蒼と紅の雷霆
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蒼紅:第三十八話 祈歌
ソウとアキュラの4度目の戦いが始まった。
パンテーラの歌によってEPエネルギーが枯渇しかけていたソウだが、チャージとリヴァイヴヴォルトによって全快し、攻撃してくるアキュラを迎え撃つ。
「いい加減、貴様の面も見飽きてきたところだ。今度こそ息の根を止めてやろう」
雷撃刃を発現し、それでアキュラの放ってくるレーザーを弾く。
今は連戦で疲弊しており、ノーマルスキルですら使うのが惜しい状態だったので防御スキルのガードヴォルトは使えなかった。
ノーマルスキルは後使えて1回か2回か。
「ソウ!ガンヴォルト!貴様ら兄弟が電子の謡精を解き放たなければ!妹は…ミチルは死ぬことは無かった!!」
「違うな、貴様の親父が電子の謡精の能力因子を皇神に奪われたから貴様の妹は結果的に死んだ。貴様の間抜けの親父の失態の結果を俺達に擦り付けないでもらいたいな…こちらとしても貴様ら親子のせいで多大な迷惑を被っているんだ…大体テーラは貴様に言ったろう?貴様の持つ疑似第七波動の技術を提供すれば貴様の関係者には手を出さないと。それを貴様は拒否したんだ。自分の技術を渡さないためにな…妹の命よりも自分の技術を優先した貴様がふざけたことを抜かすな!!」
アキュラの怒りを一蹴しながらチャージショットを放ち、更にショットを連射して牽制する。
「貴様ぁ!!」
『アキュラ君!落ち着いて!頭に血が上った状態じゃあいつには勝てないよ!!』
「っ……」
前回の戦いの経験から、ロロはソウが真っ向勝負では分が悪い相手と理解しているからこそ、アキュラに冷静になるように注意する。
「その鉄屑…修理したのか……そんな役立たずの物を修理して使い回すとは、まるで学習能力がないと見えるな」
『…っ、そんな挑発には乗らないぞ!!』
一瞬だけロロのボディが停止するが、ロロは挑発に乗ったら最後、アキュラが蹂躙されると理解しているために挑発に耐えた。
「鉄屑の方がまだ学習能力があるようだな。さっさと貴様の妹の死体を回収して消えろ…これが最後の警告だ。もう一度惨めに敗北し、死にたくなければな!」
「黙れっ!貴様ら化け物は1人残らず滅ぼす!父の願いの成就と、妹の弔いのためにその命を捧げろ!!」
「貴様の自己満足に付き合っていられるか、知能のない獣に言葉で終わらせようとした俺が馬鹿だった…今すぐ消してやるぞ!!」
アキュラの銃から放たれたレーザーがソウに迫り、それをマッハダッシュでかわしながらチャージショットを放つが、フェイクカゲロウで透かされてしまう。
「チッ…(奴を倒すには雷撃鱗で奴のアーマーの機能を停止させるしかないが、流石に接近を警戒しているか…)」
「(悔しいが、奴に距離を詰められれば俺の敗北が確定する。何としても奴をオーバーヒートさせ、その隙にSPスキルを叩き込む!)」
互いにマッハダッシュとブリッツダッシュによる高速移動を繰り返し、隙を窺う。
「…エレキブレード!!」
「ハッ!!」
着地した直後を突き、高速移動しながらの雷刃波を繰り出すソウだが、アキュラはブリッツダッシュで回避するとレーザーを連射してきた。
「少しはマシな動きが出来るようになったな」
「何時までも貴様の良いようにされる俺ではない!」
『アキュラ君、エネルギーMAX!何時でも撃てるよ!!』
「よし、グリードスナッチャー!!」
ソウに向けてグリードスナッチャーの弾丸を発射するが、全て回避される。
「そんな弾が俺に当たると…」
「ならばこれならどうだ!?」
メラクの亜空孔の疑似第七波動とグリードスナッチャーを併用し、多方向から放たれる弾丸。
流石にこれはかわしきれずに掠ってしまう。
