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レーヴァティン

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第百五十三話 不戦勝その五

「武器や兵糧までな」
「しかも湖の補給路も確保出来た」
「無事にな、ビザンチウムからな」
 先程手に入れた浮島東部最大の都市であるこの都市からというのだ。
「物資を送れるな」
「湖からも陸からもな」
「これはかなり大きいな」
「やはりアテネの水軍はうって出てだ」
 芳直は久志にあらためて話した。
「そのうえでだ」
「補給路も何とか妨げるべきだな」
「そうだが」
「やっぱり動かないか」
「負けると確信してな」
 戦ってもというのだ。
「そうした、確かに勝ち目はほぼないが」
「それでもだな」
「俺っち達にここでな」
「向かうべきだったな」
「それで勝とうとすべきだった」
「大軍を丸々上陸させてしかも補給路まで確保されるとな」
「もうアテネに勝ち目はない」
 断じてとだ、芳直は言い切った。
「最早な」
「そうだよな、都市国家群全体もな」
「二十万以上の大軍が上陸した」
「それでかなり動揺しているだろうな」
「アテネ、テーベ、スパルタとその勢力圏にある以外の都市国家はどう動くか」
「先のビザンチウム入城でもかなり動揺してるだろ」
「それにこれだ」
 二十万以上の大軍が自分達の領域に無傷で上陸してきたというのだ。
「しかもここでだ」
「降る様に言えばな」
「地位や財産を保証したうえでな」
「やっぱり効くな」
「じゃあ早速使者を送っていくわね」
 双葉が久志にこのタイミングで言ってきた。
「そうするわね」
「ああ、そうしてな」
「降らせていくわね」
「都市国家をな、あとドナウ川南岸の領主達もな」 
 久志は彼等についても話した、今自分達がいる半島の北にあるその地域のことにについてもそうした。
「使者を送るな」
「まだ降っていない領主達に」
「そうしてな」
「降る様に勧めるわね」
「浮島東部を掌握してビザンチウムも攻め落とした」
「そしてロードス島も攻略したわ」
「そのうえでな」
 さらにというのだ。
「二十万以上の大軍がすぐそこに来たんだ」
「しかも降っても条件がいい」
「これで降らないなら仕方ないだろ」
「もうどうしても戦う相手ね」
「そうなるさ、けれどな」
「もう降らない勢力は殆どないわね」
「ああ、降るな」
 久志はその目に深い洞察を入れて言い切った。
「もうな」
「それこそアテネとテーベと」
「スパルタ位だな」
「この三つの都市国家とその勢力圏だけね」
「本当にな、じゃあまずはな」
 久志はあらためて言った。
「アテネとテーベだな」
「この二つの街は手を結んだそうだから」
「連中を叩くな、そしてその後で」
「スパルタね」
「ああ、スパルタはもう最後の一兵まで戦うっていうしな」
「腹を括って戦うわね」
「徹底的にな」
 こう双葉に答えた。 
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