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ある晴れた日に

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705部分:冬の嵐は過ぎ去りその五


冬の嵐は過ぎ去りその五

「解決するからね。そして」
「そして」
「その彼女を救い出す」
 彼の言葉はさらに強いものになっていた。
「絶対にね」
「御願いします。それじゃあ」
「じゃあまずは」
 そしてであった。吉見の部屋がある階に辿り着いた。誰もがこれまでになく強いっ緊張の中に包まれる。すぐに青島が全員に告げてきた。
「小泉君」
「はい」
 まずは彼にであった。きびきびとした動作と声で応えてきた。
「君は僕と一緒に」
「わかりました」
「そして君達は」
 次に正道達に告げる。その彼等にだ。
「君達は上の階にいてくれ」
「すぐに降りられるようにですね」
「上の階に」
「位置は。そうだな」
 ここで青島は自分の右手と前を見た。右手にはさらに上に行く階段があった。そして前の果てには向こう側にも上に向かう階段があった。その二つがだ。
「それぞれの両端に近い場所にいて」
「そしてすぐに連絡が来たら」
「それで」
「下に」
「来てくれ。君のメールは」
「これです」
 正道はすぐにそれを見せた。彼のメールアドレスをだ。青島は実に素早い動きでそのメールアドレスを自分の携帯電話に入力した。そのうえでメールを送るとすぐに音楽が鳴った。これを確認とした。
「できたら振動に切り替えて」
「音がしないように」
「そうだよ。だからね」
「わかりました。これで」
 言われるまますぐに振動にした。これで万事整った。
「君から向こう側の誰かにメールをしてね」
「刑事さんのメールを受け取ったら」
「そう、すぐにね」
 まさにそうしろというのだった。
「頼んだよ、それでね」
「はい」
 青島の言葉に強い顔で頷いた。声もそうなっていた。
「それじゃあ」
「さて、これでいいね」
 青島はあらためて言った。
「僕と小泉君は向こう側に隠れる」
「すぐにですね」
「ここに隠れるわけにはいかない」
 後ろを振り向くとそこにエレベーターがある。今は十階である。吉見の部屋はまさにこの階にあるのである。そのバベルの塔のだ。
「だからね」
「すぐに向こう側に」
「あいつはもうすぐ来る」
 青島は正道達の話からそのことを察していた。
「すぐに隠れよう」
「わかりました」
「すぐに」
 小泉も皆も頷いた。そうして青島の指示通り隠れた。一同がその場を去るのとほぼ同時にであった。後ろのエレベーターの移動を示すランプが動きだしていた。
 皆それぞれの場所に着いた。青島は向こう側から顔を僅かに出して様子を見る。正道達はそれぞれの場所から彼のメールを待つ。皆緊張の中にいた。
「いよいよね」
「あいつが来る」
「未晴を連れて」
 正道はエレベーターのある方の階段のところにいた。彼の他には明日夢と咲、凛、加山、野茂、佐々、それに竹山がいた向こう側に他の面々がいる。
 
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