戦姫絶唱シンフォギア~響き交わる伴装者~
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戦姫絶唱シンフォギアG
第1楽章~黒の装者達~
第5節「装者同士の戦い」
前書き
今回はF.I.S.のターンです。
推奨BGMは「月煌ノ剣」、「鏖鋸・シュルシャガナ」です。
この二人……AXZだとユニゾンする組み合わせだなぁ。
あ、それとストックは現在第10話まで溜まってます。
なのでちょっと翔ひびみくR18に挑戦してみようかと思います(唐突)
サワグチさんにも手伝ってもらいつつ、今回は任せっきりにならないように自分で書いた部分も多めになってます。
翔ひびに未来さんが加わる……最初期の没案でしたが、Twitterでポツリと呟いたところ「なにそれ見たい!」と反響がありまして、R18限定世界線として復活させる事となりました。
基本的に1対1での付き合いを至上とする自分の初挑戦。その完成をお楽しみに。
それでは第5話です、どうぞ!
翼がマリアと剣を打ち合わせている頃、中継でその様子を見ていた響達には焦りが広がり始めていた。
「中継されてる限り、翼さんはギアを纏えないッ!」
「オイ!もっとスピード上がらないのかッ!」
「あと10分もあれば到着よ!」
「それで間に合うのかッ!」
「翔……」
翔はヘリの速度と到着時間から、会場までの距離を逆算する。
(くッ……この距離だと途中で墜ちるのは確実……。せめてあと半分は距離を詰めないと……!)
「ッ!翼さぁぁぁぁぁんッ!!」
響の悲鳴で思考を中断し、何事かとモニターを見る。
そこには、ノイズの群れのど真ん中へと投げ出される姉の姿があった。
「ッ!? 姉さんッ!!」
唄わなければ死。
唄えば歌女としての人生が終わる。
そうなった時、姉がどちらを選ぶのかはよく理解しているが、だからこそ翔は叫ばずにいられなかった。
「翼さんは……歌を、捨てるつもりで……」
「姉さん! 姉さぁぁぁぁぁんッ!!」
『──聴くがいいッ! 防人の歌をッ!』
次の瞬間、モニターの画面が暗転した。
「うええええッ!? なんで消えちゃうんだよー! 翼さん! 翼さぁぁん!」
響はモニターを両手で掴んで揺らす。
それを翔が、慌てて止めた。
「待て響! モニターが壊れるぞ!」
「だって翼さんが!」
「落ち着け、画面をよく見ろ」
見れば、画面の真ん中には『NO SIGNAL』と表示されている。
それはカメラの破壊では無く、回線の切断を意味する言葉だ。
「って事はつまりッ!」
「ええ!」
「間に合ったんだ!」
「え?え?」
クリス、友里、純までもが納得する中、一人だけわけが分からない、という風に首を傾げて間の抜けた声を出す響。
翔はクスッと笑うと、どこか自慢げに説明する。
「NO SIGNAL……つまり、中継が遮断されたという事。今あの場でカメラの回線を遮断できる、翼さんの歌が何より大事な人は誰だ?」
「へ? …………あっ!!」
響はようやく納得したように手を叩く。
翔は暗転したモニターを眺めながら、誰にともなく呟いた。
「やっぱり、姉さんにはあなたがいないと……。緒川さんッ!」
ff
「──Imyuteus Amenohabakiri tron──」
翼の身体が青い閃光に包まれ、その身を一振りの剣へと変じさせる。
白地に青、黒を差し色としたインナースーツ。
その上から装着されるプロテクターは、細く、鋭利なパーツが揃う。
両足の側部にはそれぞれウイングを思わせる形状のブレードが備え付けられており、ヘッドギアやサイドテールを纏める髪留めにも、剣の切っ先を思わせるパーツが目を引く。
蒼き剣のシンフォギア……絶刀・天羽々斬が今、抜刀された。
「シンフォギア装者だと世界中に知られて、アーティスト活動が出来なくなってしまうなんて──風鳴翼のマネージャーとして、許せる筈がありません!」
丁度その頃、誰もいなくなったカメラルームにて、自らの成すべき事を果たした緒川は息を切らせながら、そう呟くのであった。
「一つ目の太刀、稲光より最速なる風の如く──」
