ふんわりのんびり
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第五章
「そう思うとかなりいい」
「乗り過ごさないことはですね」
「帰りは好きなだけ寝られるから」
「そのことは大きいですね」
「そう、だから」
それでというのだ。
「楽しく乗って行こう」
「電車も」
「学校まで」
「そうですね、それに高校まで行くと」
「私達の高校は市にあるから」
村でなくというのだ。
「拓けているし」
「いいですね、けれど」
美幸はこの言葉を自然に出した。
「村に戻るとほっとしますよね」
「帰る時に」
「はい、駅を出て」
その時にというのだ。
「そうなりますよね」
「そうね、帰りの電車に乗って」
兎も美幸のその言葉に頷いて述べた。
「そうして駅に着いて」
「その駅を出たら」
「帰ってきたって思うわ」
「お家に」
「あの感触はいい感触よ」
「そうですよね」
「美幸ちゃんもそうなのね」
「まだ村に暮らして数年ですけれど」
それでもというのだ。
「そうなってきました」
「そうなのね、私は高校に通って毎日みたいに村を出る様になって」
そうなってというのだ。
「それでね」
「そうなったんですね」
「不思議よね。何もない村でも」
「コンビニはありますけれど」
「夜になったら閉店するし」
二十四時間経営ではないのだ、まさに田舎のコンビニである。
「お店も数える位で」
「スーパーとかも車でちょっと行きますし」
「そんな村だけれど」
「それでもですよね」
「何とか電気や上下水道は通ってるし」
流石にという口調でだ、兎は話した。
「暮らせるし」
「それで、ですよね」
「自然と落ち着く場所で」
「帰ると落ち着きますね」
「本当に。けれど大学に入学するか就職したら」
兎は美幸にこの時のことも話した。
「その時は」
「村を出ますか」
「大学は同じ県でも通うのに長い時間がかかって」
実は高校でも結構な時間がかかっている。
「通うことが難しいから」
「それで、ですね」
「その時は大学の寮に入るかアパート」
「そちらで過ごすことになりますね」
「それで就職したら」
「村だと農家位しかないですね」
「うちもそうだけれどそうじゃなかったら」
農家にならないならとだ、兎は美幸に話した。
「その時は」
「もう村を出て」
「やっぱり同じ県でも」
就職の方もというのだ、農家以外は。
「車で結構行かないと」
「スーパーとかそうしたお店にしても」
「離れてるから」
「村を出るしかないですね」
「村役場もあるけれど」
公務員もというのだ。
「一応にしても」
「そこに行くか、ですか」
「農家か」
「それか外ですね」
「それしかない。けれど」
「それでもですね」
「そう、大抵は」
就職しようと思えばというのだ。
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