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レーヴァティン

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第百三十五話 趨勢は決したがその七

「これよりも」
「そうして攻めていく、だが」
「九州の領主は」
「薩摩や大隅以外はな」
「案外降りますね」
「そうもなってきた」
 こう峰夫に話した。
「有り難いことにな」
「左様でありますね」
「だが全体的にな」
「これまでの戦と違い」
「戦おうとする奴が多い」
 領主、つまり国人達もというのだ。
「この肥後もな」
「それで戦が続いているであります」
「近畿はここまででなくだ」
 それにというのだ。
「山陽、山陰にな」
「四国もでありました」
「ここまで厄介な戦はだ」
「なかったであります」
「どうもな、しかしな」
「それでもですね」
「あと少しだ、流石に七度戦いだ」
 英雄はさらに話した。
「七度解き放つとな」
「そこまですれば」
「そうすればだ」
 まさにというのだ。
「降る」
「そうなるであります」
「三国志の逸話は正しかった」
「孔明が孟獲を降した話は」
「どれだけ意固地な奴もな」
「七度捕え解き放つとでありますな」
「心から降る様になる」 
 心服してというのだ。
「そうなるからな」
「だからでありますな」
「九州でもそうする、俺は覇者になるつもりはない」
「この世界を救う」
「力でやるだけではだ」
 力は必要だ、英雄はそのことはわかっていた。確かな力なくしては法も政も真っ当に出来はしかいからだ。
 それでだ、英雄もこれは必要だとわかっているのだ。この浮島に来てそれが現実のものとしてわかったのだ。
「駄目だ、海の魔神のことはまだわかっていないが」
「それでもですね」
「おそらく力だけではな」
「勝てないですね」
「覇道は力に頼るが」 
 それはというのだ。
「しかしだ」
「覇道で魔神を倒せるかは」
 香織が言ってきた。
「相手はこの世界の殆どを石化して海で覆うとよ」
「そこまでの力の持ち主だ」
「ならたいな」
「力に頼るとな」
「より大きな力でたいな」
「敗れる」
「そう思うたいな」
 だからだというのだ。
「やっぱり」
「だからだ」
 そう思うからだというのだ。
「俺は余計にだ」
「覇道でなくてたいな」
「王道と言うと恰好をつけているかも知れないが」
「それでもたいな」
「政を意識してな」
 そうしてというのだ。
「今も九州で戦っている」
「だからたいな」
「力で攻めるが」
「無理に従わせずに」
「心服させる、無理に従わせようとするとそこにも力を使い」
 そしてというのだ。
「魔神と戦う時もな」
「魔神に全力ば注ぎたくても」
「それが出来ない」
「だからたいな」
「そうも思うしな、それに俺自身力で従わせるなぞ」
「好きでないたいな」
「そんな教師を見てきた」
 英雄はかつての頃を思い出しつつ香織に話した。 
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