日本に来てそれは違うと思ったことは」
 先生は首を傾げさせつつお話しました。
「剣道のお話ですが」
「そちらのことですか」
「一回戦負けしたからといって部員全員を丸坊主にさせる」
「その先生のことは私も知っています」
 武田さんもでした。
「我が校の剣道部の先生がお話していました」
「そうでしたか」
「それで自分はしないとです」
「こうした場合は教える先生にも責任がある」
「そう考えるのが妥当ですね」
「負けたことが悪いなら」
 それならと言う先生でした。
「教える先生もです」
「責任がありますね」
「しかも自分はしないということは」
「自分は悪くないと考えていないと」
「出来ることではないですし」
 先生はさらにお話しました。
「これはもう部活の指導としては」
「間違っていますね」
「はい、勝利よりも」
「スポーツマンシップですね」
「そちらに重点を置くべきでしかもこの先生は」
「丸坊主にした生徒が少ないと怒ったそうですね」
「翌日、それで生徒の子達に暴力を振るったと聞いて」
 先生は今もどうかというお顔でお話しています。
「日本にはそんな間違った先生がいるのかとです」
「日本は学校の先生の質は」
「悪いとですね」
「教師をしている私が言うのも何ですが」
 武田さんは困ったお顔です、先生とはまた別の表情です。
「いい鉄は釘にならず」
「いい人はですか」
「そう思う位です」
「そこまで酷いのですね」
「しかもこの先生の暴力はただ殴ったりするのではなく」
「もっと酷いものですか」
「何十発も殴ったり蹴ったり罵ったり」
 武田さんはこの事実を先生にお話しました。
「床で背負い投げをしたり」
「それはまた酷いですね」
「こうした先生がいるのです」
「日本の困ったところですね」
「一般社会ならすぐに懲戒免職ですよね」
「そうならないならおかしいです」
 先生は断言しました。
「もうそれは」
「そうですね、ですが」
「日本の学校ではですか」
「先生がそうした暴力を振るってもです」
「問題にならないのですね」
「問題がなかったことにされます」
 つまり隠蔽されるというのです。 
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