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蒼と紅の雷霆

作者:setuna
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蒼紅:第二話 謡精

 
前書き
無印スタートです。 

 
フェザーに入ったソウとガンヴォルト…GVはまずは体力作りから始まった。

アシモフ曰く、何をやるにも体力がなければ何も出来ないとのことで走り込みと基礎トレーニングを重点的にやり、そして体力がある程度ついたところを第七波動の制御方法を教わる。

元々能力の制御がある程度出来ていたソウはすぐに完全に制御が出来るようになったが、ストリートチルドレン時代で能力を使うことがなかったGVはソウよりかなり遅れたものの、何とか第七波動の制御が出来るようになった。

フェザーに入ってから数年後、ソウとGVは14歳となり、ミッションにも参加出来るようになった。

そしてアシモフからは空手の“チャタンヤラクーシャンク”を基にしたオリジナルのマーシャルアーツを教わり、2人はそれぞれの第七波動の使い方と、専用の銃である電磁加速銃“ダートリーダー”の使い方と整備方法。

そして蒼き雷霆と紅き雷霆の欠点。

蒼き雷霆は電解質を含んだ海水等の水の中で使うと即座にオーバーヒートを起こしてしまう。

紅き雷霆は海水などの中にいても即オーバーヒートは起きないが、EPエネルギーの消費が激しくなる。

しかも元々の燃費が蒼き雷霆以上に悪いと言う欠点が発見された。

紅き雷霆は威力が高すぎるためか、蒼き雷霆と違って避雷針(ダート)が長時間雷撃に保たないことも発覚し、ソウのダートリーダーのカートリッジは基本的にチャージ機能があるナーガになっている。

これによりテールプラグを接続した状態で第七波動を避雷針に纏わせた貫通力が高く、高威力のチャージショットが放てるようになり、そして銃口から雷撃の刃を発現させ、斬撃攻撃をすることが可能でこの刃もチャージによってより強力な斬撃・チャージセイバーが繰り出せる。

燃費の悪さ故にGVのような小回りが利かず、高威力のSPスキルが1つ、回復のサポートスキルであるリヴァイヴヴォルト、そして隠し球のSPスキル相当のサポートスキルだ。

ミッションではソウが皇神の無能力者を殲滅させてしまう以外の問題は起こらず、一応、ジーノやモニカと言った仲間も出来たので悪くはない時間を過ごせてはいたのだろう。

電子の謡精(サイバーディーヴァ)の抹殺のミッションが伝えられるその日までは。

「ターゲットは電子の謡精…そのプログラムコアの破壊だ」

アシモフの言葉に電子の謡精のことを知るジーノが首を傾げる。

「電子の謡精・モルフォちゃんといえば、誰もが知ってる国民的バーチャル・アイドルだぜ?そんな娘をどうしてまた?」

「彼女の歌は、我々能力者の精神…第七波動に共鳴していることが判明した。どうやら連中は、電子の謡精を利用して、我々能力者の居場所を探知していたようなのだ。また、ごく僅かながら彼女の歌を聞いて、体調不良に陥る能力者もいるようだ…」

その言葉に電子の謡精の正体に気付いたモニカが口を開いた。

「つまりモルフォは、能力者を炙り出すためのソナーだったというわけね…」

「能力者の自由のためにも、そんな物は破壊せねばならない。ターゲットのプログラムコアは皇神の施設内に保管されている。我々が陽動を行う…GVとソウはその隙に施設に侵入しターゲットを破壊してくれ」

「「了解」」

アシモフの指示にソウとGVはそう返すと、ミッションが開始された。

しかし施設に侵入したのはいいものの、施設内にそのような物は何処にもなく、ソウとGVは皇神兵に捕まってしまう。

そして2人は拘束され、尋問室に入れられると変態のおじさんが姿を現してソウに電磁鞭を叩き付ける。

「…っ」

「どう、フェザーの少年?電磁鞭のお味は?私達皇神グループに刃向かうなんてお馬鹿ちゃんねぇ…目的は皇神の電脳アイドルモルフォちゃんの消去(デリート)…いえ、抹殺ってところかしら?今や企業の広告塔の枠を超えて大勢の人達に愛される国民的バーチャルアイドル…電子の謡精・モルフォ。ウフ、私も大好き。新曲は速攻ダウンロードしてるわ…だけど残念!モルフォちゃんは今頃、輸送列車の中よ」

