レーヴァティン

「ならない、それは言っておく」
「わかりました」
「そのこともです」
「頭に入れておきます」
「その様に」
　兵達も応えた、英雄は軍勢を率いつつも政のことを忘れていなかった。それ故に寺社奉行の重要性も認識していた。
　そして言った通りに鹿児島を囲む兵を置き。
　ここで一旦これまで薩摩の他の地域に向けていた兵達と彼等を率いさせていた仲間達と合流した、そしてだった。
　隼人に向かった、するとだった。
　暫くして智達が来た、智は合流を果たすと英雄に笑顔で話した。
「大隅もでござる」
「全て手に入れたか」
「はい」
　まさにというのだ。
「掌握したでござる」
「それは何よりだ」
「ただ時はかかったでござる」
「そこまでとは思わないが」
「拙者達としては」
　どうしてもというのだ。
「反省することしきりだったでござる」
「そうだったか」
「ですが何とか」
「大隅をだな」
「そしてこれまでの国々も」
　豊前、豊後、日向もというのだ。
「全てでござる」
「掌握したか」
「何度か敵と激しく戦い」
「そのうえでか」
「掌握したでござる」
「それは何よりだ」
「何かとでした」
　良太も言ってきた。
「誘い込もうとです」
「してきたか」
「釣り野伏せですね」
「俺達にも仕掛けようとしてきたが」
「それをです」
「お前等にもか」
「しようとです」
　狙っていたというのだ。
「若しかかりますと」
「大変なことになっていたな」
「はい」
　まさにとだ、良太は英雄に答えた。
「その時は」
「そうだろうな、既に見抜いていたか」
「そのうえで」　
　良太は実際にその時のことを思い出していた、彼にとっては思い出しただけでも危なかったと思うことだった。
「やり過ごしていました」
「よかったな」
「そしてです」
「大隅まで入ってだな」
「そのうえで今はです」
「ここにいるな」
「それを果たせました」
　まさにというのだ。
「無事でなくとも」
「色々あったな、そちらも」
「苦労したことは事実です」
　良太は英雄に答えた。
「そのことは」
「事実か」
「そうでした」　
　まさにというのだ。
「大隅の全土を占領することも」
「そうか、だがだな」
「大隅もです」
　この国もというのだ。