「っ!」
「これで終わりだ!滅びろソウ!!かつて仕留めし魍魎の魂!その罪架を以って!更なる罪悪を討ち祓わん!ギルトコンビネーション!!」
動きを止めた隙を逃さずにSPスキルを発動する。
前回の戦いでミラーリングした七宝剣の疑似第七波動を繰り出す。
「封殺せよ!」
エリーゼの疑似第七波動のジェラシックゴルゴンの石化光線。
「チッ!!」
咄嗟に目を閉じて光線をかわすと、アキュラは次の攻撃に移行する。
「奪い取れ!!」
先程のワームホールとグリードスナッチャーの連携攻撃をソウはオーバーヒートから復帰するのと同時に範囲から離脱する。
「焼き払え!穿て!!」
デイトナとイオタの疑似第七波動のブレイジングバリスタとアロガントファングによる時間差攻撃。
爆炎の矢をジャンプでかわし、次のレーザーもかわす。
「喰らい尽くせ!!」
ストラトスの疑似第七波動のミリオンイーターがソウに迫るが、雷撃鱗で防がれる。
「一度見た攻撃が俺に通用すると思うな!」
「そうだろうな…だが、これは避けきれまい!ロロ、ODコード:《カタストロフィ》起動!舞い踊るのは我が所従!討滅せしは異類異形!因果断ち切る無尽の絶爪!!」
「あ、あれは…」
僅かだけ見覚えのあるロロの動作にパンテーラは目を見開く。
「天魔覆滅!ストライクソウ!!」
エネルギーを纏ったビットが高速で動き、ソウを斬り裂いた。
「がはっ!?」
回避しようとしたものの、全てをかわしきれずにいくらか受けたソウは思わず膝を着いた。
「はぁ…はぁ…追い詰めたぞ…ソウ…」
『アキュラ君!さっきのSPスキルでもうビットの耐久限界を超えたからもうストライクソウは使えないよ!』
「ああ…万全の状態ならまだしも…今のビットの強度ではな…」
ソウに完全に破壊されたことでロロのボディとビットも急いで作り上げた物であり、強度は以前の物より低かった。
「チッ…まさか、こんな攻撃をしてくるとは…」
「今度こそ終わりだ。貴様を始末したら次はガンヴォルトと電子の謡精の娘とパンテーラだ」
「…ソウ…!」
「兄さん!」
パンテーラが悲痛な表情を浮かべ、GVがソウに加勢しようとした次の瞬間であった。
「…あなたは…死なせない…!」
「「!?」」
「え…!?」
「この…声は…!?」
声の発生源は死んでいるはずのミチルであった。
『……!…これ…は…? 僕のコントロールが…奪…われ…て…』
背に不死鳥の羽と蝶の羽が現れたミチルが宙に浮かび、ロロが停止したかと思えば人型の姿となり、宝剣に取り込まれたはずのモルフォが姿を現したのと同時に共に歌い始めた。
「私の歌が…きっと守るから…!」
「っ!?」
ソウの体を虹色の輝きが纏われ、第七波動が飛躍的に高まった。
「っ…モル…フォ…」
「シアン!目を覚ましたんだね…あれは一体…モルフォは…どうしたんだい?」
歌声が響いたのと同時に目を覚ましたシアンはモルフォを見上げると、悲しげに呟いた。
「あれは…私達の知ってるモルフォじゃない…もう……」
「え…?」
「まさか…ミチルに電子の謡精の力が戻った…?」
パンテーラはミチルに電子の謡精の能力が戻ったと仮説を立てた。
シアンに宿っていた電子の謡精の力を宝剣に取り込ませ、その宝剣が破壊されたことで電子の謡精の能力はシアンではなく、本来の能力の持ち主であるミチルに戻ったのではないかと推測した。
「これは…謡精の歌の力…?今までとどこかが違う…まさか、アキュラの妹の…?だが、何故俺に力を貸すんだ…?」
目を覚ましたシアンの様子を見る限り、シアンはモルフォには何もさせていないようだ。
ならばモルフォとロロの中心にいるミチルの仕業だと理解するのは早かった。
しかし、それなら何故兄であるはずのアキュラではなく、自分に謡精の加護を与えるのか?