周囲のノイズを斬り捨てると、アームドギアの刀を大剣へと変形させて跳躍する。
大剣を振り下ろすと、稲光の如き青白い輝きを放つ斬撃が、ノイズを真っ二つに切り裂いた。
〈蒼ノ一閃〉
「二つめの太刀、無の境地なれば──」
続いて両手を地面に着地し、開脚と共に間髪入れず両足のブレードを展開。
独楽のように回転しながら、ノイズを次々と切断していく。
〈逆羅刹〉
「中継が中断された……ッ!?」
呼び出されたノイズの軍勢を次々と蹴散らしていく翼。
周囲を見回し、中継画面が暗転している事に気付いたマリアは予想外の展開に驚いていた。
(……緒川さん、ありがとうございます)
そして、全てのノイズを倒し終えた翼は、再びステージに舞い戻る。
剣を霞の構えで持ち、その切っ先をマリアの方へと向けた。
「……待たせたな。これが戦場の──防人の剣だッ!」
ff
「まだ着かないんですかッ!? このままじゃ翼さんが──」
「落ち着けッ! あいつがそう簡単にやられるわけねーだろッ!」
「うん……でも……」
緒川が回線を遮断した事から、翼が戦っているという事は知っている。
しかし、響は逸る気持ちを抑えられずにいた。
「あと5分で着くわッ! 4人とも準備してッ!」
「了解です!」
友里の言葉に、純はRN式の装着準備を始める。
と、翔が何やら考え込んでいるのに気付き、純は彼に声をかけた。
「翔? どうしたの?」
「5分だから、つまりこの速度で距離は……よし! 行けるぞ!」
翔はシートを立つと、ヘリのドアに手をかけながら、友里の方を振り向く。
「友里さん、俺は先に出ますッ!」
「翔くん、何をッ!?」
「この距離なら、俺のアームドギアの方が先に着くッ! 一足先に飛び降りて、姉さんの救援に向かいますッ!」
「……分かったわ。けど、無茶はしないで!」
無言で頷くと、翔はヘリのドアをスライドさせ、迷いなく飛び降りた。
「──Toryufrce Ikuyumiya haiya tron──」
空中でギアを纏うと、翔はアームドギアである弓を出現させ……頭上へと放った。
次の瞬間、弓は半分ずつに分割されて変形し、分割面は彼のギア背部へと接続される。
一瞬にしてその弓は、まるで背中に生えた羽の様な形へと変わっていた。
弓、刀、琴に続く、アームドギアの新たな形状。
それは、翔をその名の通り空へと翔かせる「翼」の姿。
ただし、エクスドライブモードの飛行能力とは違い、長時間・長距離の飛行には向かないもの。
あくまでも短距離移動……目的地へのショートカットや、跳躍からの滞空がメインの運用方法である。
「いざ、参らん! 姉さんの立つ、戦場へッ!」
翼から噴射されるジェットで加速し、翔はあっという間にヘリを追い越して進んで行った。
向かうは愛する姉の傍。
ライブを滅茶苦茶にされた怒りを握り、翔は翔いて往くのであった。
ff
マリアは翼の振り下ろす剣を華麗に躱し、跳躍と共にマントを翻す。
その瞬間、マントは翼の方へと一直線に伸び、拳を叩き付けるが如く、翼の身を弾き飛ばした。
「──ッ! このガングニールは本物ッ!」
「ようやくお墨を付けてもらった。そう、これが私のガングニール。何者をも貫き通す、無双の一振りッ!」
再び翼の方へと接近すると、マリアは跳躍、回転を繰り返す。
黒いガングニールのマントは、マリアの動きに合わせて変幻自在にその姿を変えていた。
こちらから攻撃すれば、それを弾く強固な盾に。
逆にマリアからは、その一挙手一投足に合わせて標的を自動攻撃する鈍器に。
攻防一体の万能兵装に、翼は少し押され気味だ。
マリアがマントを広げ、再び独楽のように回転しながら翼を襲う。
「だからとてッ! 私が引き下がる道理など、ありはしないッ!」
しかし、翼を相手に同じ手は何度も通用しない。
今度はその刀で、見事にマリアのマントを受け止めていた。
──と、ここでマリアに通信が入る。
『マリア、お聞きなさい。フォニックゲインは、現在22%付近をマークしています』
マムからの言葉に、マリアは瞠目した。
(あと78%も足りてないッ!?)
