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レーヴァティン

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第百五十一話 自信を砕きその五

「それならな」
「降伏勧告をして」
「それで降ればな」
「いいね」
「ああ、もうな」
 それならとだ、久志は淳二に答えた。
「いいさ、無傷で街が手に入る」
「最善だね」
「今の状況でな」
「もっと言えば戦わずにだったね」
「ああ、けれど戦になったからな」
 だからだとだ、久志はまた淳二に話した。
「それでな」
「今の状況で最善は」
「北の城壁を壊してな」
「降伏勧告をして」
「それで終わりだよ、じゃあそうなる様にな」
 是非にと言ってだ、そうしてだった。
 久志は北の城壁への攻撃を開始した、やはりビザンチウムのその壁の部分は弱く艦隊と空船でのそれで壊れた。
 そこでだった、久志は使者を送ろうとしたが。
 ビザンチウムから使者が来た、それで久志は思わず言った。
「向こうからか」
「来たよ、人がね」
 淳二が応えた。
「おいら達のところに来たよ」
「何だ?徹底抗戦とか言うんじゃないだろうな」
 久志はまずこの可能性を考えた。
「これまでずっと勧告拒んできたしな」
「だからだね」
「ああ、まだな」
 それこそというのだ。
「戦うとかな」
「そう言うか」
「そうじゃないだろうな」
「まあ話を聞こうね」
 淳二はまさかと思っている久志に明るく告げた。
「まずは」
「それからだな」
「そうそう、人の話はまず聞く」
「話したらな」
「いきなり人の話を聞かないことはね」
「よくないしな」
「だからね」 
 淳二はさらに話した。
「ここは話を聞こうね」
「あちらのな」
「それからだよ」
「そうだな、じゃあ会うか」
 久志は淳二の言葉に頷きそうしてだった。
 本陣においてビザンチウムの使者と会った、そのうえで使者の話を聞いた。だが聞いてすぐに彼は驚きの声をあげた。
「それは本当か?」
「はい、もうです」 
 使者は自分の言葉に驚く久志に意気消沈した顔で答えた。
「これ以上の抵抗は無駄だとです」
「思ってか」
「それで、です」
「降るっていうんだな」
「はい、ですが市民の安全と」
「財産は、か」
「保証して欲しいのですが」
 こう久志に対して話した。
「お願い出来ますか」
「ああ、というかな」
 むしろとだ、久志は使者に話した。
「降ってくれるのなら」
「それで、ですか」
「俺達にしてもこれで戦が終わるからな」
 ビザンチウムが手に入るということはあえて言わなかった、それで下手に使者を刺激してこの話が白紙になることを警戒してだ。
「それならな」
「では」
「ああ、いいぜ」
 こう使者に答えた。 
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