「輸送列車だと…?」

それを聞いたソウが小さく呟けば変態のおじさんが笑みを浮かべる。

「ウフフ…絶望した?フェザーの目論見なんてぜ~んぶお見通しってわけ!これは尋問なんかじゃないの…あなた達みたいな可愛い子をいたぶりたかっただけ…つまりは趣味っ!!さぁ~少年!いい絶叫(こえ)で鳴いてプリィーズ!」

変態のおじさんがソウに電磁鞭を振るうが、叩き付けられているソウには全く通用しない。

「なるほどな、ターゲットである電子の謡精はここにはいないようだ」

「むっ、無傷っ!!高圧電流を流した電磁鞭なのよっ!?何で平然としていられるのぉ!?」

無傷のソウに狼狽える変態のおじさん。

「俺にそんな玩具の電撃は効かん。」

全身から紅い雷撃が迸り、拘束を焼き千切るとソウは変態のおじさんを睨む。

「紅い…雷撃の第七波動…まさか…まさかあなたは…無能力者を狩る悪魔と呼ばれている最悪のテロリスト…紅き雷霆・ソウ!?まさか、もう1人は蒼き雷霆・ガンヴォル…むぐっ!?」

変態のおじさんの口を手で押さえると冷たい声で話し始める。

「皇神の無能力者が気安く呼ぶな…まあ、情報の提供には感謝するがな。眠っていろ変態」

変態のおじさんを殴り飛ばした後、GVが蒼き雷霆で拘束を焼き千切るのを待つ。

「…珍しく殺さなかったね兄さん」

敵対する…特に皇神の無能力者は問答無用に殺す兄にしては殴り飛ばすだけで終わったのはGVからすれば意外だったようだ。

「馬鹿過ぎて殺す気も失せる…こちらコードネーム・ソウ。シープス3、回線開け」

通信を繋ぐとオペレーターにしてシープス3・モニカが応答してくれた。

『こちらシープス3!無事だったのね。ソウ、ガンヴォルト』

「チームに情報の修正だ。ターゲットである電子の謡精は既に別のポイントに移動中だ。俺達はこれからこの施設を脱出し、ミッションを継続してターゲットを追跡する。」

心配しているモニカに対してソウは事務的に報告する。

無能力者のモニカに対してソウは冷たく対応するのだが、しかしこれでも以前よりは遥かにマシになった方なのである。

フェザーに入ったばかりの頃は無能力者のフェザーのメンバーに敵意を剥き出しにしていたのだから。

『ちょっと本気?罠の可能性だって低くないのよ!』

「罠があろうと問題ない。ミッションを続行する」

『あのね…!!』

取り合おうとしないソウにモニカが注意しようとするが、それよりも早くアシモフが答える。

『こちらシープスリーダー、了解した。GVとソウはそのままミッションを継続。シープス3は情報をキャッチし次第、こちらへ連絡を回してくれ』

それを聞いたモニカは溜め息を吐きたくなったが、何とかそれを堪えた。

『…分かったわ。GV…ソウをお願いね』

お人好しな性格なのか、どれだけ邪険に扱われてもソウのフォローを任せるモニカにGVも答える。

「分かっていますよモニカさん」

『シープス2も目標を変更。GVのサポートを頼む』

『へいへい、こちらシープス2。聞こえてるぜ…まあ、いつも通りって事で、シープス2から愛想のないソウと苦労人の弟ガンヴォルトへ、命は大事にしな。そうすりゃ、一生使えんぜ?』

「お前に言われなくても分かっている」

「…了解、善処するよ」

軽い口調で言ってくるジーノに対してこの兄弟の返答は短いものであった。

『…本当に愛想のない奴だな…本当に分かってんのかねぇ…』

「ごめんジーノ…」

『あ?ああ、気にしなくていいぜGV。お前の兄貴が無愛想なのは何時ものことだしな』

GVの謝罪にジーノが笑うとアシモフが指示を飛ばす。

『これより“電子の謡精抹殺”ミッションを再開する。グッドラック!』

「行くぞ」

「うん」

気絶している変態のおじさんを放置し、雷霆兄弟は施設内を駆けていく。

途中のシャッターはソウがテールプラグをダートリーダーに接続し、専用カートリッジ・ナーガの特徴とも呼べるチャージ機能を使って避雷針に雷撃を纏わせたチャージショットを放って破壊すると、他のシャッターもまた雷撃刃での斬撃で両断してしまう。

