ソードアート・オンライン ー合わさる剣は2つの世界を一つにしてー「ある科学者とある剣士の物語」
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弟十三話「加速する死闘」
ヒースクリフは、盾で自分の体を覆うように構えた。
龍剣のスキルなら回り込める!
俺はヒースクリフの背後に回りこむ。2対1のこのゲーム、もう一方を盾でガードすればもう一方があく。さあどう受けるこの一刀!
ヒースクリフは俺の予想を上回った。俺の剣を片手の剣で防御した。なんだ、こいつ剣の腕も相当。
「ジンくん。私がデザインしたこの神聖剣これだけは防御に徹したオリジナルソードスキルなんだよ。すりあげ、受け、そらし。初動を入力するだけで高度の防御技術を使うことができる。多人数を相手にするんだ。それくらいできなければね」
こいつ、受け太刀の方法を知ってやがる。だがこんなの剣術じゃねえ。全身の動きを一致させて初めて防御技になる、これじゃ勝手に剣が戦っているようなもんだ。こいつの無敵っぷりこういうことか。
俺はそのまま三合打ち合った。さすがの筋力パラメータ。剣を持っていかれそうになる。防御を破ることはできないかもしれないが、キリトの守りが手薄になるぞ!
ヒースクリフは、盾を腕で剥がしに来るキリトに襲われた。
「やるな、二人はきついな。でも私が最後の迷宮区で最強レベルのプレイヤーに囲まれたときでも絶対に勝つ自信があるのは何故だと思う?」
「ほざくな、ヒースクリフ、俺は同じ研究室にいた。あんたのことは経歴から何まで調べた。あんたが西欧流の騎士剣術の師範代の資格を持っていることは調べた。あんたの弱点は同じ研究室の者に俺のようなものをいれたことだ」
「そうじゃない、そうじゃないさ、たしかに剣術については一度師についたが私を最強のラスボスとして君臨させるにたる格を作らねばならない。それに私がこの世界の創造者にして最強のプレイヤーなのだ。やっと夢が叶う。私は今や自分の空想の中の城で最高の騎士の位を与えられる試練にある」
「あんたからそんなサイコな意見が聞けるとはな、あんたの空想は結構いい線言ってると思ってたがこの場で言われるとただの狂信者だぜ」
「ははは、私だって血肉脇踊ることはある。ここに二人の名実ともに最強といえるプレイヤーが私と生死の駆け引きをしている。いくぞ、これが私がたどりついた。答えだ」
ヒースクリフの体になにか違う力を感じる。なんだ?これはまるで師範と戦うときの気迫?まさか!
「ユニークスキル龍剣はナーブギアを使った超兵士の作成という米軍の開発プランが頓挫しそうになったものを私が拾い上げ、研究を完成させるかわりに私名義の口座に大金、そして米国のニューロリンクの開発技術の技術提供という2つの利点そしてこのわたしにナーブギアがもつ第三の可能性に気づかせた」
「シークレットコード。バーストリンク!!」
「な、なんだ?」
まるでときが止まったようだ。こ、れ、は?なんだ、この感覚。そうだ、一度だけ体験がある。あれはナーブギアの開発段階で一度だけ起きた事故だ。ナーブギアに高エネルギーの電流が流れた。緊急停止コードのカウントダウンの中脳が加速し、自分は一秒を無限に感じた。ときがゆっくりすぎてカウントダウンの十秒が無限のときのように感じた。それだけじゃなかった。ぼくの心臓はたしかにとまり、しかし脳は加速していく、やがて永遠にも近いときの中未来の世界でバーストリンカーと呼ばれる。ナーブギアの後継機である。ニューロリンカーというものにそのプログラムをインストールして遊ぶ。そんなゲームだ。だがそれは次元を超えていた。脳を加速させることによる、刹那の時間をまるで無限の時間に置き換え、すべてのものが遅く感じ、まさに刹那のときの中で己の可能性だけを武器に戦う戦士たちの姿だった。
そうか、茅場あんたやっぱすげえよ、こんなことまで気づいてたのか。だがこのコード、使った時に同じ脳波を記憶してしまっている。俺のことは計算外みたいだな。あんたのアカウントの周囲に近づくものがなぜ、強くなるのか、たぶんこのゲーム中複数回このコードを使っただろう、同じ仮想空間内にいる俺たちの脳は、全部ナーブギアを通してメインサーバにつながっている。自殺や負の感情が連鎖したのもそれが一役買ってるんだ。このナーブギア。俺はな、実はあんたに憧れて自分の頭にある物語を一番適切に表現できるこの仮想空間にあこがれていた、が、その危うさも分かっていた。きっと近い未来、パーソナルコンピュータに次ぐ新たな表現技術として仮想空間は使われる。
新たな表現技術が生む産物、それは新たな次元への人間の進化さ。
いくぜ、茅場、へ、そこにいるプレイヤーキリトは俺と同じでまだ諦めてねえ、お、はは、脳を加速させることはできても自分の体、いやアバターまではついていかないか……。
まあ、ここが世界を創り出せる側とその世界で遊ぶことしか出来ない側の結果かもな、けどその剣おれを突き刺した時におれはある一つの技を使うつもりだ。これは沖縄の友達が使ってたトゥーディー、今の空手の原型。いくぜあんたがナーブギアで未来の可能性を見せるなら、古来より伝わる人間の可能性をみせてやる!
