自分がかえって
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第二章
「私は」
「わからないわよ、それは」
母は何も食べていない、娘と一緒に観戦しているが玄米茶を飲んでいるだけだ。
「大人になったら」
「そうかしら」
「子供出来て三十過ぎたらね」
「そうなったらなの」
「太ってる人多いわよ、正直四十過ぎたら」
その時はというのだ。
「誰だって病気になってるか髪の毛薄くなってるか」
「太ってるのね」
「大抵そうなってるわよ」
「まさか」
「そのまさかよ。だからあんたもね」
「太ることもなの」
「あるわよ、お父さんは実際痛風になったし」
それ以来ビールを飲まなくなっていて食事も考える様になっている。
「お母さんだって神経痛抱えてるし」
「若い時は何もなかったのね」
「それがよ」
「そうなったから」
「あんたもね、そうなるわよ」
「四十過ぎたら」
「そう、特に女の人は子供出来て三十過ぎたらね」
またこう言うのだった。
「身体が変わるから」
「太ったりもするの」
「そうなるかも知れないわよ」
「まさかと思うけれど」
「そのまさかよ、気をつけなさいね」
母は真剣な顔で双葉に言った、だが双葉はこの時まさかと思った。それでポテトチップスとサイダーを楽しんだ。夕食の後でも楽しんでいた。
友和とは実際にお互いなかったことにして周りも気付かないことを有り難いと思いつつ同じクラスで過ごしていった、そうして。
やがて二人共卒業し双葉は地元の大学に進学し友和は大阪の方の大学に入った。双葉は大学を卒業すると地元の企業に就職し。
そこで数年働いて職場で親しくなった相手と結婚した、二十八で最初の子供が生まれ二年後に二人目が生まれた。最初は男の子で二番目は女の子だった。
二番目の子供が生まれた時点で正社員から子育てが忙しいのでパートになった、仕事と家事で忙しかったが。
暇があると間食をした、学生時代からポテトチップスが好きで他のスナック菓子も好きで炭酸飲料もよく飲んだ。
仕事と家事以外の時は動かない様になりテレビやインターネットの時は間食を欠かさなかった、そうした生活を数年過ごしていると。
夫にだ、三十六になった時にこう言われた。
「お前太ったな」
「そう?」
「ああ、かなりな」
こう言われた。
「そうなったぞ」
「そうかしら」
「こう言ったら何だけれどな」
夫は妻にどうかという顔で話した。
「腰の周りとか肉がついてきてな、顎もな」
「そこもなの?」
「肉付きよくなってきたな」
「そうかしら」
「ああ、身体動かしてるか?」
「家事もパートもしてるわよ」
もっと言えば子育てもだ、毎日忙しく働いているのは事実だ。
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