仮面ライダーの力を得て転生したったwwwww
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第11話
『おおおおぉぉっっ!!!』
『ふんっ!!』
『うぐっ・・・・・!』
瞬く間に間合いを詰め、アナザージオウが先に拳を振るう。アナザーダブルはそれを受け流され、お返しの左ストレートがアナザージオウの右胸にめり込む。 衝撃に蹲り、数歩後退するアナザージオウに、アナザーダブルは追撃の拳を振るおうとする。
『はああぁぁぁっ!!』
『っ!! チィッ!!』
『らぁぁ!!』
だがそれを、ワンテンポ遅れてウォズの右足の蹴りが放つ。だがアナザーダブルはそれに気づくや、両手をクロスさせて防御姿勢を取り、その蹴りを受けきる。
しかし、その間に体勢を立て直したアナザージオウがアナザーダブルの身体を掴み、自らの体ごと地面に倒れ、何度も転がった後に投げ飛ばす。
『でやぁああ!!』
『うぐぉ?!』
『オラァ!!!』
『アガァッ!?』
アナザーダブルが立ち上がる間もなく、ウォズのワンツーとジャブがアナザーダブルの胸部を捉える。 すかさず時計の針を象った長剣と短剣を生み出したアナザージオウがウォズの横を抜けてアナザーダブルを斬り掛かる。刺突。薙ぎ払い。上段切り。 流れるような斬撃に、アナザーダブルの装甲から絶えず火花が飛び散り、大きく後退していく。
──行けるっ!!!
ライダーの力に拠る高揚か。それともアドレナリンに寄る高揚か。はたまた、その両方か。アラタの中に秘めるギアが上がっていく。それに伴い、両手の剣による斬撃も速くなっていく。
だが。
『らぁっ!!』
『フンっ・・・・・!』
『クソっ、おらっ・・・・・!!』
『ふんっ!!どうしたァ、そんなものか?』
『抜かせっ・・・・・!』
上段切り。受け流されたところをウォズが間髪に裏拳を入れようとするが、それもきっちり受け止められる。すぐさま間に入り左手に持った短剣で胴体を横払いするように振るう。しかし、それも当たらない。
・・・・・徐々に、アナザーダブルに対し、剣先掠らなくなっていく。それに対して、アナザージオウとウォズはアナザーダブルによるカウンターの拳を打ち込まれ始める。まさか、見切られたというのか。この短時間で、ここまで。
『んにゃろ・・・・・!!』
そんな焦りの共に放たれた長剣による上段切り。アナザーダブルに呆気なく見切られ手刀を打ち込まれ、右手に持っていた長剣を落とされる。 尚も短剣を振るうが、最小限の動作によって避けられ、左足の蹴りを食らい、短剣も落とす。
そこからは、アナザーダブルの独壇場であった。
『フッ!ハァ!!』
『ァッ!!ぐぅ・・・・・?!』
『アラヨォ!!』
『くっ・・・・・!』
隙のない拳の連打。アナザージオウとウォズ防御する事もままならずに、その拳を受ける。
・・・・・原点に置ける仮面ライダーWは、様々な力を記録したUSB型のアイテム、ガイアメモリの力を引き出して戦う。今相対してるアナザーダブルもWのサイクロンジョーカーの力を持っており、疾風の記憶を持つサイクロンと、切り札の記憶を持つジョーカー。
『ガハッ・・・・・ぁっ、ぐぅ!!』
格闘戦に優れたその形態が持つ風の力と格闘の力をによって増大した回転蹴りがアナザージオウとウォズを直撃し、2人は地面に何度も打ち付けられて吹っ飛ばされる。
『大丈夫かい、アラタ君・・・・・っ』
『何とか・・・・・それ、より・・・・・っ!』
ウォズの問いかけにアラタは地面に伏しながらそれに頷く。そんな中で、アラタは目の前に自らを見下ろすような視線を送ってくふアナザーダブルの強さに舌を巻いていた。
──強い。
『っ・・・・・』
今まで戦ってきた相手ーーアナザービルドやアナザーエグゼイドも手こずったが、彼等はそこまで戦闘慣れしてなかった節がある。だから、荒削りな自身でも対処出来たし、誰かを庇いながらも戦えた。
だが、目の前に居るアイツは明らかに違う。戦闘慣れをしている、と言っても良い。