ヒースクリフの剣は、俺の剣をすり抜けて、俺の腹にささった、しかしヒースクリフの顔に戦慄が走る。HPバーが1%ほど残っている。ははは、このアバターを調べてみると呼吸や感触があるということは体の内臓の部分も大雑把だがリジェネートしている。動悸が早くなる、呼吸が荒くなる、食物を食べるそういう反応があるということはステータスや自分のHPになにか関わりがあるのかという疑問をおれは持っていた。そして気づいた。俺たちが普段見るステータスは総ていろんな項目に分かれているが人間がこの世界で動くということに関してそんなRPGのパクリみたいなシステムで完全に動かせるほど仮想空間は甘くない。本当は様々な変数、その人のもとの体のバイオリズムそれらが確定できないいろんな要素をオリジナルの体から読み取るしかない。つまりこのステータスメニュー裏コードがある、俺はそれを可視化できないか確かめた。
俺の腹に剣がささってざっと一秒もたってないだろうな、ああ、結構長いなあ、ゲームでもやっててえけど、俺の思考をユイにたのんでログとしてカーディナルのどこかにためてある場所を特定してもらってたのさ、そこにはここにログインしているすべての人間のデータが入っていた。いやあ、レイのデータを見てたときはちょっとストーカーかって思ってたがまあ、あいつを守る最後のとっておきなんでな。
ひひ、ヒースクリフ、今とまどってるだろ?俺の腹に内蔵がないんで、「内蔵上げ」人体の重要な機関を総て横隔膜へ圧縮する。おまえが突き刺した腹はすかすかの骨と皮、そして裏コードを俺はモニターしながら戦っていた。いやあ、あんたの運動パラメータの変化にはビビった。けど、内蔵へのダメージがない場合HPゲージの減りはかなり軽度になる。
あと1%のHPを削れないことを理解できないようで、知ってるぞ、あんたの脇差でキリトを突き刺したろ?あんたはその脇差だけはジェネレイトしないでアイテムホルダーにいれていた。まあ、日本の小具足の歴史は戦争が終わって平和な世、殿様が座った状態でどう刺客に対して生き残るかという特殊な条件下で編み出されたもの。殿中の秘儀ってやつだ。
結局あんたは日本人、この空想の城で日本刀や鎧があった。この城の世界観になぜか、ミスマッチな独特の武具。そして今キリトに使った脇差、空想っていうのは現実の逃避だ。
日本というこの世界に対して少なからず嫌悪感があるあなたはなぜかこの城を空想した。そこに剣の世界を作る都合上日本というものの武器を入れた。
まあ、ゲーマーな俺にはけっこういい設定をしてあるな、と思ったぜ28層に日本式の空中迷宮がある。そこにノブナガというボスモンスターがいた。
解説メニューを開くと東の地の果ての恐ろしい魔王はこの浮遊する城に自分の霊魂を移した彼の覇道の残滓はこの浮遊する城の中に異世界を生み出した、それが「アカツキ」と呼ばれる世界。
あはは、いいね、こういうところが遊び心があって好きなんだよな。けど、その脇差、ちょっと良く見てみろ。
俺の意識がやっと反映されて表情に笑みが見えた、それに気づいたヒースクリフはキリトを見た。たしかにキリトはHPが0になっている、もう消えようとして消滅オブジェクトが見える。けどなんだろうな、キリトさんは、この世界へ来て、霊魂の存在を信じる気になったんだと、俺はキリトさんと一度人の死後どうなるかという話をしたことがある。結構キリトさんもマニアックで妖怪とか精霊の話を面白がってした、その後まじめな顔していったんだ。本当に死ねない奴本当に生きようとしたやつそいつが死んだとき、現実の世界でなにかバグが起こる。キリトは言った。この現実だって仮想世界と同じなんじゃないか。つまり基本的にはものすごいリアルな現実だけど、リアルさが比較にならないだけでそれを感じているのは人間の不完全な五感、それはナーブギアをかぶって仮想空間で仮想世界を近くする俺らと変わりがない。じゃあ幽霊や霊魂ってなんだろうって、俺達はある結論に達した、その人間の執念が現実の法則にバグを起こす、そしてオブジェクト化して残るがそういうもの、それなら、俺たち人間にある生きようとする力それはどんなステータスやプログラムは法則を超越した力だ。
脇差、俺と違って手応えがあったろアスナのな、アスナの裏コードには麻痺毒に対してもうれつな抵抗ステータスが上書きされていた。
たぶん、それによって死にそうなほどの怖い目にあい、アスナさんは必死でそれと戦ったんだろ、俺はそのことをわざとキリトに伝え無かった。アスナさんを巻き込んだ。
ま、あとで俺は殺されるな、アスナさんかキリトさんにけどよっく見ておけよ。
アスナさんが死に、そしてその一瞬でキリトさんの生きる意志が感情パラメータにマイナス値を叩き込んだ、そしてそのあと落胆したヒースクリフはキリトを刺殺した。
死にゆく中、キリトさんの体が消える一瞬、逆再生するかのようにキリトさんの肉体は再構成された。
そして、アスナさんの剣がキリトさんの手でヒースクリフを貫いた。
そして同時にゲームのクリアの鐘が鳴り響いた。
気がつくと、ログアウトカウントダウンを見知らぬ空間で待っていた。
「は、ははは。やっとこれで終わるな」
「ゲームクリアおめでとう。片桐 謙也くん」
その男は当然のように現れた俺のよく知る男、茅場 晶彦だ。
後書き
さあ、残すところあとわずか、最後までフルスロットル!
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