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第四章

 花楓は部活に出た、部室に入ると今は誰もおらずそこでジャージに着替えて部活を行っている体育館に行くと部長に言われた。
「遅い」
「すいません」
 花楓はすぐに謝った。
「ちょっと用事がありまして」
「用事?」
「友達の相談聞いてました」
 真実を隠して遅れた理由を述べた。
「ですから」
「そうなのね、けれどね」
「はい、出来るだけですね」
「部活は遅れない、じゃあ準備体操をして」
 部長は花楓に真面目な顔で告げた。
「そうしてね」
「そのうえで、ですね」
「ランニングに参加して、私達先に行くから」
「そうさせてもらいます」
「サーキットは後でしてね」
 見れば卓球部の女子は今は体育館の中でそれをしている。
「ランニングの後で」
「そうさせてもらいます」
「それじゃあね」
 部長は花楓にテキパキと言い花楓もそれに応えてだった。
 部活で汗を流した、その後でだった。
 校門に行くと誰もいなかった、それで同じ卓球部の仲間達から声をかけられた。
「一緒に帰らない?」
「マクド行かない?」
「あっ、ちょっと用事があるから」
 ここでもだった、花楓は真実を隠して応えた。
「今日はね」
「いいの」
「そうなの」
「それじゃあ」
 部員達は花楓の言葉の真実までは考えずだった、そうして。
 校門のところで待っているとだった、彼が来た。彼は花楓を見ると最初に驚いてそのうえで笑顔で言った。
「待っていてくれたんだ」
「気が向いたから」
 花楓はその恒興にこう返した。
「だから」
「有り難う、じゃあね」
「一緒によね」
「うん、どっちかの最寄りの駅までね」
「電車の中までね」
「一緒だね、けれど待っていてくれたから」
 恒興は花楓に笑顔のままで言った。
「本当にね」
「嬉しいのね」
「こんな嬉しいことないから」
 その笑顔で言うのだった。
「本当にね」
「嬉しいのね」
「そう、そして」
「そして?」
「これからもよかったら」
「気が向いたらね」
 花楓の返事はここでも素っ気ないものだった。
「それならね」
「気が向いたらだね」
「その時はこうしているから」
「待っていてくれるんだ」
「ええ、じゃあこれからね」
「一緒に帰ろうね」
「学校出るから」
 ここでだ、花楓は。
 サングラスを出してそれをかけてだ、恒興にあらためて言った。サングラスは黒のレイバンであった。
「行きましょう」
「サングラスなんだ」
「そう、目つきで色々言われない為に」
「かけるんだ」
「お洒落にもなるし日光も防いでくれるし」
「いいんだ」
「そう、行きましょう」
 そのサングラス姿で言うのだった。
「これから」
「うん、ただね」
「ただ?」
「僕その目も好きだから」
 花楓のその目がというのだ。
「だからね、二人だけの時は」
「その時はなの」
「外してくれるかな」
「お部屋の中ならね」
 これが花楓の返事だった。 
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