一瞬の動揺。その瞬間、翼は刀を手放して跳躍する。
刀にかけていた重心が乱れ、マリアは回転をやめて立ち止まった。
この隙を逃さず、翼は展開したギアの腿部分から二本の両刃剣を引き抜くと、柄を繋げて合体させる。
双刃刀型となった翼のアームドギアは、回転と共に刀身へと火炎を灯す。
「私を相手に気を取られるとはッ!」
右手で双刃刀をプロペラのように回転させ、両足のブレードをウイングとして展開し、翼はステージを滑空する。
「幾千幾万、幾億の生命ッ! 全てを握りしめ振り翳す──」
回転と共に激しさを増す赤き炎。
それは烈火の翼が如く、すれ違いざまにマリアを切り裂き燃え上がった。
〈風輪火斬〉
「うっ……ぐっ!?」
「話はベッドで聞かせてもらうッ!」
旋回し、トドメのもう一撃……!
マリアに迫る翼の追い討ち。最早避けるには間に合わないと思われた……その瞬間だった。
月下の宵闇を切り裂いて、小さな影が飛び出した。
ff
その頃、ライブ会場上空。
翔は夜風を切って滑空し続けていた。
目的地はすぐ目の前、このまま開放された天井から降下すれば、戦場の真っ只中に降り立つ事が出来る。
そう思っていた翔だったが……その時、眼下の一点で何かが赤く光った。
「──ッ!?」
身を捩った次の瞬間、赤き閃光が頬を掠め、空へと向けて伸びていく。
「ッ! 狙撃だとッ!?」
射線から狙撃手の居場所を割り出そうとした瞬間、第二射が迫っていた。
「くッ!?」
第三射、第四射と襲い来る赤き閃光。
それが通常兵器では無い事に、翔は気付いていた。
(馬鹿な!? この射程の光学兵器なんて、今の技術じゃありえない! それを可能にする存在があるとすれば……間違いなく、異端技術ッ!)
会場に近付く度に、レーザーが避けにくくなっていく。
しかし、そのレーザーはギリギリ命中しそうでこそあるものの避けられない訳ではない。
そんな絶妙な位置を狙って放たれている事に、翔は気付いた。
つまり、狙撃手は翔を撃墜するために撃っているのではなく、誘っているのだ。
まだ姉や本部が気付いていない伏兵……おそらく、目的はこちらの足止めだろう。
見過ごせばステージで戦う姉や自分を、容赦なく狙撃して来る……。そう気付いた翔は、この見え透いた誘いに乗ることを選んだ。
「だったら……ッ!」
翔はそのまま、ギリギリまで滑空を続ける。
加速が不要になる地点まで到達すると、翔はアームドギアを背部から脱着し、そのまま自由落下へと移行する。
そして会場の外壁へと数発、光矢を射出する反動で勢いを減衰させながら、そのまま外壁を蹴り抜いた。
「っ……とッ!」
蹴り抜いた壁から飛び降り、先程まで観客達が大勢移動していたであろうだだっ広い廊下を数歩進む。
静寂の中、足音がやけに大きく響く。
すると突然、前方の天井に大穴が開き、人影が着地する。
どうやら狙撃手は向こうから姿を現したようだ。
「こちらの誘いに乗ってくれるとは、中々気が利くじゃないか。そういう男はモテる。間違いない」
「……お前は?」
黒字に真紅のインナースーツ。胸部、両肩、両腕、両脚を、その上から黒に一部が銀色のプロテクターが覆っている。
特に目を引くのは、明らかに重装備となっている右腕のアーマーだ。
手首の部分は銀色のリング状になっており、リボルバーのような窪みには、見知った赤いコンバーターが嵌め込まれている。
翔や純の持つそれが腕輪なら、彼のそれは篭手……いや、正確には義手だ。
そして、悪魔の角のような二本の突起が付いたヘッドギア。
それを纏いし者は……マリアと共に居た青年、マネージャーのツェルトだった。
「RN式だとッ!?」
「他人に名前を聞く時は、自分から名乗る。それがこの国のルールだと聞いているが? 違うのか、ファルコンボーイ」
