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レーヴァティン

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第百四十六話 マドリードへ向けてその四

「そしてリスボンのフォガーノ兄弟には陸路とタホ川から一気にマドリード、そのアルカーサルの北の道までな」
「向かってもらうね」
「遠いにしても向かってもらうさ、そしてカルタヘナのモンフェラート将軍、バレンシアのトスカーナ将軍にはそれぞれの陸路、川路からアルバセテに向かってもらう」
「アルカーサルの南東の」
「ああ、あそこに向かってもらってバルセロナのオトアバル将軍はサラゴサまで向かってもらう」
「複数の軍を同時に動かし」
「敵主力にもその動きを耳に入れさせる」
「そして焦らせ」
「そうしてな」
「決戦にだね」
 剛は微笑んで言った。
「選択肢を限らせるんだね」
「ああ、今敵は結構余裕あるかも知れないだろ」
「決戦を挑んでもいいしね」
「若しくはな」
「首都で待ち受けてね」
「戦ってもいい、けれど各方面から進む動きを見せれば」
 実際に動けばというのだ。
「そうしたらな」
「敵としてはね」
「もうまずは俺達が率いる主力を決戦で潰して」
「首都に来る敵を各個撃破する」
「それしかなくなる様にな」
「相手の考えをもっていくんだね」
「ああ、じゃあ退いてな」
 一旦そうしてというのだ。
「然るべき場所でな」
「決戦になるね」
「それに持っていくな」
 久志は剛に笑って話した、そしてだった。
 実際に自分達が率いる軍勢をグラナダ方面まで退かせた、すると敵主力はこれまでより速い動きでリナレスに入り。
 そこからグラナダの方に来た、久志はその報を聞いてだった。
 全軍にだ、こう命じた。
「よし、じゃあ敵が後ろに見えたらな」
「その時にですね」
「反転して、ですね」
「そのうえで、ですね」
「敵を待ち受けて」
「決戦に挑みますね」
「ここまで誘い込んだんだ、ならな」
 それならというのだ。
「ここでな」
「勝ちますね」
「その様にされますね」
「ああ、それまではゆっくりな」
 わざと遅い進軍速度でというのだ。
「進んでいくな」
「わかりました」
「それではですね」
「敵が見えるまでは」
「この動きですね」
「ああ、いいな」 
 こう言ってだ、そのうえでだった。
 久志は敵軍が見えるまで軍勢をあえてゆっくりと進ませた、そして敵が見えると即座に全軍を反転させた。
 そうして敵軍を見るとだった。
 中央と左翼は重装歩兵、テルシオを幾十も配しており。
 右翼には騎兵隊がいる、数は十万程で空には十隻の空船がある。大砲は全軍の前に置かれている。その布陣を見てだった。
 久志は馬上からこう言った。
「ぶつかって勝てる相手じゃないな」
「あのテルシオにはね」
 双葉が応えた。
「ちょっとやそっとではね」
「ああ、そうだな」
「テルシオは言うならお城よ」
 双葉は敵の主力であるこの方陣について述べた。 
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