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ある晴れた日に

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701部分:冬の嵐は過ぎ去りその一


冬の嵐は過ぎ去りその一

                   冬の嵐は過ぎ去り
「それは本当かい?」
「そうです」
「嘘じゃないですから」
 駅に着くとすぐにそこを出てである。駅前の交番に入ってそこにいる制服の警官に声をかけた。見ればまだ若い高校を出たばかりの様な顔をしている。
「本当にです」
「最近の学校の動物虐待や女性の失踪事件の犯人がわかったんです」
「その家もです」
「証拠はあるのかい?」
 その警官は怪訝な顔で彼等に言ってきた。
「証拠は」
「証拠ならあります」
「そこにです」
 皆で話す正道だった。
「そこにありますから」
「俺達が今から案内する場所にです」
「ですから」
「けれど」
 しかしであった。それを聞いた警官はである。彼等の話を聞いていぶかしむ顔になっていた。そのうえで彼等に対して言うのであった。
「君達の言っていることはだ」
「どうだっていうんですか?」
「一体」
「何か辻褄が合っていない。いや」
「いや?」
「何か突拍子もないよ」
 そうだというのである。彼等は交番の前で話をしていた。
「そんなことを言われてもね」
「ですから本当です」
「本当に犯人を見つけたんです」
「ですから」
 必死に行こうとする。しかしだった。
 ここでだ。交番の後ろからだ。あるスーツの中年の男が出て来たのであった。それは。
「あっ、青島警視正」
「今の話は」
 背が高く強い目の光を放つ黒い髪の男である。耳は大きくそのうえ眉がっ太い。その彼が交番の奥から出て来たのである。そのうえで言ってきたのである。
「本当だね」
「本当ですか」
「まさかこれだけの数の人間が全員嘘をついている筈もない」
 その青島という男はまずはこう言うのだった。
「そうだろ?それに悪戯にしても」
「悪戯にしても」
「言うことが悪質過ぎる。嘘ならね」
「嘘なら」
「そう、最近のあの連続失踪事件は色々な噂があった」
「噂がですか」
 そのことが話されていくのだった。
「この街に犯人がいるとかね。ただ」
「ただ?」
「動物虐殺事件とそれを組み合わせて考えられるか?」
「いえ、それは」
「そんなことは誰も考えなかった」
 青島は言うのだった。
「小泉君」
「はい」
 今度はその警官の名前を呼んできた。
「実際君もそうは思わなかったね」
「どっちもあまりにもおかしな事件ですから」
 小泉は彼にこう述べた。その顔はいささか狼狽したようなものになっている。
「ですから」
「そうだね。それはね」
「はい、とても」
 まさにそうだというのだった。
 
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