真恋姫を駆けた男
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西涼で馬を貰う
~馬騰side~
娘たちが帰って来たと思ったら、どうやら曹家の兄に刃を向けたらしい。
しかし、曹家の兄と言えば今、朝廷から追われている身ではなかったか?
その真偽も確かめるべく、私は会ってみた。
「どうも、私が西涼の領主をやっている、馬騰と申します。」
と軽く挨拶をした。
さあ、どう反応する?
「ご丁寧にどうも。俺は蒼騎 真紅狼だ。」
「『蒼騎』?・・私の記憶が確かならば、貴方は『曹家』の人間のはずでは?」
「ああ。確かに俺は曹家の人間だが、“曹”の名を貰ってないんだよ。」
「・・・そうですか。もう一つ聞きたいのですがよろしいか?」
「どうぞ」
「貴方は今でも朝廷に追われているのでは?」
「まあ、な。・・・だから、こうして旅をしながら逃げているんじゃないか。」
なにやら言葉が途切れた。
訳ありだなこれは。
「出来れば、追われている理由をお話してくれませんか?」
「・・・・・・・・」
「重要な部分は省略しても構わないですよ。」
「簡略に言うと、近くを治めていた豪族に喧嘩売った。」
なにか含みのある言い方をしていたが、聞き出すのも失礼にあたると感じたので追及はしなかった。
~馬騰side out~
~真紅狼side~
ここで待っていてくれ。と言われたので待つことにした俺は辺りを見てみると馬が治めている土地というだけにあって。馬が多い。
そんなことを考えていると、領主が出てきた。
名は馬騰というらしく、あの二人の伯母に当たるらしい。
自己紹介をしてきたが、・・・これは試されてるな。
試されているということが分かったので、至って“普通”に対応した。
その後、まあ追われている理由を聞いてきたので、メッチャ簡単にまとめた。
一から説明するのも面倒なんで。
そんなやり取りを終えた後、馬騰がこんな提案をしてきた。
「して、真紅狼殿。一つ頼みがあるんですがよろしいか?」
「俺に出来ればですが。」
「なに、ウチの娘と手合せをお願いしたいんですよ。」
「手合せねぇ。・・・何考えてやがる。」
「・・・ウチの娘はいかんせん怖いもの知らずでしてね。世の中はもっと広いことを教えてやりたいんですよ。」
「なるほど。・・・やr「やってくれたら、曹家に西涼の馬を送るぞ?」・・ふむ。」
西涼の・・・。しかも、馬が育てた馬か。良い条件だな。
「まあ、いいだろう。受けるか。」
「そうかい。では今すぐにでも始めよう。」
と言って、俺に外に出るように促した。
~真紅狼side out~
~馬超side~
馬騰伯母さまから呼び出された私は嫌だけど、呼びかけに応じた。
「伯母さま、来たよ。」
「よく来た。翠」
「翠?」
「おや、まだ真名を教えていなかったのかい?」
「教える必要がないだろ。伯母さま。それで要件というのは。」
「そうだった。翠、真紅狼と手合せをしな。」
「「はい?」」
私とついてきた蒲公英は口を揃えて、疑問形?で答えた。
「なんでアタシがコイツと戦わなければならないんだよ!」
「それは「俺がお前もよりも強いからだ」だそうだ。」
ちょっと、「カチンッ!」と来た。
お前がアタシよりも強い?