何故モルフォの意識がないのか?
ソウはあまりのことに少々混乱していた。
「ミチル!お前、生きていたのか…?それにロロ!お前も…」
アキュラの声はミチルやロロに届いてはいなかった。
突然のことにアキュラも動揺し、混乱していたのだが、ミチルとロロがソウに加勢しているような状況に怒りを露にする。
「ソウ!貴様…ミチルとロロに何をした!?」
「…俺にも詳しいことは分からないが…あいつの魂と波動が俺に呼び掛けている…モルフォの意識と記憶がミチルにあるのかもな…まあ、あくまで俺の推測だがな……」
「モルフォの意識と記憶だと…!?何を世迷い言を…!貴様を倒し、ミチルは俺が正気に戻す!!」
「そうやって貴様は自分に都合の悪い真実から逃げ続けるのか?ならばそうやって一生真実から逃げ続けていろ。臆病者が…貴様のような愚兄を持ったミチルが哀れだな!」
「黙れ!!」
グリードスナッチャーを発射してくるアキュラだが、謡精の歌でパワーアップしたソウはマッハダッシュで簡単に回避していく。
「降り注げ!メテオスパーク!!」
銃口から放たれた雷撃弾は上空に飛んでいき、無数に分裂して降り注ぐ。
その雷撃の弾幕は通常とは比較にならない密度だ。
「っ!?」
アキュラは隕石のように降り注ぐ無数の雷撃に動揺するが、ブリッツダッシュで弾幕の隙間を突破し、回避する。
「迸れ!サンダーバースト!斬り裂け!エレキブレード!!」
ソウがマッハダッシュで縦横無尽に移動すると雷撃が迸り、更に移動直後に雷刃波が放たれた。
どちらも攻撃規模も威力も大幅に跳ね上がっている。
あまりの規模にアキュラは回避出来ずに直撃を受ける。
「くっ!」
フェイクカゲロウによって透かすことは出来たが、苛烈なまでの攻撃をしてくるソウにアキュラは表情を険しくする。
「(馬鹿な…謡精の力があるとは言えこの力は異常だ…)」
アキュラがGVとパンテーラを見遣ると、2人も驚愕しており、どうやらこの攻撃の規模と威力は今回が初めてのことらしい。
「失せろ!プラズマビット!!」
銃を構えながらビットを召喚し、凄まじい雷撃弾とショットの弾幕がアキュラに迫る。
「くっ!!(こんな攻撃を連発していると言うのに疲労している様子がない…まさか、反動がないと言うのか!?化け物めっ!!)」
「一気に畳み掛ける!迸れ、紅き雷霆よ!心に響くは巫女の祈り!我が身包むのは龍の波動!雷光一閃、戦神と化せ!!アクセルヴォルト!!」
虹色の輝きが銀色となってソウの生体電流を超活性化させて身体能力を強化する。
電子の謡精のかつてない支援により、本来なら10秒程度しか使えない強化だが、今回は時間制限なしだ。
「雷光の如き速さを見せてやろう」
ソウの姿が掻き消えたと思った瞬間アキュラは悪寒を感じた。
ソウはチャージセイバーで両断しようとするが、アキュラはブリッツダッシュでギリギリ回避する。
しかし、そう簡単に超加速状態のソウの攻撃は終わらない。
「隙だらけだ」
超高速で動き回りながらチャージショットを連発する。
まるで同時に放たれたかのようないくつものチャージショットがアキュラに迫り、あまりの数にかわしきれずに直撃を受け、叩き落とされる。
「ぐっ!!」
「終わりだ…!迸れ、紅き雷霆よ!閃くは破滅の雷光!紅雷の刃よ、敵を斬り裂け!!ギガヴォルトセイバー!!」
「ぐあああああっ!!」
謡精の支援で強化されたSPスキルの雷刃波をまともに受けたアキュラは吹き飛ばされて壁に叩き付けられる。
そして倒れたアキュラにソウは雷撃刃の切先を向けた。
「終わりだアキュラ。地獄で愚かな父親と再会するんだな」
雷撃刃を振り下ろし、アキュラの息の根を止めようとするが、それを止める者がいた。
「止めて…」
「お前…」
