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レーヴァティン

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第百二十四話 三国だけでなくその七

「補給は万全にする」
「そうして勝つでありますか」
「人は飯を食ってこそだ」
 まさにとだ、英雄は言い切った。
「食わないで戦える奴はいない」
「だからこそ」
「補給の道は万全にする、それが整って」
「それからでありますな」
「四万十川を渡って」
 そうしてというのだ。
「東に進む」
「そうするでありますか」
「今は落ち着いていけばいい、だが」
「だがとは」
「高知の方に使者は送る」
 土佐を治める大名にはというのだ。
「今からな」
「そうしてでありますな」
「そしてだ」
「降れば」
「それで終わりだが向こうも馬鹿ではない」
「こちらが補給に万全でないことは」
「あちらも知っている」
 こう言うのだった。
「それでだ」
「今送ることは」
「ほんの挨拶だ」
 それに過ぎないというのだ。
「だからだ」
「このことは」
「これで降ればいいとな」
「その様に考えて」
「送る、しかし敵の劣勢は明らかだ」
 このことはというのだ。
「もう敵の兵は八千を割った」
「四万十川の西を攻められ土佐の東も攻められて」
「そうなってな、こちらは十二万を超えている」
「兵の数は明らかであります」
「敵はそれも見ている」
 まさにというのだ。
「兵糧のこと以外にもな」
「兵のことも」
「両方見ている、ここでだ」
「補給が万全になれば」
「その時はどうかだ」
 敵にしてもというのだ。
「餓えた軍勢なぞどれだけいても敵ではない」
「そんなの当然っちゃ」
 愛実は英雄の今の言葉を当然だと言い切った。
「食べるものがないと餓え死にするっちゃ」
「戦う以前にな」
「そうでなくてもっちゃ」
 例え餓え死にせずともというのだ。
「お腹が空いて力が出なくてっちゃ」
「戦えないな」
「だからっちゃよ」
「餓えた軍勢なぞ何でもない」
「そうっちゃな」
「だが餓えていない、食いものがある軍勢はどうか」
 翻ってこちらはというのだ。
「それも大軍となるとな」
「答えは一つっちゃな」
「その時点で強力だ」
 餓えていない大軍はというのだ。
「そこに武具もしっかりしているとな」
「鬼に金棒っちゃな」
「そうだ、だからな」
 ここはというのだ。
「この四万十川の西を確かな拠点にし」
「伊予から山道を通ってもっちゃな」
「兵糧や武具を運べる様にする」
「そうしてっちゃな」
「高知に向かう」
 四万十川を渡ってというのだ。 
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