大阪の天邪鬼
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第四章
「只のね」
「いや、ちょっと」
「ボディーガードだから」
またこう言うのだった。
「只の」
「そうなんだ」
「そう、だからね」
それでというのだ。
「クラスメイトでお友達で」
「それでなんだ」
「女の子一人の外出は危ないから」
岸田に言うことを叔父にも言った。
「それでよ」
「ボディーガードとしてだね」
「来てもらったの」
「僕もそう言われまして」
真帆とは正反対にラフな身なりの岸田も言った。
「ご一緒させてもらってます」
「そうなんだ」
「そうよ、手をつないだこともないから」
真帆は叔父に真っ赤な顔でまた言った。
「叔父さん、どう思ってるのよ」
「どうも何も」
「誤解したら許さないわよ」
こうも言うのだった。
「いいわね」
「まあ真帆ちゃんがそこまで言うならね」
叔父は真帆の本音はわかったが言わないことにした、彼女のあまりもの必死さに感じるものがあって。
「僕はそういうことでね」
「ええ、届けもの届けたから」
「それでだね」
「私達もう帰るから」
「それじゃあね」
叔父は姪に別れの挨拶を告げた、すると。
真帆は岸田と共に叔父と彼の妻にお別れの挨拶をしてだった、その豪邸を出た。
家を出るとだ、真帆は岸田に言った。
「難波行きましょう」
「あれっ、帰らないんだ」
「何言ってるの、すぐに帰るなんて」
真帆は岸田に怒った顔で返した。
「何でそうするのよ」
「だってもう届けもの終わったし」
「私が行くって行ったら行くの」
真帆は引かなかった。
「じゃあね」
「今からなんだ」
「難波に行くわよ、そしてね」
真帆は自分のペースで言っていった。
「自由軒行って」
「あっ、カレーの」
「あそこのカレーを食べて」
名物カレーである、最初からご飯とルーをまぶしてあり卵も乗せており独特の美味さがあるカレーライスだ。
「法善寺横丁も行って」
「あそこにもなんだ」
「そしてね」
そのうえでというのだ。
「夫婦善哉に行くわよ」
「自由軒にそのお店って」
「か、勘違いしないでね」
また顔を真っ赤にして言う真帆だった。
「私織田作之助さんのファンだから」
「そうなんだ」
「そう、だからよ」
このことは本当のことだ。
「大阪に行ったから行くだけで」
「そうなんだ」
「別に狙って行く訳じゃないから」
そこも言うのだった。
「たまたまよ、お昼だから」
「それでなんだ」
「行くから。、いいわね」
「これからなんだ」
「今度は難波に行くわよ」
こう言って岸田を今度は難波まで連れて行こうとした、そして地下鉄の阿倍野駅の方にまで戻るが。
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