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ある晴れた日に

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510部分:冷たい墓石その十八


冷たい墓石その十八

 その日はこれで終わった。しかし結局のところ五人は謎を解くことはできなかった。その肝心の部分をである。
 そして翌日学校で。また皆でそのことを話すのだった。
「とりあえずさ」
「御家族とか友達じゃないみたいよ」
 五人と明日夢が皆に対して話す。
「あいつがお見舞い行ってる相手って」
「どうやら」
「違うのかよ」
「家族の人とか友達じゃなくてかよ」
「何かね」
 明日夢がここで言う。
「あの後私も直接あの娘にまた聞いたのよ」
「あっ、そうしたんだ」
「まだ気になることがあったっていうか確かめたくてね」
 だからだと凛の言葉に応える形で述べる明日夢だった。
「それで聞いたのよ。友達で誰かあいつがお見舞いする様な人が入院してるのかどうかってね」
「それでいなかったの」
「やっぱり」
「ええ、やっぱりね」
 そうだったと答えるのだった。五人に対しても。
「一人もいないんだって。皆元気だって」
「じゃあ誰なんだ?」
「それも毎日お見舞い行ってるみたいだし」
「そんなの尋常じゃねえしな」
 皆あらためて首を傾げるのだった。そうして考えるのだがそれで何かわかるかというと全く何もわからないのだった。だからこそ困ったことでもあるのだ。
「家族でも友達でもない」
「じゃあ誰だ?」
「彼女とかか?」
 ここで言ったのは野本だった。今日は彼と付き合わされる竹山もいる。従兄弟が揃ってここにいた。
「それじゃねえの?」
「って御前それはねえだろ」
「幾ら何でもよ」
 それは速攻で坪本と佐々に否定されたのだった。
「じゃああれかよ。音橋の奴二股かけてるのかよ」
「竹林とよ」
「それはないわね」
 恵美は二股の可能性は完全に否定した。
「確かに音橋は無愛想だけれど」
「ああ」
「それはね」
 このことは皆が認めることだった。
「それでもよ。浮気はしないわ」
 断言であった。
「それはないわね」
「浮気っていってもな」
「そもそも竹林と付き合ってること自体が凄いことだしな」
 野茂と坂上はかつて全員で二人のデートを覗いていた時のことを思い出しながら述べたのだった。
「それにあいつの性格からして浮気ってな」
「考えられねえよな」
「だよなあ」
「だからそれはないわ」
 あらためて断言する恵美だった。
「それはね」
「見たわけじゃないけれど」
 今度は茜が言った。
「やっぱりあれよね。あいつが二股って」
「それは絶対にないわね」
「未晴を泣かしたらマジでとっちめるつもりだったけれどそれは考えてなかったんだよ」
 咲と春華がここでこう言うのだった。
「あいつそんなに器用な奴じゃないから」
「浮気は絶対にねえな」
「あんた達もそれはわかってたのね」
 恵美は二人の言葉を受けて五人全体に顔を向けて言ってきた。
「あいつはそういう奴じゃないって」
「ってねえ」
「キャラじゃないし」
 奈々瀬と凛が顔を見合わせて言い合う。眉を少しばかり顰めさせて。
「私あいつが浮気するとか考えたことなかったし」
「無愛想なんでそれが未晴に迷惑かしらって考えてたけれど」
「あいつの全部知ってるわけじゃないわよ」
 適当さと能天気さではまことに随一の静華も今は真面目な顔であった。その真面目な顔で真剣な声ではっきりと言うのだった。
 
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