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GATE ショッカー 彼の地にて、斯く戦えり

作者:日本男児
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第9話 イタリカ戦 前半戦

 
前書き
オリジナル怪人とは別に主人公、千堂の怪人態を5月末まで募集します。ドーパント、ゾディアーツ、ショッカー怪人のいずれかでお願いします。

アイディアは感想欄、またはメッセージにお書きください。 

 
「なるほど…我々、ショッカーが倒した連合諸王国軍の残党が盗賊になってここ、イタリカを攻撃してきてると」


千堂らは会議室で現在のイタリカの最悪な状況についてピニャとフォルマル伯爵家から説明を受ける。


「では、お前達は妾に力を貸すというのだな?」


「ええ、こんな状況では龍の鱗を売るどころではないですしね」


千堂はソファにドッカリと座ってテーブルの上に置かれた紅茶を優雅に飲みながら答える。


「で?敵の数はどれくらいですか?」


「千人といったところだ」


千堂達の小隊は10人、イタリカの市民兵は2000人。どう考えても攻撃箇所を決められる分、敵の方が有利だ。


千堂は少し考えて後ろに控えていた加頭に指示する。


「加頭、基地に応援を要請しろ。こちら側の人数が足りないからとな!」


「了解しました!」 


「援軍か?今から呼んでも間に合わないであろう?」


ピニャは不思議に思う。今から伝令を送って基地に伝えても数日はかかる。援軍となると到着にどれくらいかかるかも分からない。


「大丈夫ですよ。ここなら色々手間取ったとしても夜明けまでには到着するでしょう」


超短時間に驚くピニャを無視して千堂は紅茶に口をつけ、お茶菓子を美味しく頂いた。



加頭はオ・ンドゥルゴ基地のゾル大佐に応援を呼ぶように通信していた。


「事情は分かった。今からそっちに精鋭部隊を送る」


「精鋭部隊……ですか?」
 

「そうだ。今日、異世界入りした精鋭部隊がいるんだ。異世界での戦闘データ収集の為に実戦投入させるぞ」


「了解しました。ありがとうございます」


加頭は基地との通信を切った。





「ねぇ、センドウ」


「何だ?」


千堂は戦闘準備を終え、万が一に備えて城壁で防御陣地を構築しようとしている時にロウリィに話しかけられた。


「どうして敵のはずの帝国の姫様を助けるのぉ?あのコ、イケすかないわぁ」


「……街の人を守るためさ」


「本気で言ってるのぉ?」


「本気だ」


ロウリィは呆れたような素振りを見せた。


「その帽子貸して」


「お、おう」


ロウリィは千堂の軍帽を受け取ると祈りを込めた。その様子を見て千堂が尋ねる。


「理由が気になるか?」


「エムロイは戦いの神、人を殺すことを否定しないわぁ。ただ…それだけに動機は重要なの。偽りや欺きは魂を汚すことになるのよぉ」


「ここの住民を守りたいんだ」


「それだけぇ?」


千堂は観念したようにため息をついてもう1つの理由を話し始めた。


「…俺のひいじいさんは戦闘員だった」


「戦闘員ってあの骸骨みたいな服の奴?」


「そうだ。幼い頃、両親を亡くして孤独だった俺を元気づける為にひいじいさんは戦闘員の事をよく話してくれた。昔の戦友の話、初めて昇進した時の話、仮面ライダーとの戦いの時の話、そして話の最後に決まってこう言うんだ。

『戦闘員は雨の日も風の日も仲間達と共に戦い、強敵が立ちはだかったとしても怯まずに立ち向かう尊敬すべき立派な戦士だ』とね。
幼い頃、それを聞いてそういう大人になりたいと思った。」


