氷の森
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第一章
氷の森
チェチーリア=モンテネグロとイザベル=パストスは今はチェチーチアの神託でボリビアのオルロに来ていた。
するとイザベルは小人故に身体が小さく自分の右肩にいるチェチーリアに対して眉を顰めさせて言った。
「あのさ、あたしパラグアイ生まれでな」
「この寒さには?」
「意外に思ってるんやけど」
こう言うのだった。
「ボリビアのこの辺りはこうした気候なんやな」
「そやで」
「そうなんやな」
見れば一面銀世界である、今も雪がしんしんと降っている。多くの者がこれが中南米かと違和感を覚える状況だった。
それはイザベルも同じでチェチーリアに言うのだ。
「あたし考えてなかったわ」
「そらここ高山地帯やから」
それでとだ、チェチーリアはイザベルに答えた。
「そうやさかい」
「それでかいな」
「そや、寒いしな」
「雪も降るんか」
「そやで、ボリビアは北東の方はアマゾン流域で暑いけど」
「こうした高山地帯はアンデスやしな」
ここでイザベルもわかった、ここがどうした場所か。
「ほなやな」
「そや、この寒さやねん」
「雪も積もるか」
「そうした場所やで」
「そうやねんな」
「そや、ほな雪が嫌やったら」
チェチーリアはイザベルに彼女の右肩に乗ったままで話した。
「ギルドに行ってな」
「依頼探すが」
「そうしていこな」
こう言ってだ、二人で街のギルドに向かった。他ならぬチェチーリア自身の神託を探す為に。それでだった。
そこに行くとだ、イザベルはある神託を見て眉を顰めさせてチェチーリアに対してこんなことを言った。
「この寒い時にな」
「この神託はっていうんやな」
「絶対にいらんわ」
今は自分の左肩にいるチェチーリアに話した。
「ほんまに」
「街の近くにある氷の森に入ってな」
「そこにある氷の水晶を取って来て欲しい」
「この水晶特別なもんか」
「そやねん、この世界のアンデス山脈の氷で覆われた場所にたまに出て来る」
「そうした水晶かいな」
「何と時価何十億ゴールド」
「何十億ゴールドって」
「人間の拳一個分でな」
「それは凄いな」
「それも原石でやで」
「余計に凄いな」
この世界の通貨は文字や言語、度量衡と共に統一されている。通貨の単位はゴールドであり日本では呼び名が両となっている。モンスターを日本では魔物と呼ぶのと同じでこの国だけの呼び名として使われているのだ。
「原石で何十億ゴールドって」
「そんな途方もないもんでな」
「お金持ちも求めるんやな」
「宝石マニアのな」
チェチーリアはイザベルに話した。
「それで報酬もや」
「他の依頼を桁外れに引き離して高いな」
「それだけ価値のある依頼ってことやな」
「それでまさかと思うけど」
イザベルはチェチーリアに顔を向けつつ彼女に問うた。
「この依頼は」
「そやで、あーし感じてるから」
チェチーリアの返事はイザベルが心から望んでいないものだった、だが彼女はその返事をさらに続けた。
「この依頼ことがな」
「神託かいな」
「そやで」
「ほな素性隠してか」
「旅の冒険者ということにして」
そのうえでというのだ。
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