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レーヴァティン

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第百二十六話 湖の征伐戦その四

「しかし俺達はな」
「どうされましたか」
「まだだ」
「まだですか」
「この瀬戸内で戦っていってな」
 そうしてというのだ。
「魔物を減らしていく」
「そうされますか、実はです」
 旗本は英雄にさらに話した。
「海賊達は魔物を倒すお館様を見て」
「そうしてか」
「信頼出来る方だとです」
「思ってか」
「降るとのことです」
「俺達が魔物を倒すのを見てか」
「自分達を先にせずに」
 そのことを見てというのだ。
「魔物と戦うのを見て」
「それは当然のことだ」
「魔物は民を脅かす」
「湖でもそこを行き来する漁師や商人を襲う」
 船に乗った彼等をというのだ。
「そうするからな」
「だからですか」
「まずはだ」
 何といってもというのだ。
「奴等からだ」
「魔物ですか」
「魔物の根絶は出来ないが」
 この世界ではだ、とかく多くしかも次から次にと出て来ている。何故ここまで出て来るのかわからない位だ。
「多いとな」
「民が迷惑するので」
「だからまずはな」
「魔物ですか」
「多過ぎるなら倒して減らす」
「そうされますか」
「だが海賊は違う、奴等になならず者もいるが」
 それでもというのだ。
「奴等は人でしかも民だ」
「だからですね」
「あいつ等は後回しにしてでもな」
「民でもあるからこそ」
「魔物が先だ」
 こう考えてというのだ。
「俺は今戦ってきたが」
「その姿勢を見てです」
「相手も降ってきたか」
「はい」
 そうだというのだ。
「そうしてきました」
「そうなのか」
「それでなのですが」
 旗本は英雄に言った。
「このことはですね」
「すぐに城に戻りだ」
 岡山城、自分達の今の山陽攻めの拠点であるそこにというのだ。
「俺の言葉を伝えろ」
「わかりました、それでは」
 旗本は頷いてだった、すぐに。
 船から移動の術で岡山城に戻った、そうして英雄の言葉を伝えてだった。
 瀬戸内の海賊達は英雄に降った、こうして山陽は完全に英雄達の勢力圏となったが。
 英雄は瀬戸内の魔物と戦い続けていた、数こそ減ってきたが。
「まだだ」
「出てきますね」
「そうだな、どうもな」
 こう謙二にも答えて言った。
「尽きないな」
「左様ですね」
「どういうことだ」
 英雄は難しい顔になりこうも言った。
「この事態は」
「魔物の多さは」
「あまりにもな」
 それこそと言うのだった。 
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