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クリスマスソング

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第一章

               クリスマスソング
 チャールズ=ローズマンはこの時ロンドンの街を歩いていた、十二月のロンドンの寒さはかなりのものだ。
 それで家に帰ってから同居人のトーマス=ジョースターにこう言った。
「全く、ロンドンの寒さときたらな」
「いや、それ言ったらな」
 ジョースターはぼやくローズマンに笑って返した。
「俺の生まれたエジンバラなんかな」
「もっと寒いっていうんだな」
「こんなものじゃないからな」
 笑って言うのだった。
「それこそ」
「それいつも言うな」
「ああ、とにかくスコットランドの寒さはな」
「ロンドンなんてめじゃないか」
「そうだよ、というかお前の生まれリバプールだよな」
「ビートルズのな」
 ローズマンは笑って返した。
「いつも言ってるけれどな」
「リバプールもロンドンより寒いだろ」
「緯度が高いだけにな」
 ローズマンはまたジョースターに返した。
「そうだよ」
「じゃあ何でロンドンの寒さのこと言うんだよ」
「底冷えする感じがしてな」 
 それでというのだ。
「どうも」
「それでか」
「ああ、実際ロンドンって底冷えするだろ」
「まあな、けれどその底冷えもな」
「エジンバラはもっとか」
「こんなものじゃないからな」 
「それでお前は平気か」
「ああ、ただ仕事してる時はな」
 ジョースターはタクシーの運転手をしている、ロンドン名物の古風なそれだ。そしてローズマンはその会社の事務をしていて二人はその縁で知り合い今は同居しているのだ。ただし同性愛の関係にはない。
「冷えない様にな」
「車のヒーター入れてるか」
「いつもな」
「そうしているんだな」
「ああ、お前も仕事の時は暖房利かせた部屋にいるだろ」
「そうしてて寒くないけれどな、それでもな」
 ローズマンは今度は苦笑いになって話した。
「外は結構寒かったぜ」
「十二月ってことを抜いてもか」
「かなりな、幸い今日は俺達仕事は休みだからな」
「もう外には出ないな」
「食いもの買ってきたぜ」
 ローズマンはジョースターにその買ってきたものを見せた。
「ローストチキンな」
「それにケーキか」
「ああ、クリスマスだからな」
「そういえば今日クリスマスか」
「そうだよ、忘れてたのかよ」
「クリスマスって言われてもな」
 どうかとだ、ジョースターはこんなことを言った。
「俺彼女いないからな」
「だからか」
「ああ、いた時はそれはな」
「クリスマスになるとか」
「デートに出てレストランに案内してな」
「楽しんでいたんだな」
「そうしていたさ、けれどな」
 ジョースターはローズマンが買ってきたそのローストチキンにケーキを見た、見ればケーキは苺が乗った可愛らしいものだ。
「今はな」
「何もなしか」
「彼女いない男のクリスマスなんてな」
「もうか」
「仕事があれば行くか」
 その仕事にというのだ。
「なかったらな」
「今みたいにか」
「オフを過ごすさ、ゲームでもしてな」
「教会に行こうとは思わないんだな」
「教会に行くのは日曜って決めてるんだよ」
 ジョースターも信仰心はある、これはローズマンも同じだ。 
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