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うちはオビト逆行物語 改 〜逆行?何それ美味しいの?〜

作者:もっちゃ
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幼少編
  うちはオビト逆行物語『打ち明ける想い』

 
前書き
副題【オビトが恋心を拗らせる話】

ご注意願います。
この作品は二次創作品となっており、本誌への多大なるネタバレを含みます。
更に辻褄や都合を合わせる為に作られた出しゃばるオリジナルキャラクターや、本誌に合わせた恋愛、過剰なるグロテスク等の表現をしております。

以上の事を踏まえた上での閲覧をお勧め致します。


第十五話目です!
ここに来てオビトが恋心を拗らせます。何時もですけど。
この辺りからは人を選ぶような話になるかもしれません。結果がどうであれ、見守ってください。

アスマ「俺の活躍に少しは触れろよ。」
オビト「ぶっちゃけガイよりも危なかったのにそういう扱いなんだなお前…。」 

 
「やったねオビト!アスマに勝つなんてすごいよ!!」
「へへ、まぁな!」
「…随分と押され気味だったように見えたけどね。」
観戦席に戻ると、リンが暖かい笑顔で迎えてくれた。だが、リンに見てもらえれ嬉しいという感情はカカシの無駄な一言によって薄れてしまう。押され気味でも何でも、勝てたんだから余計な事を言わないで欲しい。
そう思いながら観戦席の手すりに寄りかかる。しばらく会場整備があり次の試合まで時間が出来てしまった為かカカシはリンの隣でこちらを見てばかりだし、リンはリンでカカシを見てばかりだ。畜生、お前に見てもらいたくて強くなったわけじゃねえっての。
「カカシも次勝てばオビトと決勝かぁ…!何だかドキドキするなぁ。」
「ま、軽くあしらってやるけどネ。」
「俺の前にもう1人相手がいること忘れてないよな。負けないといいな?」
嫌味ったらしく言えるほどの仲になれたのは何時からだろうか。とにかくそんなに軽く上がれると思ったら大間違いだからな。
「あ、いたいた。カカシにオビト、お疲れ様。」
「先生、会場整備終わったんですか?」
階段を駆け上がってくるミナト先生の声に振り返り、そう問いかけるとうん、と頷いた。
「次は前回も参加している先輩だよ。カカシ、気をしっかりね。」
「はい。」
頑張ってくるんだよ。とミナト先生の声援に背中を押され、カカシはミナト先生が登ってきた階段を降りていく。決勝で会えるのは知っているが、今のあいつはハラハラするような戦い方をするから、見物ではあるな。
「そうそう、オビト…写輪眼の事なんだけど、一体いつ開眼してたの?」
「え、あぁ…修行中に感情が高まって。」
こんなので誤魔化せる訳ないだろ、訂正しろ。だがここで訂正しては寧ろ怪しまれるのではないか。そんな思考を巡らせながらぼんやりとミナト先生を眺める。頼むから今こそ天然を発揮してくれ。
「そうなんだ!オビト、ずっと頑張ってたもんね!!」
「あ、あぁ…。」
リンの声援も今は心の底から喜べる程、自分は呑気していない。ミナト先生は何気なさそうな顔をした後、苦笑いを浮かべた。
「…まぁ、何にせよ。そういう事は上司には伝えるべきだね。今後の任務にも色々と幅が増えるだろうから。」
「はい、すみません…。」
誤魔化せた、と内心ほっと息をつく。それなりではないが、こういった心理戦は何度もしてきたし、まだまだ若いミナト先生には負ける訳には行かない。
「じゃあ、俺もそろそろ行くね。オビト、決勝頑張ってね。」
「…っ、はい!!」
じゃあ、と言ってミナト先生は来た道を再び戻って行った。それをぼんやりと眺めるとリンはこちらを覗き込んで笑った。
「ふふっ、オビトすっごく嬉しそうだね!」
「ぅえっ…ま、まぁな。」
知らずと上がっていた口角を右手で覆う。ミナト先生に褒められる事など少なかったからなのか、褒められるともどかしいし口角も上がるのだろう。まぁ、それが『前回のうちはオビト』には近いのだろうから、別に構わないが。
「あ、カカシの試合始まるよ!見よ!!」