ツェルトは挑発的な笑みを浮かべながらそう言った。
「ファルコンボーイ……?」
「大空を飛びながらやって来たんだ。まさにサム・ウィルソン……ファルコンじゃないか」
「ああ、だから……って、俺はアベンジャーズじゃない! ……特異災害対策機動部二課、伴装者の風鳴翔だ。大人しく投降してもらえると有難いんだが?」
謎のあだ名の理由に納得するも、つい突っ込んでしまう翔。
いきなり飛び出した意外な名前に、調子が狂いそうだ。
「俺はジョセフ、ジョセフ・ツェルトコーン。お前とは友達でもなんでもないから、ジョセフで十分だ」
「ジョセフ……お前は、いや、お前らは一体……」
「さっき彼女が名乗っていただろ? 俺達は武装組織フィーネ、終わりの名を持つ者。そして俺はその装者……いや、お前らに倣うなら伴装者ってわけだ」
「ッ!? 俺達以外の伴装者だと……!?」
ツェルトの右手に握られているのは、黒と赤のレーザーライフル。
どこか見覚えのあるそのアームドギアに、翔はまさかと目を見開く。
「それは……その銃、まさか!?」
「投降はしない。そして……マリィの邪魔はさせないぜ、ファルコンボーイ」
ツェルトはニヤリと笑うと、アームドギアを二丁の拳銃型に変化させ、翔の方へと向けながら走り出した。
ff
「ッ!?」
突如、紅の丸鋸が幾つも飛来し、翼の背後を狙った。
気配を感じた翼は即座に背後を振り返り、飛来する丸鋸を、回転させ続けていた双刃刀で防御する。
その目に映ったのは、黒地に薄紅色のシンフォギアを纏った黒髪の少女。
その耳に聞こえるは、新たな唄であった。
「首を傾げて 指からするり 落ちてく愛をみたの──」
〈α式・百輪廻〉
頭頂部からリボンのような形状のヘッドギアに繋がった、ツインテール状のパーツが展開され、大量の丸鋸を射出する。
更に、黒地に深緑のシンフォギアを纏う金髪の少女が彼女の背後から飛び上がり、その手に構えた大鎌を振りかぶった。
「調だけじゃないデスよッ! アタシもいるデスッ! はッ!!」
〈切・呪リeッTぉ〉
スライドし、三つに分裂した鎌の刃が射出され、左右別方向から翼を狙う。
押し寄せる丸鋸を防ぐ事に気を取られた翼は、避ける事が出来ずにそれを受けてしまった。
「ぐあッ!?」
ステージの縁まで吹っ飛ばされ、翼は地面を転がる。
黒髪の少女は、可動部の少ない円筒状の脚アーマーの足底部から火花を散らしながら着地し、金髪の少女もその隣に降り立つと大鎌を肩に抱えた。
「……危機一髪」
「まさにか間一髪だったデスよ!」
「装者が……三人ッ!?」
それは先程、緒川が出会った少女達であった。
「調と切歌に救われなくても、あなた程度に後れを取る私ではないんだけどね」
二人の間に、倒れる翼を見下ろしながらマリアが立つ。
その口元には、未だに余裕の笑みが見て取れた。
「さて、これで3対1だけど、あなたはどうするのかしら?」
一人で何体ものノイズを相手取り、更にはマリアとの戦闘で、翼には既に疲労が出始めている。
そこに二人の装者が加わるとなれば、翼と言えども苦戦は免れない。
しかし、翼もまた、見下ろすマリアへと不敵な笑みを返して答える。
「貴様みたいのはそうやって──」
「……?」
「見下ろしてばかりだから、勝機を見落とすッ!」
「──上かッ!?」
三人の黒き装者が見上げると、そこにはヘリから降下してくる響とクリスの姿があった。
「土砂降りなッ! 十億連発ッ!」
〈BILLION MAIDEN〉
アームドギアをガトリング砲に変形させたクリスが、黒き装者達を牽制する。
調と切歌、と呼ばれた二人の装者はそれぞれ飛び退き、マリアは身を低くしながら頭上にマントを展開して防御する。
「うおおおおおおおおおッ!」
「──くッ!?」
