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毎日の散歩

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第二章

「本当にね」
「あの娘も元気になってくれたわね」
「いつもこの娘と遊んで」
「そしてお散歩で歩く様になって」
「身体を動かしてな」
「それでご飯も食べる様になったから」
 もっと言えば身体を動かした分よく寝る様になった、睡眠時間も増えてその為余計に健康になっているのだ。
「よかったわ」
「そうだな、このままな」
「この娘にはうちにいて欲しいわ」
「そうだな、僕達も癒されるし」
「こんないい娘いないわ」 
 アンを見て笑顔で言う、見ればアンは今はクッションの上ですやすやと眠っているがその顔は実に可愛いものに見えた。
 菫は小学校に入ってからもアンと一緒に遊び散歩もいつも一緒だった、アンも彼女が家を出てそして帰る時は必ず玄関で送り迎えをした。
 やがて菫は彼女一人でアンを散歩に連れて行く様になった。朝夕のそれをこなしているとさらに健康になり。
 もう学校も滅多に休むことはなくなった、中学に入ると陸上部に所属する様になったが休日父も仕事がなく家にいてパートから帰った母も一緒に夕食を食べている時に自分の傍をご飯を食べているアンを見つつ両親に言った。
「私子供の頃身体弱かったのよね」
「ああ、いつも休む位な」
「そうだったのよ」 
 両親もすぐに答えた。
「もうどうなるかわからなかったのよ」
「心配していたんだ」
「けれどね」 
 母は娘に笑顔で話した。
「アンちゃんが来てね」
「一緒に遊んでよね」
「お散歩の時歩く様になって」
 そしてというのだ。
「身体動かしてその分食べる様にもなって」
「健康になったのよね」
「お母さんもお父さんもいつもお話してるでしょ」
「ええ、アンがいなかったら」 
 菫はアンを微笑みつつ見つつ言った。
「私こうなってなかったわね」
「陸上部に入るなんてな」 
 父もこう言った。
「とてもだっただろうな」
「そうよね、私今度の大会で選手で出るから」
 菫は豚の生姜焼きで大盛のご飯を食べつつ話した。
「頑張るわ」
「そうか、しっかりやれよ」
「折角出られるんだからね」
「うん、あと晩ご飯食べたらね」
 菫はさらに言った。
「アンのお散歩行って来るわね」
「お母さんが行くわよ」
「いいわよ、最近部活で夕方は行ってないし」
 朝は部活の朝練の前に行っている、元々早起きなのでそれは苦にならずそれで行っているのだ。だが夕方はというのだ。
「だから休日はね」
「行くのね」
「そうするから」
「じゃあお願いね」
「うん、ご飯食べたら行こうねアン」
「アン」
 アンは菫のその言葉に笑顔で応えた、そうして実際に夕方の散歩は彼女と一緒に出た。散歩に行って帰って来た菫もアンも実に楽しそうだった。


毎日の散歩   完


                2020・4・23 
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