飛び立った天女
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第一章
飛び立った天女
ベッシー=パーとニャメービテックは今はベッシーの神託でマリのガオ近辺のオアシスの村に来ていた。
周りは砂漠だ、ベッシーは今は北を見つつ共にいるニャメに語った。
「ここから先は浮島もオアシスもなくて」
「ほんまに何もないからな」
ニャメもこう応えた。
「こっちの世界のサハラ砂漠も」
「それでもうサハラ砂漠自体がな」
「枢軸との国境になってるからな」
自分達の勢力である十星連合の敵であるこの勢力と、というのだ。
「そうなってるからな」
「人はおらんでおるのはモンスターや獣だけや」
「あと砂の大海原な」
「そこを越えることは難しいからな」
「それもかなり」
「それでな」
「もうサハラ砂漠はな」
「神託とはちゃうな」
「あそこはな」
文字通りにというのだ。
「絶対にちゃうわ、というか」
「そう思いたいな」
「私としては。それで占ってみたら」
ベッシーは自分の職業である占い師の能力からも話した。
「幸いな」
「砂漠は関係ないか」
「この村の村長に会えって言うてるわ」
「村長さんにかいな」
「そや、それでな」
「今からやな」
「村長さんのところに行こうな、そうしたらな」
さすればとだ、ベッシーはニャメに話した。
「私の神託に出会えるらしい」
「そうか、ほなな」
「行こうな」
その村長のところにとだ、こうニャメに言ってだった。
ベッシーは実際に村長の家に向かった、当然今回の神託を適える冒険のパートナーとなっているニャメも一緒だ。二人で村長の村の中で一際立派な家の扉に旅の冒険者だと素性を隠したうえで扉を叩くと。
バンパイア族、黒人の肌の色と顔立ちと髪の毛だが目だけが赤い初老の男が二人を迎えた。そうしてすぐに二人に言った。
「妻の話を聞いてか」
「奥さんの」
「それで来たのか」
「いや、私は占い師で」
正直にだ、ベッシーは村長に答えた。
「別にそうしたことは」
「聞いていないのか」
「占いでここに来るといいと言われたので」
素性は隠して話した。
「それで、なんで」
「私は仲間として」
ニャメも素性を隠して答えた。
「一緒におるから」
「そうなのか」
「それで奥さんのことは今はじめて聞いたわ」
ベッシーは村長に即座に答えた。
「ほんまに」
「そうなのか、だが今聞いたな」
「村長さんの口から」
実際にとだ、ベッシーは村長に言葉を返した。
「そやから詳しい話を聞かせてくれへんか」
「わかった、ギルドに依頼を出そうと思ったが手間は省けた」
それでとだ、村長はベッシーの言葉に応えてだった。
そのうえで二人を家の中に入れてだった。居間で話をはじめた。四人用のテーブルに座ってそうしてだった。
村長は二人に茶を出したうえで話をはじめた、ここで名乗った名前はバンバ=グンダムといった。大柄で逞しい身体だが声も物腰も実に温和なものである。
「私の妻は実は天女でな」
「天女でか」
「そしてこのオアシスに降り立った時に私は見初めた、私がまだ二十三歳の頃だった」
「若い時か」
「そして私は妻を何とか説得してだ」
その様にしてというのだ。
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