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星河の覇皇

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第七十二部第一章 マウリアの人口統計その二十一

「五百億か?」
「六百億じゃないのか」
「いや、千億って話も出て来た」
「千億もわかっていない人口がいたのか?」
「あそこの今の人口の半分だぞ」
 そこまで多いというのだ。
「有り得なくないか?」
「何でそんなにいるんだ」
「本当にいるかどうかわからないにしても」
「おかしなことだな」
「全くだな」
「実際どれだけいるんだ」
「三百億でも多いって思っていたがな」
 それがというのだ。
「千億とかな」
「どんな国なんだ、マウリアって」
「千億って連合でもそこまで人口ある国そうそうないぞ」
「アメリカとか中国はいるけれどな」
「日本やロシア、ブラジルも多いけれどな」
「あとトルコもな」
 そしてインドネシアやメキシコ、ナイジェリア等もだ。こうした国々は地球にあった頃から人口大国であった。
「人口多いがな」
「それでも千億とかな」
「多いだろ」
「はっきり言って多過ぎるだろ」
「千億本当にいたら驚くな」
「そうだな」
 こんなことをだ、連合市民達はマウリアの話を聞いて言った。しかし彼等にとってマウリアのことはまさに他の世界のことでだ。どうでもいいという感じで最後は終わった。
 だが実際の人口統計を行うマウリアの官僚達は人口調査と統計が進むにつれて徐々にその顔を強張らせていった。
 そのうえでだ、連合から特別に購入した連合にしてみればローテクのスーパーコンピューターに入っていくデータを見て驚愕して言った。
「凄いものだな」
「予想を超えているな」
「それも遥かにな」
「何て多さだ」
「経済規模も尋常じゃない」
「洒落になっていないぞ」
「完全に一つの国家だ」
 統計からわかるマウリアのアウトカースト層の社会はというのだ。
「貨幣も別だ」
「同じルピーにしてもな」
「価値は同じにしてもコインや紙幣の形も違う」
「あくまで彼等の貨幣だ」
 そうなっているというのだ。
「全くな」
「別のものだ」
「同じルピーにしてもな」
「貨幣の問題も出て来たな」
「しかも産業もだ」
「我々とは全く違う」
「完全に別の社会だ」
 同じマウリアにありつつというのだ。
「しかも規模も巨大だ」
「千億実際にいるな」
「そうだな、三百億どころではない」
「予想以上に巨大だ」
「とんでもない社会だ」
「調査と統計が進めば進む程わかるが」
「信じられない」 
 そのわかってきていることがというのだ。
「まさかこうした社会があったとは」
「このマウリアの中に」
「高度に発展している」
「産業構造も政治システムも」
「しかも民主的だ」
「ここまでのものとはな」
「そしてだ」
 特にだった、彼等が驚いた事柄があったがそれはというと。
「アウトカースト政府の主席だが」
「マガバーン=ジャバル主席か」
 コンピューターのモニターに画像が出ていた、黒い肌に黒い彫のある目に面長の顔である。アーリア系の理想とも言うべき整った顔だ。黒髪はやや縮れていてそれも整えられている。痩せて資料にはマウリア人としては長身の身体となっている。 
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