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レーヴァティン

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第百三十六話 鹿児島攻めその四

「如何なる強者、知恵者も一人だけではな」
「知れていますね」
「一騎当千の猛者、神機軍師も」
「一人なら」
「兵も民もいなければ」
「何でもない、そうした風にしていく」
 こう言って英雄は薩摩半島を徐々に自分達の領地にしていった、進むにつれて軍勢に襲い掛かってくる敵兵は減り。
 半島全土を手に入れた時には殆ど来る敵はいなくなっていた、そして降る者は少しずつでも増えていた。
 英雄はその状況を見て兵達に話した。
「では次はな」
「鹿児島ですね」
「そちらに向かいますね」
「そうしますね」
 兵達は今自分達がいる谷山から目と鼻の先でしかも敵の本城があるその地にと英雄の言葉に対して応えた。
「いよいよ」
「そうなりますね」
「これから」
「いや、薩摩は囲むが」
 英雄は自分達に言ってきた兵達に答えた。
「今は攻めない」
「と、いいますと」
「どうされるのですか」
「鹿児島を囲むだけにするとは」
「ではどうされるのですか
「隼人、そして国分に向かってだ」
 そちらにというのだ。
「そしてそこで大隅から来る軍勢とな」
「合流する」
「そうされるというのですか」
「そうなのですか」
「そうだ、そして大隅を掌握した兵達にだ」
 彼等に加えてというのだ。
「仲間達、そして薩摩の兵と仲間達もな」
「合流させて」
「軍勢を集結させ」
「それからですか」
「鹿児島だ」
 敵の本拠地であるそこをというのだ。
「攻める」
「そうしますか」
「それではですね」
「これよりですね」
「攻めますね」
「そうする、その時でいい」
 まさにというのだ。
「だから今はだ」
「隼人ですか」
「そこに向かうのですね」
「鹿児島を素通りして」
「そうしていく、今はそれでいい」
 鹿児島は囲むだけでいいというのだ。
「特にな、あと先程子供に石を投げられた兵がいたというが」
「怒ったら逃げました」
「石を投げた子供は」
「我々に敵意があってそうした様ですが」
「大きな声で逃げました」
「それで」
「それ位でいい、そうした事態にもだ」
 子供に石を投げられれる様なことになってもというのだ。
「特にだ」
「怒って終わらせる」
「それでいいのですね」
「それ位で」
「ここで刀を向けるとだ」 
 そうしたことをすればというのだ。
「他の我等を敵視している民もいきり立ちかねん」
「そうした民達もいますし」
「今も」
「従う民達が多いにしても」
「まだそうした民もいます」
「だからですね」
「そうだ、ましてやそれ位で切り捨てることはな」
 こうしたことはというと。 
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