『見事だソウ。』

『本当にお前ら兄弟揃ってチートだよな。ニヒヒヒ…』

「茶化さないでよジーノ…」

GVはダートリーダーから避雷針を撃ち、雷撃鱗を展開すると目の前のロボットに雷撃を流し込んで破壊する。

『GV、ソウ。ターゲットの所在が分かったわ。その施設に停車している皇神の専用列車にターゲットが積載されているみたい』

「了解」

「あそこの貨物列車か…急げば何とか間に合いそうだ」

『ソウ、GV。EPエネルギーの残量に気を付けておけ、いくらお前達にカゲロウがあっても無限に攻撃を無効化出来るわけではないからな。特にソウはな』

「分かってるよアシモフ…」

「ふん…」

新人時代から聞かされている注意にGVは苦笑、ソウは表情を顰める。

しかし実際にEPエネルギーが尽きた際に攻撃を受けそうになったことがあるのでソウは何も言えなかった。

『そこにあるゲートモノリスを破壊すればターゲットのいる貨物列車よ』

「よし、GV…ゲートモノリスを破壊するぞ」

「うん」

GVがショットからの雷撃を、ソウが雷撃刃の斬撃を当てるとゲートモノリスは破壊され、列車に飛び乗る。

『上手く列車に取り付けたようだな電子の謡精は先頭車輌の中だ』

「よし、なら迅速に敵を殲滅するぞ」

持ってきた携帯食であるブロック食を1つ口に運ぶとソウがGVに振り返る。

「うん、兄さんは大丈夫?」

「問題ない。これならもう少し保つ」

紅き雷霆は蒼き雷霆以上の攻撃能力を持つが、燃費が悪過ぎると言う欠点があり、合間に特殊製法された携帯食を摂らないと長時間のミッションが出来ないのだ。

『列車から落ちんじゃねぇぞソウ、GV。ま、お前らなら列車から落ちてもピンピンしてるかもしれねぇけどよ』

「お前は俺達を何だと思っているんだ」

「あれが紅き雷霆・ソウと蒼き雷霆・ガンヴォルト…どちらもまだ子供じゃないか…」

気絶から覚めた変態のおじさんからの通報を受けた皇神兵が侵入者である能力者の2人がまだ十代前半の子供であることに驚く。

「油断するな、いくら子供でも片方は悪魔と名高い紅き雷霆だぞ」

皇神兵が通信を繋いで増援を求める。

『後方より、複数のレーダー反応を確認。第九世代戦車みたいね…』

『敵を捕捉した。これより邀撃する。一機目命中、二機目命中!…チィ…タンク二機の狙撃に成功、撃破した。残った一機がそちらの列車に向かったぞ』

「了解」

アシモフからの通信を受け、こちらに皇神製の戦車が2人の行く手を阻む。

『いい?無人型の第九世代戦車には共通する弱点があるの。頭部に大ダメージが入ると、非常冷却が働いてコアが上部に押し出されるわ。そのコアを攻撃すれば倒せるはず。あなた達なら撃破出来るわ』

「了解、迎撃開始します。ありがとうモニカさん」

「GVが頭部に雷撃を流せ。俺がコアに攻撃する」

「頼んだよ」

GVが避雷針を頭部に数発当てて雷撃を流し込むと、モニカの言う通りに非常冷却が働いてコアが押し出された。

「消えろ」

チャージセイバーからのショット連射がコアに命中し、煙が噴き出す。

『冷却が完了すると機体が再起動するわ 。急いでコアを破壊して』

「軍用兵器にしては中々面白いギミックだね」

「だが、所詮はガラクタだ」

再びチャージセイバーをコアに当てるとコアが爆発し、それによって誘爆を起こして戦車…マンティスが破壊された。

そしてマンティスがあっさりと破壊されたことで皇神兵に衝撃が走る。

「そんなっ!たった子供2人にマンティスがやられるなんて!」

「予備が後一機あるはずだ!前の車輌へ発進準備の通信を入れろ!」

皇神兵が慌ただしく動く中、ジーノがモルフォのことを考えて嘆く。

『やっぱプログラムコアを破壊したら、もうモルフォちゃんも観れなくなるんだよな。俺、モルフォちゃん結構気に入ってたんだよな。大人っぽいところとかさ…まさか彼女の歌が能力者をあぶり出す罠(ソナー)だったなんて…ショックだぜ』