何か打開策は無いかと考える内に、アラタは咄嗟にウォズへと叫ぶ。
『ウォズ、あんた確か他のウォッチ持って無かったか!?』
『未来からの仮面ライダーの力か・・・・・生憎私とした事が、まんまとタイムジャッカーにその力を奪われてしまってね』
『はああぁぁぁっ!!? そんな大事な事、今言うか!?』
『言うタイミングが無かったからね』
『何をごちゃごちゃと・・・・・!』
ウォズの想定外の言葉に、戦闘の最中にも関わらずアラタはすっとんきょんな叫びを漏らしてしまう。アナザーダブルの不愉快そうに放った膝蹴りを、ウォズとアナザージオウはすんでのところで地面を転がって躱す。
・・・・・思えば、ウォズは1度もフォームチェンジをしていない。彼は敢えて基本形態になったのではなく、それにしか今はなれないのだ。寧ろ仮面ライダーウォズの変身能力その物を奪われなかっただけマシだと思うべきなのだが、それはそれ。というより割とシャレにならない。
・・・・・戦況はこちらの分が悪い。コチラは能力に制限やハンデを抱えているのにも対し、敵は五体満足、能力の詳細も不明と来ている。
そうこうしている間にも、アナザーダブルはジリジリとその差を詰めてくる。
と、手に付けられたホルダーのアナザーライドウォッチを見やる。それを見たアラタは、腹を括って立ち上がる。
『コレなら・・・・・!』
『・・・・・何をする気だい?』
ウォズの言葉に、アラタは彼の耳に何かを呟く。
『なるほど・・・・・悪くないかもだね。それに賭けてみようか』
ウォズの了承を得て、アナザージオウは単身でアナザーダブルに猪突猛進する。そんな姿を見ても、尚も余裕を見せるアナザーダブル。どんな攻撃であろうと容易に捩じ伏せようという立ち振る舞い。なら、その余裕を今すぐにでも無くしてやる。
アナザージオウは走りながら左手でドライバーのウォッチのボタンを押し、ドライバーを回転させて高く跳躍する。
『はああぁぁぁっ!!!!!』
《ANOTHERーTIME BREAK!!》
凝縮されたエネルギーの込められた右足を突き出しアナザーダブルの胸部へと目掛けて降下していく!!
アナザージオウの必殺技、『アナザータイムブレーク』。 アナザーダブルはやや反応に遅れるも、両手を胸元で交差させて防御姿勢を取りーーー直後、アナザージオウのキックがアナザーダブルの両手にぶつかる。
『あああぁぁぁっっ!!!!』
『ぐぅ・・・・・ぬうぅん!!!』
紫と黒のスパークが弾け飛び、アラタはあらん限りの力を右足に込める。しかし、拮抗出来るのもごく僅かの時間だ。 現に、アナザーダブルはアナザージオウの必殺の一撃をこう易々と受け止めてる。 何れ奴のひと振りでアラタの身は地へと、叩き落とされるだろう。
今のアラタ1人の力では、アナザーダブルを打倒する事は出来ない。 それはどうしようもない事実だ。
ならば、その倍以上の力で覆せばいい。
アナザージオウは腕に巻き付いたホルダーから2つのウォッチを起動させーーー。
『フンっ・・・・・!!!』
直後、アナザーダブルは予想通り、無理矢理アナザージオウのキックを薙ぎ払われる。
『ぐぅ!・・・・・っぁ、うっ・・・・・!』
紙屑のように吹き飛ばされ、何度も地面に身体を打ち付ける。立ち上がろうとするも、今までのダメージの蓄積からか。思うように力が入らない。
『ふんっ・・・・・中々の奇襲策だったが、1歩及ばなかったな』
胸元を抑えながらも片膝を地に、手を置く俺に嘲笑を含んだ言葉を投げ、見下すアナザーダブル。 ・・・・・だが、ヤツは俺の仕掛けたホントの狙いに気づいてない。それがおかしくて、笑いが零れる。
『・・・・・何がおかしい』
『イヤ、別に。ただ、油断してると意外な所で足元掬われるぞ・・・・・てな』
『・・・・・っ!!』
そう呟くアラタの言葉に、何かを狙っていると気づいたアナザーダブルは、先程までアナザージオウが対空していた中へと視線を向ける。
刹那、虚空から顕れた意志なきアナザーエグゼイドとアナザービルド、そしてウォズがアナザーダブルへと必殺の一撃を放つ!!
