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ドリトル先生の林檎園

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第九幕その七

「最後でした」
「試してみるのにだね」
「そうでしたけれど」
 それがというのです。
「結局これでわかりました」
「この林檎園の林檎ではだね」
「紅玉ですね」
 調理に使う林檎ならというのです。
「本当に」
「そうだね、それがあらためてわかることは」
「あたしにとっていい経験ですね」
「それぞれの林檎料理の味もわかったね」
 それぞれの林檎を使った、です。
「アップルティーにしても」
「はい、よく」
「それならね」
「確かに。いい経験ですね」
 このことについては優花里さんも頷きました。
「色々考えてやってみて」
「そうしたことをするとね」
「その経験がですね」
「後々生きてもくるから」
「無駄じゃなかったんですね」
「そうだよ、だからこのことは忘れないでね」
「そうさせてもらいますね」
 優花里さんは先生にまた笑顔で応えました。
「是非共」
「そうしてね、ただね」
「ただ?」
「いや、優花里さんのお友達は盲腸だったね」
「手術は無事成功して大丈夫ですけれど」
「あれはね」
 盲腸はというのです。
「大変なんだよね」
「やっぱり手術しますし」
「そう、それにね」 
 さらにお話する先生でした。
「昔はそれだけでね」
「ああ、手術出来なかったから」
「命に関わったしね」
「だからですか」
「今歯何でもない病気でも」
 それでもというのです。
「侮ることは出来ないんだよ」
「そうなんですね」
「僕は医師だからね、本業は」
「あっ、お医者さんですか」
「色々な学問に励んでいるけれど」
 先生は優花里さんにご自身のことをさらにお話していきます。
「第一はというとね」
「お医者さんで」
「そちらの知識や経験が一番自信があるから」
「盲腸についてもですか」
「いつもそう思うんだ」
「それじゃあ手術の経験も」
「あるしね」
 そちらもというのです。
「日本に来てから手術はあまりしていないけれど」
「てっきり農学者さんだと思ってました」
「そう思うよね、そちらの学問にも励んでいるけれどね」
 それでもというのです。
「その本業はね」
「お医者さんですね」
「そうなんだ、とにかくね」
 あらためてです、先生は優花里さんにお話しました。
「大丈夫で何よりだよ」
「盲腸って言われてじゃあ入院して」
「手術してだね」
「それで終わりて思ってました」
 優花里さんはそうした認識でした。
「それでもですね」
「うん、手術自体もリスクがあるしね」
「失敗とか」
「お友達にしてみればね」
 今度はその人のことについて考えました。
「不安だったと思うよ」
「あたしは絶対に大丈夫って思っていて」
「それでかな」
「はい、退院した時のことを考えていました」
「入院した時かな」
「そうでした、毎日お見舞いに行って」
 そうもしてというのです。 
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