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レーヴァティン

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第百四十八話 連合王国降伏その三

「例え術が封じられている場所で刺客に囲まれてもな」
「その剣があるからか」
「大丈夫さ、毒を盛られようとしてもな」
 こちらの暗殺の話もした、左手の薬指にある指輪を観つつ。それは妻との結婚を表すものだが別の役割もあるのだ。
「これがあるからな」
「毒があると反応するな」
「この白く輝く宝石が黒くなるんだよ」
 毒に寄せるとだ。
「腐ったものにも反応するしな」
「食中毒も防ぐな」
「タチの悪い虫にもな」
 即ち寄生虫にもというのだ。
「だからそっちも大丈夫だよ」
「お前一人でもか」
「それにレーヴァティンがなくてもな」
 帯剣が許されずともというのだ。
「素手でも戦えるだろ」
「それだけの力量を備えたのは確かだな」
「冒険の中でな」
 その時に多くのモンスターを倒してきた、巨人も含めて。そうして肉体自体も強さを身に着けたというのだ。
「だからな」
「それでか」
「ああ、大丈夫さ」 
 例え自分一人で赴いてもというのだ。
「生きて帰って来るさ」
「罠なら破ってくるか」
「そうだよ、だからこの話乗るぜ」
「そうするか」
「マドリードに行くな」 
 そして連合王国の王、女王そしてこの国の要人達と会うというのだ。
「そうするな」
「そうか、ではな」
「ああ、詳しい話を聞くな」 
 使者から連合王国からのマドリードでの会談の申し出についてというのだ、そして実際にその話を聞くと。
 連合王国側はマドリードで久志達帝国の主な面々と彼等の軍の陣地で話したいと言ってきていた、マドリードまで来た彼等のところに自分達が赴き。
 その話を聞いてだ、夕子は言った。
「降伏ですね」
「その為の話を申し出たんだな」
「はい、これはです」
「敵の陣地での話を申し出たからにはな」
「降伏です」 
 その話をしに来たというのだ。
「明らかに」
「敵の陣地に入って話をするとかな」
「敵の大軍に囲まれて、ですから」
「普通は入ろうとしないな」
「もう観念してです」 
 そしてというのだ。
「それ自体が降伏の意思表示で」
「それでだよな」
「申し出てきました」
「何かされてもってまで思ってな」
「そこまでの覚悟で」
「そうだよな」
「はい、では」
「ああ、こっちはそこまで求めないさ」
 久志は夕子に明るい声で述べた。
「俺達としてはな」
「左様ですね」
「ああ、じゃあな」
「これからですね」
「返事を送るな」
「それには及ばないと」
「話はお互いの軍勢の間でな」
 そこでというのだ。
「話をしような」
「そう返事をしますね」
「そしてな」
 そのうえでというのだ。
「降伏の話をしような」
「それでは」
 夕子も頷いてだ、こうしてだった。 
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