《TIMEーEXPLOSION!!》
『でやああああッッ!!』
『『◼◼◼ッッーー!!!』』
『グァアアァッ!??』
アナザージオウの分に上澄みする形で渾身の一撃を喰らったアナザーダブルはキックの余波で家屋に突っ込みーー直後、爆発が起きる。
爆発の余波によって発生した熱風から、アラタは腕で顔を守りつつも、決まったと確信する。
・・・・・確かにアナザーダブルは強い。だが、それに伴って慢心があった。己の力を過信し、弱者に対しては本気を出すことは無い。 その慢心さにアラタは漬け込んだ。自分を囮とする事で隙を作り、ウォズとライドウォッチで生み出したアナザーライダー達で本命の一撃を与える。 それがアラタの考えた勝利の法則だった。
『君も中々の強引な策を取るね。だが、私は嫌いじゃないよ』
『そりゃどうも』
そんな軽口を交わしながら、アナザーダブルの突っ込んだ家屋へと見やる。ただでさえ、異形の身をも滅ぼすその必殺のキックを4発受けたのだ。これを受けきる奴など最早ただのーーー。
『ぐぅ・・・・・おのれぇ・・・・・!! 匹夫の分際で・・・・・!』
不意に、猛烈なる風が、爆煙を纏った家屋ごと吹き飛ばし、瓦礫を跳ね除けた中からーーーアナザーダブルがよろよろと、しかし存在を保っている。
『マジかよ・・・・・!』
『・・・・・フラグを回収するには些か早くないかね』
『んなフラグ立てた覚えないわっ! あれだけ喰らえばやったと思うだろうが!』
だがまあ、なんと想定外な事が立て続けに起こるかと舌打ちをつくが、アナザーダブルの方も流石に4連続ライダーキックは堪えたらしく、腹部を抑えながら、憎悪の視線をひたすらにアラタへと向けている。
畳み掛けるなら今かと拳を握りしめた時、
「そこまでだ」
男の声が響く。その声は、アラタもウォズにも馴染みある因縁の男の声。
『スウォルツ・・・・・!』
『・・・・・スウォルツ氏』
紫の特異の服を身にまとった大男ーースウォルツは、アラタとウォズの呼びかけに眉をピクりと動かす。 が、それには目をくれず蹲るアナザーダブルの方へと歩み寄り、冷徹な目で見下ろす。
「・・・・・下がれ。 俺はそこの奴らに用がある」
『しかしっ奴らは・・・・・!!』
「聞こえなかったか?下がれ、と言ったのだ。お前の意見は求めん」
スウォルツは以外にも、アラタとウォズとの対話を所望らしい。アナザーダブルは慌ててそれに抗議する。が、スウォルツの凄みにそれも無言となる。
『・・・・・御意』
やがて観念したようにその強制に等しい撤退を受け入れ、アナザーダブルは右腕を振るうと、彼を中心として風が舞い上がり、その身を何処かへと消した。
『消えた・・・・・』
『そのようだね』
そんな事を呟いて、アラタとウォズは変身を解き、生身の人間へと戻る。 息をつく間もなく、スウォルツへと向き直る。
「まさか、君まで居るとはね。スウォルツ氏」
「久しぶりだな、というべきか。ウォズ」
そういえばスウォルツもジオウの世界で元は暗躍していたんだっけか、とアラタはぼんやりと考える。どんな関係だったかまでは覚えてはないが、利害の為なら手を組んだり殺しあったり、そんな複雑な気がする。
「それとアラタ。貴様の働きで王座を決める闘いが進行している。各地のアナザーライダーも動き始めた。礼を言おう」
「・・・・・んなもんはどうでもいい。お前の目的はなんだ。一体何がしたい?」
「今はまだ語る時ではない」
胸倉を掴む勢いでスウォルツに問い詰めるも、スウォルツは断固として話す気はない。・・・・・こうして直接相見えるのは初めてだが、身長差からが来るものか、彼の持つ得体の知れない不気味さが俺の足を僅かに震わせる。 それを去勢で誤魔化しながらも睨むように見上げると、スウォルツは溜め息をついて背を向ける。
「・・・・・せっかくだ。お前に1つヒントをくれてやる」
「・・・・・何?」
首を傾げるアラタを意に介さず、続けざまにスウォルツは述べる。
「我々の最終的な目的は、虚構からの征服だ。王座を決まるこの闘いも、その先の世界で君臨する者を決める前決めだ」
「・・・・・どういうことだ?」
「いずれお前も知る事になるだろう。闘え。そして勝ち続けろ。・・・・・その先に、貴様の求める答えがある」
「ぁっ、待て!」
背を向けて、どこかへと歩くスウォルツを改めて引き止めようとする。だが、なんの力なのか、スウォルツとの距離がどんどん引き離されていく。
追跡する事を諦め、その代わりにアラタは先程のスウォルツの言葉を思い返す。
「虚構からの、征服・・・・・」
「スウォルツ氏の言葉には気になる所はあるが・・・・・今は戻ろう。騒ぎを聞きつけた人達が集まりかねない」
「ああ、うん・・・・・」