2人の間に入ったのはミチルであった。
ミチルが意識を取り戻したのと同時に謡精の歌の効力は消え、ソウの体の輝きが消えた。
「アキュラ君を殺さないでソウ…この人は…私の大切な…大切…な…?あれ?」
「お前はモルフォか?」
「モルフォ…?私は…誰…?あなた達は一体…?」
「……なるほど、な…流石に家族の頼みは断れない…命拾いしたなアキュラ……いずれこいつの過保護な仲間が助けに来るだろう…それまで大人しくしていることだ」
ソウとGVはアキュラとミチルを残してパンテーラとシアンを連れてベラデンを脱出した。
シャオはパンテーラの姿に良い表情はしなかったが、エデンが壊滅し、パンテーラも最早戦う気力もないようなので見逃してくれた。
「兄さん…モルフォは…あの子はどうしてしまったんだろう?」
GVはあまりにも急な展開についていけていないようで、困惑した表情を浮かべている。
「恐らくだが…元々電子の謡精はミチルの第七波動だ。パンテーラによってシアンの能力が宝剣に取り込まれ、それが破壊された際に本来の能力者であるミチルに戻ったんだろう…長い間隔離されていた能力とモルフォの意識と記憶が入り込んだことでミチル自身の記憶は初期化されてしまったようだ。恐らく防衛本能のような物だろう。と言っても、シアンがモルフォの状態に気付けたのならシアンの中にも電子の謡精の力が僅かだけ残っているんだろうが…もう前のように謡精の歌は使えないだろう…本来あるべき姿に戻ったんだ。ミチルは…後はアキュラがどうするかだが…そこまで面倒は見切れん。」
こうしてソウとGVはオウカの待つ屋敷に戻り、オウカからの迎えに安堵の表情を浮かべていた。
「お帰りなさいGV!!ソウさん!!シアンさんもテーラさんも…お帰りなさい…!!」
「オウカさん…」
「オウカ……あなたは…」
力強く抱き締められたシアンとパンテーラは喪失感に苛まれていた心を癒してくれる温かいぬくもりに涙を流してオウカにしがみついた。
それからしばらくして、打倒エデンを果たしたシャオはGV達の前から姿を消し、パンテーラを加えた五人で暮らすことになったGV達。
GV達はモルフォを、パンテーラは兄や家族である同志を失った悲しみを背負いながらも今を生きていた。
パンテーラにはソウが傍にいるようになり、少しずつ彼女も元気を取り戻している。
「GVとソウさんは今日はゆっくりされて下さいね?」
「私達、頑張って作るから」
「今日のお昼は何にしますか?」
「そうだね…」
「お前達が作る物なら何でも構わないが…」
今日の昼食は女性陣で作ることになり、GVとソウはどうするかと悩み始めた時であった。
「あ…」
「シアン…?あ…」
シアンの視線の先をGV達が辿ると、そこには制服を身に包んだミチルの姿があった。
「あなたは…」
「あ、あの…」
ミチルはモルフォの影響を受けているためか、どことなくシアンに雰囲気が飛天で見た時よりも近くなっている印象を受けた。
気まずそうに視線を逸らすシアンにミチルが口を開いた。
「あの、ごめんなさい。変なこと聞くんですけど、もしかして…あなた達は、私の知り合いじゃありませんか?あ!…えっと、実は私、事故で昔の記憶がなくって…でも、あなた達のこと、どこかで」
「お前の名前は何だ?」
「私は…ミチルです。神園ミチル」
「悪いが、俺達にそんな知り合いはいない。」
「ごめん、僕も覚えがないな…気のせいだと思うよ」
一度だけシアンの方を見遣ると、ソウとGVがミチルに答えた。
「そう…ですか…ごめんなさい。変なことを聞いてしまって…」
ミチルの謝罪を聞くと、GVとソウはシアン達に移動を促す。
「行こう…シアン、オウカ、テーラ」
「……うん」
「「…はい」」
