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レーヴァティン

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第百五十三話 不戦勝その二

「我が騎士団はです」
「従わないか」
「力は心ある人が持つべきです」
 団長はこうも言った、やはり強い言葉で。
「それも気高い」
「それでか」
「最初我々は貴方達を知りませんでした」
「それでただこの浮島を統一したいだけだってか」
「思っていました、野心だけと」
「まあ野心はあるな」
 久志は笑って自分達の中にそうした感情があることを述べた。
「実際にな」
「この浮島の統一ですね」
「それで魔神を倒したいっていうな」
「それが貴方達の野心ですか」
「神様倒すのって大きいだろ」
「はい、それは」
「人間なんてちっぽけなものだけれどな」 
 その持っている力は神には遥かに及ばないというのだ、久志はレーヴァティンを持っていてもこのことはわかっていた。
「そのちっぽけな人間がな」
「神を倒す」
「そして世界を救うっていうな」
「野心をお持ちですか」
「俺達の野心はな」
「そちらですか」
「つまり目的自体がな」
 それそのものがというのだ。
「野心でな」
「それが野心ですか」
「ああ、そうなるな」
「そうですか、魔神を倒し世界を救う」
「そのこと自体がな」
「そこまで大きいとは」
「いや、俺達だっていいもの食っていい服着てな」
 久志は自分達の考えを聞いて目を丸くした騎士団長そして彼と共にいる騎士団の幹部達にさらに話した。
「立派なところに住みたいぜ、けれどな」
「それでもですか」
「そういうのって冒険で強かったらな」
「獣やモンスターを倒してですか」
「手に入る、幸い俺達はそれだけ強いしな」
「そうしたものは手に入るので」
「簡単にな」
 そうだからだというのだ。
「求めてないさ、権力もな」
「そちらもですか」
「別にな」
 こちらもというのだ。
「そうだからな」
「それで目的ではないですか」
「そういうのを手に入れることはな」
 こうしたことについてはというのだ。
「そうなんだよ」
「左様ですか」
「ああ、実際いいもの食ってるし」
「服もですか」
「戦の場でもこの通りな」
 笑って自分達の服を見せる、見ればデザインはともかく生地はいいものだ。皇帝とその周りの者達に相応しいものだ。
「いいしな、ローマに宮殿もあるしな」
「質素なものと聞いていますが」
「質素でも宮殿は宮殿さ」
 騎士団の幹部の一人の言葉にも答えた。
「贅沢なものだよ」
「それで住んでおられる場所も」
「いいものだしな」
 このことでも満足していてというのだ。
「充分だしな、贅沢とか財産とかはな」
「特にですか」
「今で満足していてな」
「野心といいますと」
「そっちなんだよ」
 魔神を倒し世界を救うことだというのだ。 
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