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ドリトル先生の林檎園

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第十二幕その八

「忘れてはいけなかったしね」
「そう、先生は忘れないよ」
 ジップは断言しました。
「人と人のお付き合いのことはね」
「そのことも先生の長所よ」
 ポリネシアも言います。
「人としてのね」
「その気遣いも好かれる点だよ」
 ガブガブははっきりと指摘しました。
「皆からね」
「その気遣いがね」
「先生が皆から好かれて」
 チープサイドの家族も言うのでした。
「女の人からもね」
「そうなるんだね」
「だから先生」
 ホワイティは先生が座っている席のテーブルの上から言います。
「少し見方変えたらいいよ」
「謙虚と諦めって違うよ」 
 トートーは先生の諦めを言いました。
「全然ね」
「そうそう、謙虚はそこからいい評判を生むけれど」
 チーチーは先生の紳士さの源の持ち前の謙虚さを思いました。
「諦めはそこで終わりだから」
「本当にそれで終わりで」 
 老馬も言います。
「前に進まないんだよね」
「そう、本当に」
「そこから先に進まないよ」 
 オシツオサレツは二つの頭で先生に言いました。
「お友達だけじゃないよ、世の中は」
「他の存在の人達もいるよ」
「先生だってそうよ」
 最後に言ったのはダブダブでした。
「どう?少し考え変えたら?」
「考えね、それが何か」
 どうかと言う先生でした。
「僕にはね」
「わからないよね」
「今だって」
「どうにもね」
「そうよね」
「皆が何を言ってるのかね」
 そのことがというのです。
「どうにも」
「そうだよね」
「先生はね」
「けれど僕達は言うから」
「しっかりとね」
「今だってね」
「ううん、僕は何をすればいいのかな」
 ロイヤルミルクティーを飲みつつ首を傾げるばかりなのが今の先生でした、どうにもわからないので。
「一体」
「だからね」
「そこを考えてね」
「ちょっと考え変えたらわかるから」
「それでね」
「本当にそれだけでね」
「僕達も怒ってないしね」
 皆実は先生には怒っていません、やれやれとなっているだけで。
「ほんの少しでいいから」
「先生は少しだけね」
「考えを変えてね」
「それだけでいいから」
「本当にそれだけで」
「あの人はね」
「そうだよ、それだけで」
 本当にというのです。
「先生の人生は今以上に素晴らしいものになるから」
「必ずね」
「先生は今の幸せで満足しているけれど」
「もっとよくなるよ」
「今以上に幸せになれるよ」
「それもね、僕は今最高に幸せで」
 これ以上はない位にというのです。 
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