『電子の謡精が、この国の人々の希望、心の拠所だとしても。あの謡精により、多くの同胞達が皇神に捕らえられ、今も苦しんでいる』

モルフォの正体に嘆くジーノに言い聞かせるようにアシモフは言葉を紡ぐ。

「………」

「あんな物の何処が良いんだ…?理解に苦しむ…たかがバーチャル…作り物だろう」

『お前ってさ、本当に枯れてるよな…普通の男ならモルフォちゃんは可愛いって思うぞ』

十代前半とは思えないくらいに色恋沙汰に関心を持たないソウにジーノは先程とは別の意味で嘆く。

「興味がないな」

『お前って奴は本当に…まあ、いいさ。とにかく任務に私情を挟む程、馬鹿じゃねえさ…そうだ、GV。兄貴がいるからって兄貴に頼りきりになるなよ。ソウはお前と比べてクードスは上がりにくいんだからよ』

「分かってるよ。兄さんは戦闘に置いては敵味方問わず恐れられている最強の第七波動能力者。そんな兄さんに頼って得られるような評価はないってことだからね。」

そのまま進んで行くと奥から高出力レーザーが飛んできた。

「マンティス…出るぞっ!最後の一機だ!ぶちかましてやれっ!」

「レーザーか、随分と派手なお出迎えだな」

「兄さん、当たらないように気を付けて」

「誰に言っている」

雷撃鱗のホバリングで回避するソウとGV。

出力に差があるのか、GVよりも低速で下降していくソウ。

「マンティスの高出力輻射式増幅光砲。その威力は折紙付きだっ!」

「どれだけ強力なレーザーだろうと当たらなければ良い話だ」

そのままレーザーをホバリングやコンテナに身を潜めて回避すると、最後の一機のマンティスが姿を現した。

「さっきと違って足場が無い分こっちの攻撃が当てにくいか…けど、問題はない。迸れ!蒼き雷霆よ!!我が敵を貫き滅ぼせ!!」

「迸れ、紅き雷霆よ…我が敵を紅き雷刃(ヤイバ)で叩き斬る…!」

GVが頭部に雷撃を流し込んでコアを押し出し、SPスキルを発動し、ソウもまたSPスキルを発動して銃を構えた。

「天体の如く揺蕩え雷!是に到る総てを打ち払わん!!ライトニングスフィア!!」

「閃くは破滅の雷光!紅雷の刃よ、敵を斬り裂け!ギガヴォルトセイバー!!」

GVの周囲を回る蒼の雷球と振り下ろされた銃口から放たれた紅の雷刃波がコアに炸裂し、マンティスの堅牢な装甲も纏めて粉砕した。

「所詮は皇神のガラクタだ…こんなものだろうな」

「思っていた程でもなかったかな」

「くそっ!化け物共めっ!このままじゃ突破される!指令本部!応援を頼むっ!」

最後の一機であるマンティスが容易く破壊されたことに皇神兵の1人が歯軋りするが、ソウとGVを止められる者などいない。

『こちらシープスリーダー。ヘリから狙撃し動力車輌とターゲットの車輌を切り離す。ターゲット停止後、ソウとGVは車輌に侵入、速やかに目標のプログラムコアを破壊するんだ。』

「「了解」」

そして2人は目の前のゲートモノリスを破壊して車輌に侵入したが、そこには機械で繋がれ、狭い世界に押し込められて自由を奪われているたった1人の少女の姿があった。

「これは…!?」

「機械に繋がれた小さな娘…モルフォの正体は…まさか…」

『…あなた達…は…?…あなた達は…研究所の人じゃ…ないの?』

「…皇神の関係者じゃないようだな。お前がターゲットの電子の謡精・モルフォなのか?」

その時、ソウとGVの前にモニターで見るモルフォの姿が現れた。

『アタシはこの子の想いが具現化した電子の謡精・モルフォという名の第七波動(幻)。あなた達、研究所の人間じゃないんでしょう?お願い…この子を…アタシをここから連れ出してくれないかしら?』

