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ある晴れた日に

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512部分:冷たい墓石その二十


冷たい墓石その二十

「それでも。そうした相手っていったら」
「それも毎日だから」
「大切な相手なんだしってこと?」
「ええ。他には思いつかないのよ」
 腕を組んでの言葉であった。
「私にはね」
「考え過ぎじゃないの?」
 その明日夢にここで言ってきたのは桐生だった。
「それはさ」
「そうかしら」
「だってさ。竹林さんは面会謝絶だよ」
 彼は常識から話した。それは確かに普通に考えればその通りであった。そう、あくまで普通に考えればである。誰もがまだその普通の世界の中にいたのだ。
「それで何でお見舞いにって」
「私達でも教えてくれないし」
「そうよねえ」
 五人がここでまた顔を見合わせた。
「全然だからね」
「あいつよりもまだ付き合い深いのにね」
「私が未晴のお母さんだったらね」
 茜が言った。
「やっぱり。音橋に教えるより」
「うち等だろ?」
「やっぱりそうよね」
「相当なことでない限りあんた達に教えるわね」
 そうするというのである。
「まず確実にね」
「だから未晴の可能性はないし」
「確実にね」
 再度その可能性は全否定された。彼等の中では。
「まあそれでも今日もよね」
「あいつ行くんでしょうね」
「尾行とかは止めておきましょう」
 千佳がそれは制止した。
「話が話だから」
「そうだね」
 加山が彼女の言葉に最初に頷いたのだった。
「じゃあそういうことでね。いいよね」
「そうだな。あまりいいことじゃないしな」
「流石に病院の中まで探るのはね」
 ここまでは気が引けるのだった。彼等にしても病院の中を探る程酷いことはしない。そういう分別は備えているのだった。誰もが。
「まあ気にはなるけれど」
「そういうことで」
「見守ろうよ」
 竹山が優しく述べた。
「音橋君をね」
「そうするか。それじゃあ」
「そっと」
 こう言った時だった。不意に。クラスにいきなり江夏先生が入って来たのであった。
「皆大変よ」
「えっ!?先生がって」
「まだホームルームの時間じゃないのに」
「何で今!?」
「田淵先生が」
 江夏先生のパートナーでありこのクラスの副主任であるその人である。クラスの面々にとっては江夏先生共々頼りになり慕うべき先生である。
「事故で」
「えっ、事故!?」
「嘘よ」
「嘘を言ってどうなるのよ」
 皆に対してこうも返す先生だった。
 
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