ドリトル先生の林檎園
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第一幕その三
「また今度食べようね」
「あれっ、明日食べないの?」
「明日大学に行くけれど」
「お蕎麦食べないの?」
「食堂行くのに」
「うん、明日にならないとわからないからね」
だからというのでした。
「何を食べたいかね」
「ああ、それはね」
「その時にならないとね」
「はっきり言えないね」
「明日のお昼にならないと」
「そうじゃないと」
「そうだよ、お蕎麦もいいけれど」
それでもというのです。
「果たして何を食べるかはね」
「明日のお昼食堂に行って」
「それから決めることで」
「だからなのね」
「今は決めないってことね」
「というか決められないね」
林檎を食べつつ笑ってお話する先生でした。
「ましてや大学の食堂は美味しいものが一杯あるからね」
「そうね、それはね」
「お蕎麦も確かに美味しいけれど」
「おうどんも美味しいし」
「あとラーメンもあるし」
「スパゲティもね」
「麺類だけでも」
それこそというのです。
「美味しいもの一杯あるし」
「他のお料理も美味しいし」
「しかも安い」
「だから選ぶのも大変だし」
「困る位だから」
「そう、明日のお昼も楽しんで決めて」
そしてというのです。
「食べようね」
「お蕎麦とは限らないけれど」
「明日のお昼も楽しく食べる」
「そういうことね」
「明日は明日で」
「そうしようね、あと長野県は」
先生は今度はこの県のことをお話しました。
「面白い場所だよ」
「林檎やお蕎麦だけじゃないんだね」
「広いだけじゃなくて」
「他にもなのね」
「面白いことがあるんだ」
「そうだよ、歴史もあるしね」
こちらのお話もする先生でした。
「木曽義仲さんや真田家だね」
「ああ、源平の時の」
「都に上がったけれど負けたんだよね」
「木曽義仲さんはそうだったわね」
「巴御前を逃がしてね」
「僕はあの人も決して嫌いじゃないよ」
先生は木曽義仲について皆に言いました。
「確かに洗練されていなくて不作法だったけれど」
「それでもだよね」
「先生が言うには物語の中で脚色されていて」
「実際は違う」
「物語程酷くなかったんだ」
「平家物語で有名だけれど」
木曽義仲という人はです、このことは平家物語に出て来る他の人達にしても同じです。平清盛も源義経も。
「平家物語はあくまで物語だから」
「物語は物語で」
「史実じゃないから」
「だからだね」
「物語ってことはわかって」
「そうしてだね」
「そう、木曽義仲も」
あらためてこの人についてお話するのでした。
「平家物語と史実では違うから」
「ここで先生がお話しているのは史実の木曽義仲で」
「実際はどういった人か」
「それが問題ね」
「確かに不作法で洗練されていない人だったけれど」
先生はまた木曽義仲についてお話しました。
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