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ドリトル先生の競馬

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第二幕その一

               第二幕  チューリンゲンの騎手
 先生は大学に登校してますは講義を行ってです、そうしてそのうえでご自身の研究室に入ってです。
 最初はミルクティーを飲みながら論文を書いていました、ですが暫くして王子が来て先生にこんなことをお話していました。
「今高等部の乗馬部で面白い子がいるらしいよ」
「面白い子っていうと」
「うん、普通科の子でね」
 学部はこちらでというのです。
「ドイツのチューリンゲン出身でね」
「チューリンゲンだね」
「先生も知ってるよね」
「うん、かつて東ドイツだった地域の一つで」
 先生は競馬観戦の時を思い出しつつ王子にお話しました。
「世界遺産もあったね」
「ワルトブルク城だね」
「あのお城にルターさんがいたんだ」
 宗教改革で有名なこの人がというのです。
「ザクセン公に匿われてね」
「教会の圧力を避けてだね」
「ローマ=カトリック教会のね」
「神聖ローマ帝国皇帝は発言を撤回する様に言ったんだよね」
「教会よりはずっと穏やかだったけれど」 
 それでもというのです。
「神聖ローマ帝国はカトリックの国だったからね」
「皇帝もその立場だったから」
「どうしてもね」
「ルターにそう求めるしかなかったんだ」
 教会を糾弾する一連の発言をです。
「絶対にね」
「そうだったね」
「それでもルターさんは発言を撤回しないで」
「皇帝も断固とした処置を取らざるを得なくなって」
 それでというのです。
「法律の保護買いに置いて」
「それでだったね」
「ルターさんは皇帝や教会に批判的だったザクセン公に匿われて」
「そのお城にいたんだね」
「そしてタンホイザーの舞台でもあるよ」
「ワーグナーさんの歌劇だね」
「そうした場所で」
 それでというのです。
「東ドイツでは有名な場所だったね」
「そのうちの一つだったんだね」
「あの場所はね」
「それでそのチューリンゲンからだよ」
「高等部の乗馬部に入って」
「そしてね」 
 そのうえでというのです。
「筋がいいって評判らしいよ」
「そうなんだね」
「乗馬は日本ではあまりする人いないね」
「うん、する人はいるけれど」
「欧州程メジャーじゃないね」
「それなりに乗ってきた文化はあるよ」
 このこと自体はというのです。
「戦いの時も乗っていたし」
「源義経さんとかだね」
「武士で位のある人もね」
「乗っていたよね」
「二次大戦までは軍隊に騎兵隊もあったし」
「そっちは秋山好古さんだったかな」
「そう、あの人の騎兵隊が活躍したね」
 このお話もです、先生は王子にしました。
「日露戦争の時は」
「そうだったね」
「日本にもそれなりの乗馬文化はあるよ」
「そうだね」
「けれど島国で尚且つ山が多いね」
 先生は今度は日本の地形のお話をしました。
「そうした地形だとね」
「乗馬は発達しないね」
「そう、狭くて山が多いと」
 どうしてもというのです。
「馬に乗りにくいからね」
「馬はやっぱり平地だからね」
「それで広い場所だとね」
「余計にいいね」
「そう、だからね」
 それでというのです。 
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