ツンデレバレンタイン
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第五章
「流石にわかるよ」
「そうだっていうの」
「そう、それにね」
「それに?」
「平田さん自分から言うって言ったじゃない」
このことも話すのだった。
「そうでしょ」
「その阿倍野の時ね」
「それで僕から言わない様にしたんだ」
「うう、何かもう」
「それで今日告白してくれて」
自分のミスに歯噛み、顔でそうしている真帆にほほ笑んで話した。
「嬉しいよ、これから宜しくね」
「ふん、感謝しなさい」
必死に顔を背けるが目は彼に向けたままだ。
「手はつないであげるから」
「それじゃあ」
「それからよ、キスとかそんなことは」
想像するだけで真っ赤になるどころか頭から湯気が出るばかりだった。表情ののぼせているものになっている。
「駄目だからね」
「平田さんが言ったらだね」
「その時よ、いいわね」
「平田さんがそう言うなら」
岸田は真帆の性格がわかっているので微笑んで応えた、そしてだった。
二人は交際をはじめた、この日岸田は普通だったが。
真帆は完全にオーバーヒートだった、それで昼休みに仲のいい面子でクラスで席を寄せて食べる時に。
友人達は顔を真っ赤にさせて上を向いて完全に動かなくなっている真帆に対して尋ねた。
「ちょっといい?」
「意識ある?」
「聞こえてる?」
「えっ、何?」
ここでようやく我に返った。
「一体」
「何じゃないわよ」
「やっぱり聞こえてなかったのね」
「午前中ずっとだったけれど」
「オーバーヒートだったの」
「もうお昼なのね」
我に返ったならではの返事だった。
「早いわね」
「早いじゃないわよ」
「真帆ちゃんわかりやす過ぎよ」
「チョコ受け取ってもらったのね」
「告白受けてもらったのね」
「言わないから」
我に返った真帆はこう返した。
「別に」
「はいはい、そうよね」
「そこでそう言うのが真帆ちゃんよね」
「別に言わなくていいから」
「見て丸わかりだから」
「丸わかりって何よ、けれどね」
素直でないがそれでも嘘の下手さは出た。
「いや、人間勇気は出すものね」
「何かRPGみたいなこと言うわね」
「それかライトノベルか少年漫画か」
「そんなこと言うわね」
「これはまた」
「これはまたじゃなくて、というか」
真帆は自分の弁当を出した、これも自分で作っている。今日はサンドイッチでバケットの中に奇麗にある。
「よかったわ」
「本音出たわね」
「もう完全に」
「けれど本当によかったわね」
「受けてもらって」
「本当にね、若しもって思ってたし」
告白してもというのだ。
「そうも思って怖かったけれど」
「それはどうしてもね」
「あるわね」
「告白だけじゃなくて」
「他のことでもね」
「あるわね」
友人達はそれぞれの弁当を食べつつ応えた。
「確かにね」
「それはどうしてもね」
「駄目だって思ったら」
「それだけで怖くなるわね」
「そうだったけれど」
それでもとだ、真帆はさらに言った。
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