人混みに紛れて見えなくなるミチルを気にしながら、シアンはもう己の中にはいないもう1人の自分だった家族に感謝した。
「(さようなら、モルフォ…私の…家族…)」
どうかミチルの人生に幸福が待っていることを、シアンは願った。
GV達とミチルの再会からしばらくして…。
最近、あの人達の夢を見なくなった。
何度も何度も、繰り返し見たあの人達の夢。
私のために、身を賭して戦った名前も知らないあの人達。
夢を見なくなったのはきっと…今の私が、過ぎ行く日々に"幸せ"を感じているからだと思う。
だから、私は伝えたい。
名前も知らないあの人達に…。
「“ありがとう”。私は今、幸せだよ」
どうか、あの優しい人達の行く先に幸せがありますように。
ミチルは幸せそうに笑いながら、顔も知らない…優しい人達の幸せを願うのであった。
しかし、ある場所で…。
「ベラデンまでの送り迎え お疲れ様でした。それで…これが“謡精の宝剣” へえ、ペンダントの形にしたんですね?」
「ただの趣味です。私も女ですから」
人気のない場所で会話していたのはGVとソウのサポートをしてくれていたシャオと、アキュラのサポートをしていたノワであった。
「意外ですね。とても“傾国の誘惑者”とまで呼ばれた魔女のセンスじゃ…」
「私はあくまで、神園家に仕えるメイドです」
シャオの言葉を遮るように言うとペンダントを押し付けるノワ。
「あはは…何にせよ目的は果たせました。ありがとうございます。”ノワさん”」
「ミチル様とシアンさんを本来あるべき状態に“戻し”、電子の謡精の力を覚醒…その上で、活性化した第七波動誘因子を摘出…あなたは一体、何を企んでいるのですか?」
ノワの問いにシャオは苦笑を浮かべる。
「企むなんて人聞きが悪いなあ。“電子の謡精”は世界を変える大き過ぎる力…エデンは勿論…雷霆兄弟にだって渡すわけにはいきませんし、満足に使えない不安定なシアンに持たせたままなのも不安過ぎます。それに、こんな力を持ったままじゃ、ミチルさんは、普通の人生を歩めない。こうやって宝剣…今はペンダントでしたか。因子を再隔離して、能力を完全封印すれば、ミチルさんも平穏(幸せ)な毎日を送れる。そう思ったからこそ、あなたも手を貸してくれたんじゃないですか?」
「それは…」
「…正直、パンテーラの生存は予想外でしたが、彼女にはもうどうすることも出来ない。いくら能力が優れていようとも彼女はまだ幼い子供です。心の支えであった義兄も仲間も居場所も全て失った彼女には以前のような力はない…放っておいても問題はないでしょう……あ、そうだ。以前、彼女のお父さん…神園博士が手術を行った時は、皇神の裏工作で、摘出した誘因子が”生きた宝剣(シアン)”に移植されたせいか、あるいは博士の技術が当時まだ不完全だったせいなのか…ミチルさんの体にも影響が出ていたようですが、今はその心配もありません」
「煙に巻きますね。それは、私の目的です。あなたは、自分の目的を何1つ話していない…」
そう、シャオと接触してからノワは何度も尋ねてみたものの、シャオは決して目的を話そうとはしない。
それでも協力したのはミチルの未来を手に入れるためである。
あのままでは遅かれ早かれ、ミチルは衰弱死していた。
ミチルに生きていて欲しいからこそ、ノワはシャオに協力したのだ。
例え、反動で記憶を失うことになろうと。
「すぐに分かりますよ。心配しなくても大丈夫です。悪いようにはなりませんから」
「……」
去っていくシャオをノワはじっと見つめていた。
後書き
ロックマン11のロックマンスピードギアが敵が使ったら恐ろしいことになりそう。
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