そこへ、響が落下の勢いを乗せた拳を打ち込もうと迫る。
気付いたマリアは間一髪の所で飛び退くと、響の拳はステージの床に突き刺さり、モニターを砕いた。
「はッ!」
「翼さんッ!」
お返しとばかりに振るわれる、マントによる殴打。
それを避けながら、響は翼を抱えてステージを飛び降りる。
そこにクリスも合流し、横並びになった装者達はそれぞれ睨み合う。
「立花、雪音、翔達はどうした?」
「それが、わたし達より先に降下した筈なんですが……」
「こいつらとは別に、もう一人いるらしい。ジュンくんが援護に回ってる」
「なんだとッ!?」
見当たらない弟を心配する翼に、予想だにしない返答がもたらされる。
どうやら敵は、こちらとほぼ同数の戦力を保有しているらしいのだ。
「ツェルトね。伴装者を足止めしてくれるなんて、流石は私のマネージャー。頼りになるわ」
「だが、それはそちらも同じ事。弟が貴様らの仲間を足止めしてくれているなら、そちらもこれ以上の援軍はないという事ッ! これで互いに同数、勝負はこれからだッ!」
「遅れた分、全力で暴れてやらぁッ!」
私の弟が、奴らに遅れを取るはずなどない。
姉バカじみているが、翼は翔の実力を信じている。
クリスもまた同様に、純の強さを信じているからこそ、自分も負けられないと意気込んでいた。
それぞれの信じる者が戦っているからこそ、二人は闘志を燃やす。
「やめようよ、こんな戦いッ! 今日出会ったわたし達が争う理由なんてないよッ!」
……と、ここで口を開いたのは響だった。
以前も似たような言葉を聞いた気がする、と翼とクリスは思い出す。
響は人間を相手に戦う事に抵抗がある、元来のお人好しだ。
相手が人間となれば、そこが戦場だろうと関係なく、戦うよりも話し合う事での解決を望む。
それは、決して悪い事ではない。二人はそれを、身をもって知っている。
あの時は「戦場で何を馬鹿な事を」と一蹴したが、彼女と手を繋ぎ、話し合ったからこそ今の自分はここに立っているのだ。
だからこそ、二人は響を止めようとは思わない。
止めても無駄だと分かっているし、彼女が自分なりの信念を持ってそう言ってるのだと、今の自分達は知っているのだから。
……だが、黒の装者達は違う。
「そんな綺麗事をッ!」
「──えッ?」
「綺麗事で戦う奴の言う事なんか、信じられるものかデスッ!」
調は響を歯ぎしりとともに、侮蔑に染まった目で睨みつける。
切歌は右手に握った大鎌で響を指しながら、調と同じく厳しい視線を向ける。
その姿は、あの日の翼とクリスによく似ていた。
「そんな……話せば分かり合えるよッ! 戦う必要なんか……ッ!」
「……偽善者」
「……え?」
「この世界には、あなたのような偽善者が多過ぎる──だからそんな…世界は… 伐り刻んであげましょうッ!」
再び歌い始めた調の丸鋸が、響を狙って射出された。
「あ──ッ!」
装者同士の戦い。その火蓋は、対話の観念を生温いと一蹴された上で、容易く切って落とされてしまった。
後書き
ってなわけで、とうとうきりしら参戦!
きりしら推しの皆さん、お待たせしました!イガリマ、シュルシャガナ、ようやく登場です!
それからツェルトのRN式もようやくお披露目できましたね。モチーフはダークメフィスト+ダークルギエル、義手の部分はジードライザーモチーフです。
どっからどう見ても「ダークヒーロー感あふれるヒール」な選び方ですね、ええw
そして彼が使用している聖遺物は……おっと、今はまだ伏せておきましょう。
敢えて沈黙することで、読者の想像を掻き立てるのもまた一興。
次回は翔、純VSツェルトの伴装者対決になります。ご期待ください!
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