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レーヴァティン

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第百五十一話 自信を砕きその七

「仕方ないな」
「それならだな」
「水軍で囲んで空船も出して」
「そして湖と空からか」
「徹底的にな」
 まさにというのだ。
「事前に敵の大砲やら何やら破壊して」
「それから大軍を上陸させてか」
「降すか、しかし徹底抗戦か」
「それを決意している」
「ならもう地下道なり掘ってるか」
「そうかもな」
「あれだな、日本軍みたいだな」
 久志は嫌そうな顔で自分達の先祖の名前を出した。
「二次大戦中の」
「島に籠って地下道まで造って戦うとなるとだな」
「ああ、もうな」
 それこそというのだ。
「あの軍隊だな」
「硫黄島だな」
「あんな島でよくあんな戦いが出来たな」
 久志は腕を組んでこうも言った。
「奇跡みたいだな」
「俺っちもそう思う」
「そうだよな、水も碌になくてな」
 二十一世紀になっても硫黄島では水は貴重品だ、それで本土からの贈りものでかなり喜ばれるのもの一つになっている。
「しかも完全包囲だったな」
「圧倒的な戦力でな」
「制海権も制空権もなくてな」
「そのうえで事前に徹底的に攻撃された」
 爆撃と艦砲射撃によってだ、陸上が更地になるまでの攻撃を受けたのだ。
「それから海兵隊が上陸してきた」
「普通戦争にならねえだろ」
「だが、だ」 
 そうした誰もがアメリカ軍の圧勝を確信する状況でだ。
「栗林忠道中将以下日本軍は玉砕を決意して戦いだ」
「それでだったな」
「戦い抜いてだ」
「自分達より多くの損害与えたな」
「そのうえで玉砕した」
「凄い話だな」
「全員が鬼神の如く戦いだ」
 芳直は彼等のことを思いつつ語った、彼にしては珍しく目に熱いものが宿っていた。そうして話した。
「そして全員壮絶な最期を遂げた」
「凄い話だな」
「そのうえで今は靖国にいてくれている」
「護国の鬼になってくれたんだな」
「そうだ、恐ろしい戦いだった」 
 実にというのだ。
「そしてだ」
「今度は俺達がか」
「アメリカ軍の様になるかも知れない」
「嫌な話だな」
「戦うとなるとだな」
「ああ、俺としてはな」
 どうしてもとだ、久志は芳直に答えた。
「やっぱり戦はな」
「しないに限るな」
「もうそれに尽きるからな」
 だからだというのだ。
「正直ロードス島みたいにな」
「徹底抗戦をする勢力はか」
「一番嫌だな」
「どうしてもだな」
「ああ、だからな」
 久志はさらに言った。
「正直今は嫌な気分だな」
「仕方ないね、やっぱりそうした戦をしないといけない時もあるよ」
 剛はその久志を慰める様に話した。
「だからね」
「今回はか」
「もう覚悟して」
 そのうえでというのだ。 
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