巨大な化け猫
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第五章
「大き過ぎますし」
「そうよね、確かにね」
「確かにといいますと」
「この子化け猫よ」
あっさりとした調子でだった、主人は大西の問いに答えた。
「もうね」
「やっぱりそうですか」
「実は両親が魔女の使い魔だったのよ」
「魔女ですか」
「そう、その間に生まれたね」
「化け猫ですか」
「正真正銘のね」
まさにそれのというのだ。
「化け猫よ」
「そうだったんですか、ですが」
「あっさりと認めたっていうのね」
「正直驚いています」
「驚くことはないわ、隠してないし」
「そうなんですね」
「この世界には実際に魔女がいてね」
そう呼ばれる者達が実在している、主人はこのことも話した。
「そしてね」
「使い魔もですか」
「使い魔といってもその生きものは色々でもね」
「猫の使い魔もいてですか」
「そう、多くてね」
それでというのだ。
「この子の両親もそうで」
「じゃあさっきお話した血統書も」
「そうした血統書でもあるから」
「由緒正しい使い魔なんですね」
「そう、それで化け猫なのよ」
こう大西に話すのだった。
「あたくしは魔女ではないけれどね」
「男の人でも魔女になれますよね」
「そうだけれどね」
男でも魔女にはなれるがとだ、主人は答えた。
「あたくしはそうじゃないの」
「そうですか」
「普通の人よ」
「そう、ですね」
その外見から絶対に違うと思いつつもだ、大西は答えた。
「魔女でないことは確かです」
「そうよ、けれどね」
「それでもですか」
「ずっとあたくしの傍にいてくれてるの」
「魔女じゃないですから使い魔じゃないですね」
「だから言ってるでしょ、兄弟よ」
「そうした間柄ですか」
「そうなのよ、お友達という間柄以上にね」
自分と猫とはとだ、主人は大西に話した。
「あたくし達は強い絆で結ばれてるのよ」
「そこまでなんですね」
「だからあたくしが死ぬまで」
まさにその時までというのだ。
「一緒にね」
「暮らしていかれるんですね」
「あたくしがあとどれだけ生きられるかわからないけれど」
「俺達は一緒だぜ」
ここで猫も言ってきた。
「兄貴とはな」
「いつもこう言ってくれるのよ」
「おう、俺達が離れることはないぜ」
「嬉しいでしょ」
「喋りましたね」
大西は猫のその言葉を聞いて言った。
「今しがた」
「ええ、化け猫だから」
「喋ることが出来るんですね」
「簡単な魔法も使えるぜ」
猫は今度は大西に言ってきた。
「そこんとこ宜しくな」
「そうなんだね」
「化け猫だからな」
「尻尾二本なくても」
「それは猫又だろ」
「日本の妖怪だよ」
「俺は元々イギリス生まれだからな」
それでというのだ。
「化け猫は化け猫でもな」
「イギリスの化け猫だね」
「言うならケット=シーに近いか」
「確かイギリスの猫の精霊だね」
「実は長靴履いて二本足でも歩けるんだよ」
「そうだったんだ」
「四本足の方が楽だからそうしてるけれどな」
つまり普通の猫の様に暮らしているというのだ。
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