人徳?いいえモフ徳です。
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五十八匹目
どうやら僕は色々やり過ぎたらしい。
「えーと…サイダーを………100L? アホじゃなかろうか…。
あとは……練乳はいいとして…ホットケーキは粉とレシピを………は? ソファー? 何故ソファー?」
猫カフェを始めて二日目。
僕宛てに王家から注文が来た。
筆跡を見るに国王様が直接書いたやつだろう。
しかも王印まで押してある。
勅命だ。
「あのー………」
「どうされました? シラヌイ様?」
僕に注文書を持ってきたのは、第一王女クリスティナ様と第二王女リオネ様だった。
ウェイトレスが注文のホットケーキとサイダーを持っていくと、店主(僕)を呼んで欲しいと言われたそうだ。
なので裏から出てきた所、件の物を渡されたのだ。
「この注文書って…」
「ああ、それはお父様直筆の物です。お母様に隠れてこっそり書いていたそうなので予備が王宮にも残りません」
国王様……またツェツィーリア様になぐられるぞ…。
「ああ、そういえば。それを私に手渡したのはお兄様でしたね」
お兄様? って言うことは…アーネスト様か。
そっかー。 今回はアーネスト様もアルフレッドさんの味方かー。
それにしても第二王子と第一王女をパシるとか国王様ヤベェ。
「あー………クリスティナ様」
「はいなんでしょう?」
「このサイダーというのは簡単に言えば砂糖水でしてね。飲み過ぎると体に悪いのですよ」
「あらあら。そうなの?」
「そんなもん飲んで大丈夫なの?」
「リオネ様。酒と同じです。楽しむ程度ならいいのですよ。
その害なのですが…………肥ります」
「へぇ?」
「砂糖は脂肪になりやすいですからね」
一応サッカリンも作ったが、まだ投入していない。
色々懸念事項があるからだ。
「そうなの? 知らなかったわ。砂糖なんてそう大量に取れる物でもないし」
そこでリオネ様が首をかしげた。
「そうだ。これが砂糖水ならもっと高いはずじゃない?」
「え? ああ。そりゃぁ錬金してますから。純粋な白砂糖をトン単位で常備してますよ」
この店は砂糖を非常に多く消費する。
例えばホットケーキの上にかけるもの。
チョコレートは論外、蜂蜜やメープルシロップは高級品。
と、なれば牛乳と砂糖で作れる練乳が一番コストパフォーマンスがいい。
牛乳は近くの牛人族の店から格安で買えるしな。
「トン単位!? 城の備蓄並みじゃない!」
リオネ様がソファーから立ち上がる。
「ええ。はい。ですからこの店の利潤はかなりの…」
「見せなさい」
「え?」
「砂糖を錬金する所を見せなさい」
「構いませんが」
アイテムボックスから木片とグリモワールと皿を取り出す。
皿に木片を乗せ、グリモワールを開く。
左手でグリモワールを持ち、右手を皿に乗せた木片に翳す。
「チェンジ・セルロース・トゥ・スクロース」
左手に込めた魔力がグリモワールに記述された魔方陣を通り、錬金術が発動する。
翳していた手をどけると、そこに木片はなく、白い砂糖だけがある。
「どうぞ。砂糖です。舐めてみますか?」
純度100パーセントのセルロース。
ただただ甘いだけの粉末だ。
この国で流通している褐色の砂糖と違い、各種ミネラルが入っていないので比較的健康に良くない。
リオネ様が錬金した砂糖を一摘まみ舐める。
「本当に砂糖ね…」
「と、まぁ、これと同じ事を丸太とかでやってるので備蓄は十分なのですよ」
何故か悔しそうなリオネ様。
クリスティナ様に下がるよう言われたので奥に引っ込む。
注文書を取り出し、注文の品を用意する。
ホットケーキミックスは……。
薄力粉と塩が無い……。
しょうがない。サイダーとソファーだけでも用意するか…。
練乳は砂糖とレシピ渡すので妥協してもらおう。
牛乳はうちも余裕があるわけじゃないしな。
ってそう言えばクリスティナ様達はアイテムボックス使えるんだろうか…?
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