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飛び立った天女

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第六章

 自分の部屋に入っていった、ベッシーはニャメと共に彼を見届けると。
 お互いに顔を見合わせて頷き合ってだ、そうして。
 妻の部屋に入った、その部屋のベッドには黒人の美しい顔立ちの人間族に似ているが遥かに美しいこの世のものとは思えない美女が横たわっていた。ベッシーとニャメはその美女の枕元に行ってだった。
 二人で村長と薬剤師の考えを話してそのうえで薬を渡した、すると。
 美女はその薬を二人だけでなく村長と薬剤師にも礼を述べてだった。
 それから飲むとだ、それまで血の気がなかった顔が。
 みるみるうちに生気が戻りそうしてだった、ベッドから起き上がり。
 そのうえでだ、二人にこう言った。
「あの人達にお伝え下さい」
「何てや?」
「これまで有り難うございました、そして申し訳ありませんと」
「地上から去るからか」
「天界の者は地上には長くいられないのです」
「望郷の念が高まってやな」
「その想いで心も身体も病み死んでしまうのです」
 そうなることをだ、天女はベッシーそしてニャメに話した。
「ですから」
「それでやな」
「はい、私はこれでです」
「天界に戻るからか」
「お二人には」 
 村長そして薬剤師にというのだ。
「ただひたすら申し訳なく」
「謝るんやな」
「はい」
「そうか、そのこともな」
「伝えてくれますか」
「そうさせてもらうわ」
「有り難うございます」  
 天女は深々と頭を下げてだ、そうして。
 窓を開けてそこから静かに天界に上っていった、ベッシーとニャメは彼女が見えなくなるまで見送ってだった。
 村長のところに戻って全てを伝えた、すると村長は静かに頷いた。 
 二人はガチの薬剤師にも話すべきだと思い彼にも話した、すると彼も静かに頷いた。二人共何も語らなかった。
 そしてだ、その後で。
 二人共俗世を捨ててそれぞれの信じる宗教の神官になった、そのうえで俗世の虚しさを忘れたという。だがこのことは二人はこの時は知らなかった。
 薬剤師に話を終えたベッシーはニャメを全てが終わったからということで気持ちを切り替える為にガチの食堂に案内した。そこでだった。  
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