武器も持たないでいい度胸じゃないか。
「武器も持ってない奴に負けないよ、アタシは!!」
「吼えることだけなら誰でもできるぞ?」
とさらに挑発してきた。
「泣いても許さないからな」
「お前こそ泣くなよ?」
と真紅狼の言葉が発し終えたあと、アタシは動いた。
~馬超side out~
~馬岱side~
私は、今お姉様と真紅狼の試合を見ているが、一方的だった。
最初は、武器も持たない真紅狼なんか一瞬でやられる。と思っていたが、実際は違った。
お姉様の槍は一度も真紅狼を捉える事が出来ず、全て避けられるか弾かれるのどちらかだった。
しかも、弾いた後は軽い反撃までしていた。
「お姉様が・・・傷モノにされている。」
「してねぇよ!?」
「そ、そうだぞ!!蒲公英。そして、いい加減武器を持て、真紅狼!!」
「武器を持ったら、一瞬で終わるぞ?」
「そう簡単にやられるわけない・・!?」
気が付いたら、お姉様の首の部分に刀があった。
「なっ?!」
「これで、分かったろ?」
「ア、アタシは認めない!こんなこと認めない!!」
「なら、全力で打ち込んでみろ。」
「なに?」
「全力で打ち込んでみろ。って言ったんだよ。自分の力がどれほどの力なのか教えてやる。」
「な、舐めるなーー!!」
と、感情的になったお姉様は槍を振り降ろした。全力で。
活剄衝剄混合変化 金剛剄
槍が真紅狼さんにぶつかる瞬間、金色の何かが真紅狼さんを包み、お姉様の槍を弾き返しながら吹き飛ばした。
「これで分かったか?武器を持っても持たなくても、お前に勝てるということと同時にお前は井の中の蛙だったことを」
「・・・・・・(泣)」
あ、お姉様がちょっと泣いてる。
~馬岱side out~
~真紅狼side~
「なんで泣くんだよ。」
「う、うるしゃい!・・・うう、グスッ」
「ホントですよ、お姉様。」
「蒲公英もうるさい」
「さっきのなんだい?」
と伯母さまが聞いてきている。
あ、私も興味がある。
「あー、内緒で。」
「どうしてもかい?」
「まあ、教えてもいいんですけど、“氣”を使えなきゃ使うことが出来ないんで。」
「なら、仕方ないか。」
「で、報酬の方なんですが・・・」
「ああ、今度持っていこう。そうだアンタ一緒に行かないかい?」
「あー、このあと呉の方にも行きたいんでちょっと。」
「そうかい。」
「俺の名を出してくれれば、多分曹操に伝わると思うんで。」
「もし、伝わらないようでしたら、碧羅に伝えてくれ。」
「碧羅ね。」
「あ、俺専用に馬を一頭欲しいんだが、いいか?」
「それなら・・・見て行きなよ。」
移動中・・・
馬舎に来た俺たちは、目の前に広がるのは馬だらけ。スゲェ数だな。
見回す中に一頭だけ群れから離れている、漆黒の馬がいた。
「馬騰、あの馬は?」
「ああ、アレかい?あの馬は少し自己意識が強くてね。他の馬とも交わらないし、あたしたちも扱いに困っていてね。近づこうとすると、追い返すんだ。」
「へえ・・・」
と言って俺は真っ直ぐそいつの元に向かった。
「お、おい危ないぞ!?」
「・・・・・・・・」
辿り着いた俺は、その馬に触れようとした。
「よ、止せ・・・?」
その馬は暴れず、むしろ、何かを見極めているような感じがした。
その後、その馬は俺に対して頭を垂らした。
「馬騰! 俺はコイツにするぜ!」
「ああ、持って行きな。」
「お前の名は“黒鷹”だ。そして俺は真紅狼だ。よろしく頼むぜ?」
「ブルルルル・・・」
「おう。頼むぜ。さて、そろそろ、呉に行こうかね。」
「なら、私たちと途中まで一緒に行こうか。」
「はいよ。」
俺は黒鷹に乗り、馬騰ともに途中まで一緒に旅をし、呉へ行く分かれ道で別れた。
「じゃ、俺はこっちだから・・・」
「ああ、また今度逢おうじゃないか。」
と言ってお互い向かう目的地の道に入った。
~真紅狼side out~
別れた後、数週間かけて、呉に着いたんだが・・・。
また、武器を向けられた。
またかよ!!
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