自分がかえって
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第四章
「筋肉落ちた分だけ脂肪ついて」
「それで体重が変わってなくてもよ」
「太ったのよ」
「そういうことよ」
「いや、自分で驚いたわ」
双葉は愕然としたままだった、そのまま言うのだった。
「本当に太ってたのね」
「ええ、一回りか二回りそうなった感じよ」
「ちょっと気をつけた方がいいわよ」
「太り過ぎは身体によくないし」
「食事考えるか運動してね」
「ちゃんとした方がいいわよ」
「そうね」
双葉は心から思った、それでだった。
内心これから気をつけようと思った、そしてここでだった。
友和のことを思い出した、ずっと仕事や家事、子育てで忘れていた。だが高校一年生彼の告白を断ったその学年での同窓会ということもあり思い出した。それでだった。
すぐに友和を探した、だが記憶の中にある彼の姿はなかった。だが左から友和を探している時に声がかかった。
「鞠谷双葉さん?」
「今は渡辺だけれど」
結婚して苗字が変わったことを言いつつ声がした方に振り向いた、すると一七七位の背の髪の毛にやや白いものが混ざった頬がこけ身体もすらりとした自分と同じ年頃の中年男がいた。
双葉の記憶にない男だ、それで男に思わず言った。
「貴方誰?」
「日笠だよ、日笠友和」
「えっ!?」
双葉はその名乗りに仰天した、そしてすぐに彼に問い返した。
「貴方本当に日笠君!?」
「そうだよ、わからなかったみたいだね」
「あの、高校時代は」
「大学に入ってから実は脂肪肝って言われて」
その彼、友和は双葉に笑って話した。
「毎日水泳やランニングやってね」
「脂肪肝だから脂肪率減らす為に」
「それに筋トレとかして食べるものも考えてね」
「そうなったの」
「うん、一番太ってた時から二十五キロも減ったよ」
「それはまたかなり減ったわね」
「そこまで減ってね」
それでというのだ。
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