そんなやり取りを交わして、気づかれないように琴音の待つ家へと帰路を歩いてく。
アラタは歩みを進めながらも、スウォルツの放った言葉について考え続ける。
自分達はこうして存在している。どうしようもなく光の見えない世界で、瞬間瞬間を必死に生きている。
だが、ホントにそうなのだろうか? この世界はもしかして何者かの策略によって意図的に生み出された世界で、その中に俺たちは押しつめられたのでは無いのかと。
・・・・・イヤ、今はそれは置いておこう。何れ考えなければならない問題だが、アナザーライダー達との戦いは激化し始めたばかりだ。負ければ死ぬだけだ。琴音のためにも、今の現状について考えなければ。
俺は首を振り、思考を放棄する。帰路へと戻る歩みを進めていく。
──────
宮廷。 タイムジャッカーが根城としているその邸内ロビーでアナザーダブルはフラフラと入るや、片膝を付く。息を荒らげ、胸に手を当てる。
『はァ・・・・・ぐっ、うっ』
「無様ね。アナタ、まさか逃げ帰ってきたわけ?」
カツカツとヒールの音を鳴らして、レッドカーペットが敷かれた階段を降りながら、アウォールスの可愛らしくも冷やかしの声が響く。アナザーダブルはそれを聞くや、不快感を表すように首を背ける。
『アウォールス・・・・・負けたわけじゃない。スウォルツ様に撤退を命じられただけだ』
「ふぅん・・・・・まあ、そういう事にしておきましょ」
アウォールスはアナザーダブルの言葉に生返事し、宮廷の柱へと寄りかかる。と、勢いよくドアが開かれる。何者かと目線を向けるも、スウォルツと分かるやアナザーダブルは姿勢を整え、こうべを垂れる。
「戻ってきたか」
『・・・・・スウォルツ様』
「あら、随分と早い帰還ね。それで?かつての知り合いとジオウに垣間見えた感想は?」
「特に無いな。・・・・・ウールとオーラはどうした」
「あの子達も働き者だから、アナザーライダーの選定に躍起になってるんじゃないかしら。 フフっ・・・・・あの子達は私やスウォルツ様の使い走りでしかないというのに」
面白おかしく、クスクスとアウォールスは笑いを零す。 その光景を、アナザーダブルは不愉快そうに、スウォルツは無言で見つめる。が、スウォルツは改めてアナザーダブルへと向くと淡々と言葉を連ねる。
「イイか。 貴様の役目はライダー共を監視し、闘いに消極的なアナザーライダー共を始末する事だ。それをはき違えるなよ?」
「・・・・・はっ」
「期待しているぞ、'グナーデ'。'リグレ'」
スウォルツがその名を呟くと、アナザーダブルはその変身を解き──風の中から、大柄の体格に黒いロングコートを羽織った黒髪の男ーー『リグレ』、ハイグレの透明なスカートが特徴の緑髪の小柄な女ーー『グナーデ』がこうべを垂れ続け、口を開く。
彼等は、2人で1人のアナザーダブルの変身者。同時に、血を分けた姉弟のタイムジャッカーである。
「はい、スウォルツ様」
「全ては、我々の計画の達成の為に」
そんな中、彼等の会話を快く思わない者も居た。
「何だ・・・・・リグレとグナーデがアナザーライダーだったのか・・・・・?」
「それと何よ・・・・・私達が使い走りですって?」
宮廷のロビーの陰で、たまたま互いに憎まれ口を叩きあっていたウールとオーラである。 彼等はそれぞれ新たなるアナザーライダーを誕生させた後に廊下で鉢合わせた事で口喧嘩を始めていたが、彼等の耳を疑う会話に愚痴を止めて聴いていたーーと言うのが経緯。
対等であるはずのタイムジャッカーが、知らぬ所で崩れているということに困惑するウールを横目に、壁を殴り付けるオーラ。
オーラは勝気でありビッチではあるが、それ以前にタイムジャッカーとしてのプライドがあった。故に、自分が聞いてることなど露知らずアウォールスに散々自身をバカにされた屈辱に怒りを抱いていた。
苛立ちを隠さず何処かへと歩いていこうとするオーラを、ウールが引き止める。
「ちょっと待てよ、オーラ。何処に行くつもりなのさ」
「・・・・・決まってるでしょ。奴等を膝に付かせるセフ・・・・・王を探しに行くのよ。ルール違反が分かってる以上、私も好き勝手やらせてもらうわ」
オーラはそう言うと、左耳に付けていたアクセサリーのような何かを揺らす。すると瞬く間にオーラの姿が軋み、何処かへとワープして行く。
「スウォルツは一体何を考えてるんだ・・・・・」
僕の知らないところで、何か別に大きな事を動いている。その為に使い潰される程、ウールは黙ってなどない。1人残されたウールはそう決意すると、スウォルツやアウォールスらに対抗するための新たなアナザーライダーを探しに何処かへとワープした。
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