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ドリトル先生の林檎園

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第四幕その十一

「僕が考えている険しい道は長い時間歩けないね」
「そうだよね」
「それはとてもね」
「歩けないよね」
「今はまだ大丈夫だけれど」
「それでもね」
「これは無理だね、しかしね」
 ここでまた言う先生でした。
「昔の人は歩いていたんだよね」
「その険しい道をね」
「そうしていたのは間違いないよね」
「昔はね」
「江戸時代とかは」
「そのことも思いながら」 
 そうしてというのです。
「歩いていたけれど」
「ここでも昔のことだね」
「何ていうかそのことを実感するのも学問だね」
「実際に歩いて昔のことも思う」
「そのこともね」
「そう思うよ、あとこの道を」 
 先生は皆にさらにお話しました。
「和宮様も進まれたんだよ」
「ああ、江戸に入られる時だね」
「将軍様のところに入る時に」
「将軍様の奥さんになる時に」
「この道を通ったんだ」
「中山道を」
「そうだったんだ、何かあるといけないからって」 
 そう考えてというのです。
「人通りの多い東海道じゃなくてね」
「中山道だね」
「この道を通って江戸に入られたんだ」
「この場合は下られるだね」
「上方から江戸だから」
「そうなるね」
「この辺りは」
「そう、そしてそのことも思ったよ」
 今そうなったというのです。
「僕はね」
「成程ね」
「そうだったんだね」
「そのことも面白いね」
「歴史を知るってことで」
「まあその道中の警備やらで大変だったことは」
 このことはといいますと。
「前にお話した藤村さんの作品でも書かれているよ」
「その色々あった人だね」
「明治から昭和にかけて活躍した文豪さんで」
「その人のお話だったね」
「そうだったね」
「夜明け前という作品で」
 そのことが書かれた作品はというのです。
「あったんだ」
「夜明け前ね」
「何かそこにあるのが凄そうなタイトルだね」
「夜明け前っていうと」
「そうしたタイトルだとね」
「藤村さんのお父さんの生涯をモデルとした作品で」
 それでというのです。
「結末は悲しいものなんだ」
「悲しいものなんだ」
「ハッピーエンドじゃないんだ」
「じゃあ夜が明けても」
「よくなかったんだ」
「幕末から明治維新の頃が舞台でね」
 作品の時代のこともお話されます。 
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