モルフォの表情には淡い期待が浮かんでおり、お人好しの部類に入るGVはモルフォに応えようとしてアシモフに通信を繋いだ。

「…っ、こちらGV。ターゲットと接触しました。再度、情報の修正を…電子の謡精はプログラムデータなんかじゃない…小さな女の子の第七波動です」

『何ですって…!!』

「後、こいつに敵対意思はない。皇神の屑共に拘束され利用されているんだろう」

『皇神の奴ら…えげつねぇことしやがるぜ』

モニカとジーノがGVとソウからの情報に声を険しくする。

「これよりミッション内容を変更。彼女を救出…」

『いや、変更はしない。その子を抹殺しろ。GV、ソウ』

「何?」

「アシモフ!?」

アシモフから返ってきた返事は非情なもので、ソウは不快そうに、GVは目を見開く。

『すぐに皇神の増援が来る。いくらソウがいるとは言え、君は罠かもしれない少女を抱えたまま戦うつもりか?仮に無事に済んだとして、その後はどうする?フェザーに…武装組織に彼女の居場所があるのか?』

アシモフの言っていることは正論だ。

高い戦闘力を誇る第七波動を持つソウとGVはフェザーに身を置くことが出来たが、彼女の第七波動は明らかに戦闘に向いていない。

そもそも拘束されていた人間にまともな運動能力があるのかどうかも疑問が残る。

GV達の会話を聞いてか、今まで黙っていた少女が口を開いた。

『…………それなら、私を…殺してください。もう、あの人達の為の歌は…皆を苦しめる歌は歌いたくない…だから…いっそ、私を殺してください』

その言葉がGVに決意をさせた。

「(…この子は……この子は、あの頃の僕と同じだ…兄さんに助けられてアシモフに居場所をもらったあの頃の……迷うことはない)簡単に命を投げ出すな!君が自由を望むのなら僕が翼を貸す。僕は君を助けたい…君の本当の願いは何?」

GVの言葉に少女は今まで抑え込んできた願いを吐き出した。

『私は……私は外の世界で、私の歌を歌いたい…!』

「OK、それが君の願いなんだね………アシモフ、僕はフェザーを抜ける。かつてあなたが僕に居場所をくれたように…今度は僕が彼女の翼になる」

「GV…」

「ごめん兄さん…でも僕は彼女を助けたい…昔、兄さんが皇神から僕を連れ出してくれたように…」

「仕方がないな、アシモフ。悪いが俺もフェザーを抜けるぞ…GVがフェザーを抜ける以上…俺もフェザーにいる理由はない。」

元々ソウがフェザーに入ったのは皇神への復讐もあるが、弟を守るためでもある。

その守る対象である弟がフェザーを抜けるなら自分がフェザーにいる理由はない。

『それがお前達の選んだ“自由”か…了解だ…組織に規律を乱す者達は不要。これよりコードネーム・GVとソウをフェザーから除名する』

『ちょっとちょっと、3人共!何を言っているの!?』

『そうだぜ!3人共!どうかしてるんじゃねぇか!?』

あまりのことにジーノとモニカも混乱しているようだが、GVは今まで世話になった2人に口を開いた。

「…いいんだ。モニカさん…ジーノも…今までありがとう」

『皇神の増援部隊は我々フェザーに任せてもらおう。今の君達は我々フェザーとは関係のない一般市民だ。戦いに巻き込むわけにはいかん…グッドラック』

「…ありがとう、アシモフ…」

アシモフに礼を言うと、GVは少女を機械から解放すると横抱きするとGVの蒼き雷霆が迸り、それは少女の目には翼に見えた。

「…羽?…あなたは、天使?」

「僕はGV…ガンヴォルト。君の名前は?」

「私は…シアンです…あの、あなたは?」

シアンと名乗った彼女がソウに尋ねると、ソウは少しの間を置いて答えた。

「…ソウだ…」

これが電子の謡精と雷霆兄弟との出会いである。 
 

 
後書き
色々と考えた結果、ソウは最初のをベースにして色々と変えてみます。

SPスキル

ギガヴォルトセイバー

Xシリーズの第6作ロックマンX6のブレードアーマーのギガアタックがモデル。 
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