ドリトル先生の競馬
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第一幕その五
「同じドイツでも」
「東西に分裂してから」
「それで一つに戻っても」
それでもとです、トートーは言いました。
「色々と違っていたんだね」
「西ドイツは凄いお金持ちになっていて」
「東ドイツはそうでなくて」
オシツオサレツも二つの頭でお話しました。
「その差が凄くて」
「統一してからコーヒーでも出ていたんだ」
「いや、西の人達が普通のコーヒーを飲んでいて」
チーチーの口調はしみじみとしたものでした。
「東の人達が代用コーヒーって」
「酷くないかな」
ダブダブも彼にしては珍しくどうかというお顔になっています。
「幾ら何でも」
「何でそこまで違ったのか」
最後に言ったのは老馬でした。
「先生なら知ってるよね」
「それは経済システムが違っていたからだよ」
先生は皆に落ち着いた顔でお話しました。
「西ドイツと東ドイツでね」
「そうだったんだ」
「同じドイツでもそこが違っていたんだ」
「国の経済の在り方が」
「そうだったのね」
「そうだよ、西ドイツは資本主義で」
先生はまずはこちらの国からお話しました。
「東ドイツは共産主義でね」
「その違いがなんだ」
「東西の違いを分けたんだ」
「コーヒーも全く違う」
「本物と代用位に」
「これは車や服、食事や生活にも出ていて」
そうしたものにもというのです。
「統一された時東の人達は驚いたんだ」
「西の人達を見てだね」
「自分達と全然違うから」
「物凄く豊かだったから」
「そうだったからだね」
「そうだよ、同じドイツなのに」
その筈なのにというのです。
「どうしてここまで違うのかってね、ガムやバナナもね」
「ガムにバナナ?」
「それがどうかしたの?」
「そうしたものが」
「一体どうかしたの?」
「東ドイツではなかったんだ」
こうした食べものもというのです。
「それで統一された時に東の人達は喜んで食べたそうなんだ」
「ガムにバナナまで」
「そうしたものまでなんだ」
「東ドイツにはなくて」
「それでだったんだ」
「そう、だからね」
それでというのです。
「コーヒーだってそうだったけれど」
「今はだね」
「東ドイツでもちゃんと普通のコーヒーを飲んでいるんだね」
「豊かになって」
「それでだね」
「確かに統一当初は格差が凄かったけれど」
東西でというのです。
「もうそれがね」
「かなりだね」
「狭まってきているんだね」
「そうなってのね」
「そうだよ、まだ格差はあるけれど」
それでもというのです。
「ドイツの人達が苦労して狭めようとした結果ね」
「何とかだね」
「ドイツの東西の格差は狭まっているんだね」
「代用コーヒーも飲める様になって」
「よくなっているんだね」
「そうだよ、まあ僕はね」
ここでこうも言った先生でした。
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