ガールズ&パンツァー もう一人の転校生
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予選トーナメント組み合わせ抽選会
先月に戦車道全国大会が閉会して、今月からは大狩流派祭と呼ばれている大会に参加することになりました。
大会には大狩流派連合に所属している31校と、一般参加の9校で行われる。
例年よりも少ない参加に、私も驚きました。
一番大きな影響は、西住流の不参加であると言われている。
抽選会の会場には、全国大会で見た顔ぶれがいなかった。
それもそのはずである。
全国大会に出ている学校のほとんどが、決勝トーナメントからであるのだから。
予選トーナメントの上位8校が名門と言われる学校に下剋上が出来る。
『只今より、大狩流派祭、予選トーナメントの抽選会を開始します。半田女子高から順番にお願いします。』
一人の生徒が段上に上がり、カードを引いた。
そして同じ番号の書かれたトーナメント表に自分達の札をかけた。
次々に札がかけられているなか、ついに大洗の番がやって来た。
『大洗女子学園、一番。』
一番の所に札をかけた。
『次は去年の決勝トーナメント三位の文教女学院です。』
青色の制服を着た女性がカードを引くと、
『文教女学院、一番。』
すると後方の学校が歓喜のあまりに、
「よっしゃー。」
等と声を出した。
私のとなりにいた優花里さんが頭を抱え込んでいた。
「秋山さん、どうしたの?」
「梨華さんもご存じだと思いますけど、私たちの戦車が全部で十輌にたいして、あちらは三十輌もあるじゃないですか?」
「それがどうしたの?」
「大狩流派祭は殲滅戦だと聞いていますので、圧倒的に不利だと思いまして。」
「秋山さん、何を言っているの?この大会の試合は全て、制限が十輌までなんだよ。」
「そうなんですか?なら安心ですね。」
「去年なんて私たちに負けたんですから心配はいりませんよ。」
去年の梨華達をテレビ越しでしか知らない優花里からすれば、余計な混乱を招くだけであった。
『次、青葉女学園。』
段上を見ると、かつての仲間である、桜がいた。
『青葉女学園、十三番。』
「よっしゃー。」
またしても後方の学校が歓喜のあまりに声を出した。
「梨華さん、あの学校は一体なんですか?」
「上越高等学校。去年の予選トーナメントの優勝校。」
「桜さん、勝てるでしょうか?」
「難しいでしょうね。」
「それにしても多いですね。去年はもっと多かったんですよね?」
「確かに多かったわ。それでも私たちは頑張ったけどね。」
『鹿島女子学園、32番。』
聞き慣れた学校の名前が聞こえて、大洗の一同は驚いていた。
「梨華さん、鹿島女子学園と言うのは私たちと同じ茨城県の学校ですよね?」
「茨城県立鹿島女子学園。去年の予選トーナメントの二位の学校だよ。結構強かったかな?私が言えるの、大洗よりは強いということ。」
「そうなんですか!あれ?あの人どこかで見たことがあるような?」
そこに自動車部の鈴木さんが、
「あれ、私の姉ですから。」
「鈴木さんのお姉さん!戦車道していたんですか?」
「姉はね。毎週、大狩流の稽古に行っているらしいです。」
「そうなんですか。でもあったことはないですね?」
「それについてはわかりませんが。」
「梨華さん、なぜ鹿島女子学園の事を教えてくれなかったんですか?」
私はなんて言おうか迷った。
レベルの低い学校にいることがバレてしまうからとは言えなかった。
そこで私は、
「そんなに交流がなかったから忘れていたんです。」
「そうですか。ですが同じ大狩流派連合の仲間ではないんですか?」
「その辺はなんとも言えません。」
「実際は頭が悪かったり。」
「そんなことは無いですよ。梨華隊長は白河女子高の学年首席でしたから。」
「それは言わなくいい。」
裕香を軽く殴った私は直ぐに麻穂の様子を見た。
彼女は気持ちよさげに寝ていた。
「ところで梨華、他の学校は帰っているのに帰らないの?」
私は辺りを見渡し、ほとんどの学校が帰っているのを確認した。
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