戦国異伝供書
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第七十二話 六角家からの話その十四
長くしていった、赤尾はその槍を見て驚いて言った。
「この槍は」
「うむ、織田家の槍に倣ってな」
そしてとだ、猿夜叉は答えた。
「長くしてみた」
「左様ですな」
「考えてみれば長いとな」
槍、それがというのだ。
「その分敵を先に叩けるな」
「そして敵を寄せ付けない」
「だからな」
「織田殿のお考えはですか」
「理に適っておると思ってな」
それでというのだ。
「当家もそうしてみた」
「左様ですか」
「織田家の槍は三間というが」
「そこまではですか」
「長くはしておらぬ」
「流石にですな」
「そこまで長いとな」
それはというのだ。
「いきなりそうしてはな」
「どうかとですか」
「思ってな」
それでというのだ。
「まずはこの長さにしてな」
「試してみますな」
雨森も言ってきた。
「短い方とどちらがよいか」
「うむ、長い方と短い方を競わせてみてな」
「一度ですな」
「長さはそのままにしてな」
「先は包んでおいて」
「それで叩かせ合ってな」
刃のない槍でというのだ。
「どちらが上かな」
「確かめますか」
「左様ですか」
「うむ、そうしようぞ」
こう言うのだった。
「ここはな」
「左様ですか」
「そしてな」
さらに言うのだった。
「勝った方の長さにな」
「してみますか」
「そうしてみる、ただ」
ここで猿夜叉はこうも言った。
「長い方が勝ってもな」
「それでもですな」
「三間より長くはな」
織田家の槍以上の長さはというのだ。
「流石にな」
「無理ですな」
「長い槍がよくとも」
そのことがわかってもというのだ。
「それより長いとな」
「使えませぬな」
「長過ぎてもな」
「ですな、限度がありまする」
何事にもとだ、磯野も言ってきた。
「槍にしても」
「そうじゃ、だからな」
「例え長い方がよいとわかっても」
「そこまでじゃ」
三間までというのだ。
「そこで止めてな」
「その長さの槍をですな」
「使っていこう、そして槍とな」
「鉄砲ですな」
「この二つを使って戦えば」
それでというのだ。
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