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黒魔術師松本沙耶香 糸師篇

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第一章

               黒魔術師松本沙耶香  糸師篇
 渋谷の道玄坂はいつも流行の最先端を追う若者達で溢れ返っている、道の左右に連なっている店には全て多くの客が出入りしている。
 その中のあるアクセサリーショップも中に多くの客達がいた、だがその客の殆どは。
 十代そして二十代の美少女美女ばかりである、皆黒を基調とし魔法を入れられたかの様な様々なアクセサリーを見ている。
 ネックレスやブレスレット、イヤリングに指輪とアクセサリーは様々だ。ブローチもあればペンダントもある。その他の装飾品もあれば日常に使うものにルーン文字やペンタグラムを書き込んだものもある。
 そのアクセサリー達を見つつだ、彼女達は話していた。
「このお店のアクセサリーご利益凄いらしいね」
「そうらしいわね」
「もう身に着けているだけで運がよくなったり」
「元気になったりね」
「学校の成績や仕事の業績も上がって」
「身体も守ってくれるみたいね」
「しかもどれもそんなに高くないし」
 良心的な値段といえた、美少女美女達はその値段も見て魔法のアイテムを思わせるアクセサリー達を物色してだった。
 レジの黒を基調としたゴスロリやメイド服の可愛らしい店員達に話をして買っていく、店はいつも繁盛していた。
 夜に売り上げを聞いてだった、黒づくめ美女は満足そうに微笑んだ。
「今日もいい感じだったわね」
「はい、売り上げは順調でした」
「満足すべきと思います」
「そうね、何しろどの品物にも私が直接魔法を入れているから」 
 美女は微笑んだまま言った、見れば。 
 一七〇程の長身で大きな胸と長くすらりとした脚が目立つ肢体を黒のスーツとズボンで覆っている、ブラウスは白でネクタイは奇麗な赤だ。靴も黒いがヒールではない。男が穿く様な靴である。
 長い黒髪を後ろで上げて団子にしてうなじを見せている、面長の卵型の顔は雪の様に白く細く長い黒い眉が奇麗なカーブを描いていてその下に長い睫毛を持っている切れ長の目がある。鼻は高く紅の唇は小さい。この世のものとは思えぬ妖艶な美しさをその場に出している。
 その美女がゴスロリやメイド姿のまだ少女と言っていい年齢の店員達に言うのだった。
「効果がない筈がないわ」
「左様ですね」
「ご主人さまが直接魔法を入れられているのですから」
「全ての品物に」
「それで効果がない筈がないですね」
「絶対に」
「そうよ、魔法を使うことが出来ればそれで生きていく」
 美女は微笑んでこうも言った。
「そうしていけばいいのよ」
「魔術師には魔術師の生き方がある」
「そういうことですね」
「そしてご主人様は魔術師として生きておられる」
「今の日本で」
「そういうことよ、今の日本は魔術師にとってとても暮らしやすい国よ」
 美女は少女達に微笑んでこうも言った。
「異端審問も何もないから」
「魔女狩りもないですね」
「それも一切」
「日本には昔からなかったですが」
「今もですね」
「勿論あんな連中に私はどうも出来ないわ」
 恐ろしい異端審問官達についてだ、美女は余裕に満ちた声で述べた。 
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