千堂は沈みゆく太陽を見つめながら話す。ロウリィにはその姿がどこか悲しげに見えた。それを察した千堂はロウリィの方を向いてニカッと笑って言った。


「だからあのお姫様には俺達が『立派な戦士』であることを見せつけてショッカーとケンカするより仲良くした方がいいとわかってもらうんだ」


「気に入った!気に入ったわぁ、それ!そういうことならぜひ協力したいわぁ」



それからしばらくたって夜が更け、やがて朝日が昇った。



盗賊達の先遣隊200人は早朝の朝焼けと共に襲撃しようとイタリカの東門に向けて馬を走らせていた。


するとイタリカの東門の外に黒い軍服を着た集団が集まっているのが目に入った。


「てめぇら!何もんだ?」


「我々はショッカー!無様な敗走をしたのみならず、罪のない人々を苦しめ体制に刃向かう不穏分子と化した貴様らに慈悲はない。降伏しろ!さもなくば死あるのみ!」


「舐めやがって!クソがぁぁぁ」




怒り狂い野次を飛ばす盗賊を前にして隊員達はガイアメモリを起動して腕に浮き出た生体コネクタに挿入する。


『スイーツ!』
『バイオレンス!』
『ビースト!』


また別の兵士達はゾディアーツスイッチを押してゾディアーツに変身する。



小隊長である千堂と副隊長の加頭以外の全員が変身して横一列に並ぶ。



怒号を上げていた盗賊達は凍りついた。オ・ンドゥルゴで自分達を破った怪物達が目の前にいるからだ。



「また…あのバケモノ共だ!」
「まさか……イタリカにまで!」


「さっきまでの威勢はどうした!?バケモノの数は我々より少ない!人数で畳み掛けるのだ!」 



盗賊の中の誰かがそう言うと盗賊達は血気盛んに千堂達の方に向かって走り出す。



「総員、イタリカの不穏分子を片付けるぞ……殲滅しろ!!」



千堂が命令するとドーパントやゾディアーツに変身した部下達は盗賊に攻撃を開始する。


盗賊達は一方的に数を減らしていった。


千堂の小隊員は盗賊達を馬ごと切り刻み、吹き飛ばしていく。
ドーパントやゾディアーツが体当たりをすると体が凹んで全身骨折を起こした。
中には剣や弓で必死に抵抗する盗賊もいたがドーパントやゾディアーツに効果があるわけもなく反撃され無慈悲に死んでいった。1番悲惨だったのは千堂を相手にした者だった。彼は改造人間なのでドーパントやゾディアーツよりも強力でありそのパンチ力は最大20トン、キック力に至っては最大40トンである。
一応、千堂なりに人間態のままで"手加減"はしているのだがそれでも悲惨な死屍累々を築いてしまった。
しかし千堂はそれに罪悪感など一切感じていなかった。
むしろイタリカの市民を不穏分子から守ることができたという満足感でいっぱいだった。


「……とりあえずこれで先遣隊は壊滅。あとは後方にある本隊を潰すだけだな」


「そうですね……」



ビー、ビー、ビー


突然、オ・ンドゥルゴの基地から通信が入って加頭が慌てて応答する。


「はい、はい……!?…りょ、了解しました」


通信を終えた加頭が恐る恐る千堂に報告する。


「……間もなくオ・ンドゥルゴ基地から増援が到着するとのことです」


「そうか!間もなくか!そういえば精鋭部隊だそうじゃないか」


「はい……そうなのですが……その精鋭部隊というのは……」



説明しようとする加頭を他所にイタリカ上空を1基の武装ヘリコプターが飛来し、盗賊の本隊のある平野のど真ん中で静止する。



「おいおい…あのヘリコプター……精鋭部隊ってまさか…」 


「そうです……"奴ら"です」



ヘリコプターは盗賊本隊の上空で静止する。そしてヘリコプターの扉が乱暴に開け放たれ、5人の男女が降下して、固い大地に着地する。



「だっ、誰でぃ!?てめぇらは!?」


リーダー格の男が口を開く。


「俺達はNEVER」


「ね、ねばぁー?」


リーダー格の男は親指を下げてニヤリと微笑んで言い放つ。

「さあ、地獄を楽しみな!」 
 

 
後書き
次回予告

盗賊を圧倒するNEVER。少しでも一矢報いるために盗賊達は怪異を使う。だがそれを受けたNEVERは"変身"する。


ショッカー世界の人民の生活が分からないという意見が多数、寄せられたので人民目線の番外編を製作中です。お楽しみに! 
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