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レーヴァティン

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第百五十三話 不戦勝その一

                第百五十三話  不戦勝
 久志達はロードス島での戦後処理を終えるとすぐに島の騎士団長と会った、久志は復活させた彼と彼の側近達に本陣で向かい合って卓に座ると彼に言った。
「単刀直入に言うな」
「はい」
 赤い顎鬚を生やした頑健そうな身体つきの初老の男だった、その男が応えた。
「私にですか」
「帝国に降ってな」
 そうしてというのだ。
「俺達の下で戦ってくれるか」
「帝国で」
「ああ、地位はそのままだよ」
 騎士団長、それのというのだ。
「騎士団員の他の連中もな」
「では引き続き」
「この島もな」
 ロードス島もというのだ。
「治めてもらうな」
「そしてですか」
「帝国の為に民と島を治めてな」
 そうしてというのだ。
「戦ってくれるか」
「帝国の下で」
「そうしてくれるか」
 こう騎士団長に言うのだった。
「これからは」
「断れば」
「それまでさ、あんた達は武器を解除してな」
 そのうえでというのだ。
「修道院に入ってもらうさ」
「騎士団ではなく」
「その場合騎士団は解散だよ」
 久志は騎士団長が自分達に入ることを断った場合についても話した。
「そうなるさ」
「左様ですか」
「命は取らないさ、傷付けることもしないし財産もな」
「我等に財産はないですが」
「そうか、けれどな」 
 それでもと言うのだった。
「そうしたものは一切手をつけないでな」
「武装を解除して」
「それで修道院に入ってもらうさ」
「そうですか」
「ああ、そして入ればな」
「今お話された通りですね」
「海の魔神を倒すために力を貸してもらうぜ」
「魔神を」
「ああ、そしてこの世界を救う」
 久志は騎士団長に強い声で語った。
「その為に力を貸してもらうぜ」
「この浮島の統一が目的でないですね」
「それは通過点だな」
「魔神を倒す為の」
「俺達がこっちの世界に来た目的はそれだからな」 
 海の魔神、世界の殆どを石にして海の中に封じ込めてしまったこの謎の神を倒してこの世界を救うことだというのだ。
「だからな」
「それ故に」
「この浮島の統一は通過点だよ、統一してその力でな」
「海の魔神を倒す」
「魔神の軍勢と戦って魔神は俺達が倒す」
「その為の力に」
「騎士団もあんたもな」 
 全てというのだ。
「帝国に入って欲しいんだよ」
「そうした理由ですか」
「ああ、俺達のことはもう聞いていただろ」
「はい」 
 返事はあまり強くないものだった、今の久志へのそれは。
「既に。ですが」
「俺達の言ってることは嘘だってか」
「そうも思っていました」
「そうだろうな、そうそう鵜呑みにはしないよな」
「この浮島の支配者になりたいだけだとです」
「思っていたか」
「はい、その程度の志の方にはです」
 騎士団長は久志に強い声で述べた。 
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