試合の合図がかかるとリンは再び手すりにしがみつく。嬉しそうなその横顔を少し寂しい気持ちを抱えながらリンの隣へそっと移る。そろそろリンに対する思いをはっきりさせた方がいいだろう。俺はリンを応援すると決めたのだ。いつまでも引きずっていては男らしくはない。…が、それの典型的な例が前回の俺なので、やはり心が決まらないというか、複雑な気持ちでいっぱいである。
試合が始まり、カカシと先輩である下忍との戦いが始まった。火花がちったり砂埃が舞ったり、俺がするよりも少し迫力があって、さぞ周りの女子からしてみればカッコイイのだろう。
「…リンはカカシが好きなのか?」
ボソリと呟いたそれは、隣の少女を真っ赤に染めこちらを振り向かせた。そうだ、今俺はリンよ真隣にいたのを忘れていた。完全にやらかしている。前世ですら彼女の為(と自分の為)に聞きもしなかったことを、何故今聞いてしまうのか。ひっそりと応援するんじゃなかったのかよ俺は。
「あっ、そのっ…好きだよなそりゃ!友達だし同じ班員だしっ!やっぱり好きじゃなきゃ…」
「好きだよ。その、そっちじゃなくて、恋愛的な、方で…。」
遅れながらも必死に誤魔化すことの出来ないながらも誤魔化そうとした作戦は見事に砕け落ち、ついでに俺の初恋も見事に朽ちて行った。頬を微かに朱色に染め、潤んでしまったその瞳は完全に恋心を拗らせた少女だった。やはり、そうだろうな。ちゃんと口から聞いたこと無かったし、半分信じようとしなかった馬鹿みたいな自分が居たから、今しっかりと俺の初恋は朽ちて行ったのだ。
「そ、うか…。」
「う、うん。」
曖昧に出たその返事に、せっかく勇気を振り絞って言ってくれたリンもモジモジと恥ずかしそうにしおれてしまう。くそ、空気が重い。せっかくカカシのカッコイイ所が見れるのに、申し訳なさと同時にカカシを軽く嘲笑う。お前リンにカッコイイ所見てもらえなくて残念だったな。…そう言って傷つくのは自分なのだが。
「実はそうなんじゃねーかなって思ってたんだよなぁ。」
「えっ!?そ、そんなに分かりやすかったかな!?」
「ん〜、結構?」
急遽立てた作戦、『意外と認知度が高くなりつつある』作戦である。リンがカカシを好きだなんて周知の事実であるとさり気なく伝えつつ、しょうがないから応援してやる、という謎に上から目線のこの作戦、どうだ。
「そ…そっかぁ、ヤダ…どーしよぉ。」
やはり周りからも知られているというのはリンにはだいぶ効くようだ。両手を頬に持っていき恥ずかしそうにしているリンを見て、少し申し訳なさを感じるが、最早只の不謹慎なやつではないだろうか。人の領域にズカズカと踏み込んで荒らしている気がする。ごめんな、リン。いや、本当にこんなことするつもり無かったんだ。
「…だ、だからさ。俺。」
キョドりが気持ち悪い。自分で思っておいてダメージが酷いから、今だけはリンの脳内がカカシで一杯になっていてくれと無責任なことを願う。
「…俺!」「勝負ありっ!勝者はたけカカシ!」
観客席から拍手がまだらに飛ぶ。なんでこう…いつもタイミンクが悪いのか。もう精神的に40超えなのに、ダサいにも程がある。流石にこれは堪える。もうやだここ地獄だ。
「な、何?」
「…なんでもねぇ。」
これは今回も言えず終いだな。とぼんやり考えながら、リンに行ってくると一言残し、カカシとの試合の為にその場を離れた。



そして、取り残されたリンは酷く困惑していた。あのオビトが、まさか自分の想い人を知っていたなんて。いや、そもそもオビトはリンを好いている。それはリンがカカシのことを好きだと言う事実よりも、きっと周りには知られている筈だ。あんなにも分かりやすいのだ。リン本人ですら知っている。
…知っている上で、彼の想いを無視している。
「オビト、最後になんて言うつもりだったんだろう…。」
だからさ、俺。そうもどかしげに言っていたオビトを思い浮かべ、心臓を締め付けられる。きっと、オビトはその『なにか』を必死にリンに伝えたかったのだ。だが、相変わらずというかなんと言うか、なんとも言えぬまでの妨害がその言葉とその勇気を萎えさせたに違いない。
本当に何を伝えたかったのだろうか。そう悶々とした思いを残しながら、オビトとカカシが向かい合っている姿をぼんやりと眺めるのだ。 
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